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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2002/2601

二千二 玲緒奈編 「努力できる環境」

十二月二十日。月曜日。晴れ。




先週金曜日、絵里奈が沙奈子の通う学校に個人懇談に行ってくれた。もっとも、話したことと言えば志望校についての確認と今の成績についてだけ。そして最終の進路希望を提出することになる。


沙奈子は、第六希望まで書く欄に、第二希望までしか書いていない。それさえ同じ学校の、前期試験と中期試験をって形だけど、体調を崩して欠席でもしない限りは前期試験で合格が決まると星谷ひかりたにさんからは太鼓判をもらってる。


むしろ、『合格できない理由がない』そうだ。本当ならもっと上のレベルの進学校を目指したって十分に行ける可能性が高いって。だけど沙奈子は、星谷さんも行っていた高校一本に絞ってる。万が一そこが駄目だったらそのまま『SANA』に就職するって。


『SANA』にとって沙奈子の存在は、学歴では測れないものだから、何の問題もない。もし、『SANA』が倒産でもしたらその時にはまた考えたらいい。


人生っていうのは何が起こるか分からない。どんなに計画を立てていてもその通りになるとは限らない。大変な努力をしていい大学を卒業した人だってニートになってしまうことはある。別にニートになるために勉強を頑張ってきたわけじゃないだろうにね。


沙奈子だって、小学校の二年生と三年生の期間、丸々学校に通ってなかったんだ。それが今や、一流進学校にさえ通える可能性もあるくらいだっていうんだから、すごいよね。


そしてそれは、千早ちはやちゃんもそう。結人ゆうとくんについては『第一志望の高校には十中八九合格できる』というレベルらしいけど、中学の三年間だけでそこまで盛り返したんだからやっぱりすごいよ。


沙奈子も千早ちゃんも結人くんも、大変な努力をしてきたのは事実だ。毎日毎日コツコツと勉強を続けてきた結果なのは間違いない。だけどそれは結局、『楽しんで勉強ができる環境』があったからというのも間違いないんだよ。


何をどう努力すればいいのかを教えることもなくただ『努力しろ!』なんて、


『努力できる環境を用意したくない。という甘え』


以外の何だって言うんだろう。


『自分は努力したんだ!。それと同じことができて当然だ!』


って言うのなら、僕たちが『努力できる環境』を作ったのと同じ努力ができて当然なんだよね?。それとも、この上まだ、


『自分がやってきたのは普通に誰でもできる努力で、そんな誰もができるわけじゃない努力を引き合いに出すのはおかしい!』


とでも言い訳するの?。散々、一流スポーツ選手や特別な著名人を引き合いに出して『努力すればこんなこともできる』みたいに言ってきたのに?。


ズルいよね。本当にズルいと思う。



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