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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2012/2601

二千十二 玲緒奈編 「結人くんに合った勉強法」

十二月三十日。木曜日。曇り。




今日から『SANA』も冬休みで、年明け四日まで特に予定なし。来年は初詣も控えようということになってる。僕たちがいつも行く神社は参拝客も少ないけど、さすがに玲緒奈れおなを連れて行くのもどうかと思うからね。それでも、ほとんど毎日、散歩には出てるけど、十五分くらいで帰るようにしてるし。


それに玲緒奈自身は、ウォール・リビング内で延々と走り回ったりトンネルを行ったり来たりして元気いっぱいだ。


沙奈子たちはやっぱり三階に集まっていつも通りに過ごしてる。勉強して、沙奈子はドレス作り。千早ちはやちゃんと大希ひろきくんはゲーム。結人ゆうとくんはドール用の家具作り。キットをうちに持ってきて作業を始めたって。


すごくいいことだと思う。しかも、


「結人くんがドール用家具を作ってくれるんだったら、『SANA』で販売しましょう」


って絵里奈が。


もしそれが決まれば、結人くんの就職先も『SANA』になる?。うん、悪くない。悪くないと思う。結人くんも、人付き合いは下手だけど、勉強を真面目にやってるところを見ると、実はコツコツやるのは嫌いじゃないんだって分かる。鷲崎わしざきさんは、


「結人、チマチマしたゲームとか好きじゃないんですよね」


と言ってたのも、あくまで『チマチマしたゲーム』は好きじゃないというだけで、細かい作業そのものが嫌いというわけでもなかったんだね。トール用の家具を作るのだって、細かい作業をすごく集中してやってるそうだし。


『適性』っていうのも、やっぱり一面だけじゃ分からないんだなって思わされる。そして、本人にも分からない場合があるんだって。


鷲崎さんも結人くん自身も、『勉強は嫌い』って思ってたって。なのに沙奈子たちと一緒に勉強を始めたらあっという間に遅れを取り戻して。だから本当は『勉強が嫌い』だったんじゃなくて、『勉強の仕方が分からなかった』んだろうな。


これも、結人くん自身の『努力』だけじゃ分からなかったことかもしれない。沙奈子や千早ちゃんや大希くんという『仲間』ができて、その上で星谷ひかりたにさんという『指導者』がいて、それで、


『結人くんに合った勉強法』


が見付かったということだと思うんだ。そういうことが大事だとすごく感じる。


なんでもかんでも『努力』『努力』と言って大事なことを教えた気になってるだけじゃそれは努力したことにはならないと思う。『努力できる環境を作る努力をした』ことにはならないと思う。『努力しろ』と言うだけなら、幼稚園児でもできるよね?。結局はそういうことだと思うんだよ。



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