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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2003/2601

二千三 玲緒奈編 「制服を譲り受けることに」

十二月二十一日。火曜日。晴れ。




沙奈子の進路希望も最終のそれを提出して、後は願書を出せばもうそれこそ、試験の当日を待つだけだ。そして制服については、残念ながら合うサイズがなかったので、新しく購入することを予定してる。背の高い波多野さんはもちろん、星谷ひかりたにさんやイチコさんや田上たのうえさんのも、小柄な沙奈子には大きすぎるんだ。


その一方で、割と背が高い千早ちはやちゃんは、星谷さんと波多野さんの制服を譲り受けることにしたそうだ。その上で、波多野さんのスラックスを、裾を詰める形で着ていくらしい。


「正直、もうスカートはいいかなって思うしさ」


だって。どうせ普段から、私服ではスカートは履かない千早ちゃんにとって、スカートは魅力的なものじゃないらしい。ただ何となくみんながスカートを履いてるから自分もってことで中学はスカートで通したけど、内心ではスラックスにしたかったそうだ。だけど、買ってもらうとなると実のお母さんは出してくれるはずがないので、星谷さんに出してもらうことになるし、余計な出費はさせたくなかったし、もしスカートのサイズが合わなくなって買い替えることになったらその時はと思ってたのが、最初に大きめのサイズを選んだこともあって三年間そのまま使えてしまったから、結局、それで通すことになっただけでしかないって。


その点、高校の制服は、ジャケットは星谷さんのが、スラックスは波多野さんのが使えるから新しく買う必要もない。星谷さんは、


「せっかくなんですから新しいのを買っていいんですよ」


と勧めてくれたけど、千早ちゃんは、


「ううん!。ピカえとカナえのがいい!」


って言い張ったそうだ。なるほどジャケットも、千早ちゃんがさらに背が伸びて合わなくなっても今度は波多野さんのがあるから大丈夫だって。


実は沙奈子にも、イチコさんと田上さんから、


「もし新しいのが着れなくなったらそん時にでも使ってもらえたらいいよ」


「沙奈子ちゃんの役に立つなら嬉しい」


ってことで制服を譲り受けることになって。


人によっては、


『不用品を押し付けられた』


みたいに考えるかもしれないけど、僕も沙奈子もそんな風には感じてない。そんな風に感じなくてもいい相手だから。


絵里奈だって、


「実は叔父さんの家に高校の時の制服を残してきてるんですけど、違う学校だから着てもらえないのがちょっと残念です……」


とまで言ってた。


沙奈子も千早ちゃんも、別に『新しい制服』には拘ってないそうだし。


その一方で、男の子である大希ひろきくんと結人ゆうとくんは、譲り受ける相手がいないのでやっぱり新しい制服を買うことになる。


「男子も女子も、ジャケットのデザインは一緒なんだけど、ボタンは逆だからね」



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