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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2004/2601

二千四 玲緒奈編 「見栄っ張りのための道具じゃない」

十二月二十二日。水曜日。晴れ。




そんなこんなで制服については決まったけど、体操服については最初から新しいものを買うことに決まってる。何しろ、刺繡という形でしっかりと名前が入ってるからね。実は制服にも名前の刺繍が入ってるけど、普段は見えないところに入ってるだけだから、わざと見せないと分からないし。


あと、上履きも新しいものを買うことになってる。これは、制服はクリーニングすればいいとしても、靴はさすがに色まで変わってしまってる上にすり減ってるからね。だけどそれも千早ちゃんは、


「自分のが小さくなったらカナえのを洗って使う!」


と言ってる。とにかく節約できるところは節約するつもりなんだ。これは、千早ちゃんがケーキ屋を経営するにあたって、そのコストを星谷ひかりたにさんと一緒に算出した際に『お金というものの重み』を嫌と言うほど思い知らされたからなんだって。


「マジでお金ってのがどれだけ大事か実感したよ。ケーキ屋をするにしてもそうだけど、自分が普通に生活してるだけでもどれだけお金がかかってるか思い知った。お母さんが、看護師としての給料の四百万程度で子供三人育てるのにどれだけ苦労してたのかも分かったね。そりゃケチにもなるわ。てか、ケチらなきゃ生活が成り立たないって」


とも言ってた。でもその上で、


「まあ、だからってその憂さ晴らしで子供を殴っていいってのは話が違うけどさ。その点は許さないし認めない。父親がロクでもない奴だったってのはあっても、それで許されていいもんじゃないじゃん」


だって。すると田上たのうえさんが、


「うちは逆に母親の金銭感覚が完全にぶっ壊れてたからね。父親は地方公務員ってもそれなりの役職にいるから給料は決して悪くないはずなのに、いっつも、『お金がない、お金がない』って言ってた。親子四人で普通の生活するには十分な収入があったはずなのにね。千早のお母さんの倍以上だよ?。それで足りないっておかしいでしょ。あの人が贅沢な暮らしをするにはぜんぜん足りないんだろうけどさ。しかも見栄っ張り。もし私が学校の制服を誰かから譲り受けるって話をしたら、『そんなみっともないことはやめて!。親に恥をかかすつもり!?』とか間違いなく言うと思う。私はあんたの見栄っ張りのための道具じゃないっての!」


そんな風に応えたんだ。



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