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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2025/2601

二千二十五 玲緒奈編 「パパ!。くらげ!」

一月十二日。水曜日。雪。




今日、大希ひろきくんが通学中に消息を絶った。


「大希がそちらに来ていませんか?」


山仁やまひとさんからそう電話があって。


「そう言えば今日は、声が聞こえませんでしたね」


と応える。朝、いつもは、沙奈子を迎えに来た時に、


「おはようございます」


って声が聞こえるのに、聞こえなかったんだ。そして山仁さんは、


「実は今朝、千早ちはやちゃんが来た時に、『おなかが痛いから先に行ってて』と言って、千早ちゃんだけで行ってもらったようなんです。それからしばらくして家は出たんですが、学校には行ってなくて」


と状況を説明してくれて。


「今、心当たりを探しています。山下さんもどこか大希が行きそうな場所に心当たりはありませんか?」


「そうは言われましても……。以前は何度も行ってたカラオケ屋とか、あの旅館か、後は水族館……、くらいでしょうか……?」


そうだ。大希くんの場合、家まで訪ねていったり家まで来てくれるほどの友達と言えば、沙奈子と千早ちゃんと結人くんくらいしか心当たりがない。それ以外にも学校では親しく話をする子はいるらしいけど、学校の外でまで行動を一緒にするような子は、他にはまったく思い付かない。だから誰かの家に行ってるとかは分からない。


「そうですか。結人くんのお宅やカナちゃんにも電話してみたんですが、見ていないということですので……」


山仁さんはまず、いつもの通学路を通って学校まで行ってみたそうだ。だけど姿が見えなくて……。カラオケ屋や水族館はまだ営業時間前のはずだし、あの旅館には電話してみて『もし来たら連絡ください』と伝えたらしいけど」


いったい、どうしたんだろう……?。


「実は最近、『僕だけやりたいことがない……』というようなことを口にしていたんです。しかも昨夜、あまり寝られなかったようで、『しんどかったら先生に言って帰ってきていいからね』と言って送り出したんですが、学校から『大希くんがまだ来ていないんですが』と電話があって。先生方も、今、探してくださってるそうです」


とのことだった。


「大希くん、どうしたんでしょう……?」


絵里奈にも聞いてもらおうと思って外部スピーカーに切り替えて電話してたからだいたい状況を把握した彼女が、心配そうに言ってくる。




で、結論から言うと、家出をしようと思って山の方に向かって歩いていったけれど思い直して戻ってきて自宅近くにいたところを探していた教師に見付かって、無事に家に帰ったそうだ。


「よかった……!」


その報せを受けてホッとしてた僕に、玲緒奈れおながあのクラゲのカードを見せながら、


「パパ!。くらげ!」


って言ったのだった。



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