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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2008/2601

二千八 玲緒奈編 「挑戦する前から諦めてるのは」

十二月二十六日。日曜日。曇りのち雪。




今日は寒い。かなり寒い。だからエアコンだけじゃ暖房が間に合わなくて、ファンヒーターも出してきた。


それを、二階のミニキッチンの前に置いて使う。ウォール・リビング内の玲緒奈れおなからは決して手出しできない場所だ。


山仁やまひとさんも、同じようにして使ったって。そうやって使ってても、大希ひろきくんもイチコさんも、わざわざ危険なことはしない。何が危険で何が安全か、考えることはできる。


『過保護にするから何が危険かも分からなくなる!』


とか言う人の言葉が必ずしも正しいとは限らないのがそれで分かる。『子供自身に痛い思いをさせることで危険を理解させよう』なんていうのは、その手間を掛けたくないという大人の側の甘えでしかないっていうのを、僕はすごく実感してる。


確かに玲緒奈は、僕を叩かなくなってきた。テーブルとかを叩く時も明らかに以前よりも手加減して叩いてるのが分かる。僕やテーブルを思いっ切り叩くと自分の手も痛かったことで加減を学んだんだろうなっていうのはなるほどそうだと思うんだ。だけど、何でもかんでもそれで済まそうというのも違うとしか思わない。親として大人として教えるべきことを教える手間を省いて手を抜きたい楽をしたいって考えてるようにしか思えないんだ。


僕はそんなことで玲緒奈に一生残る傷を作ったり命を喪ったりってことになってほしくない。だから今の玲緒奈がファンヒーターに近付くようなことは最初からさせない。火を使ってるファンヒーターが危険なことくらい、いろんなことを知っていくうちに言葉でも理解できるようになるよね?。


『電子レンジで直接卵を温めてはいけない』


なんてこと、別に自分で実際に試さなくても、実験映像や検証映像だってあるし、それを見ただけでも理解できるんじゃないの?。なのにそれをしようっていう人が普通にいるの?。たまにそうやって事故を起こす人がいるのは事実でも、誰でもそうするわけじゃないよね?。


危険なことはあらかじめ対処しようとしてた山仁さんのお子さんである大希くんやイチコさんだって、何が危険かそうでないかくらいわきまえてるよ。実際に痛い思いをしなきゃ理解できないなんてのは、自慢できること?。ちゃんと手間を掛けて丁寧に教えて、それでも理解できない子もいるとしても、何もそっちを基準に考える必要なんてないよね?。言葉で諭して分かってくれる子なら言葉で諭せばいいんじゃないの?。


実際にそれをやってもみないで、


『口で言っても分からない!』


なんて、それでよく、


『挑戦する前から諦めるのはおかしい』


とか言えるよね?。って思う。挑戦する前から諦めてるのは自分じゃないのかな?。


僕はちゃんとそれを自分でやってみるだけだ。



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