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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千八十 美嘉編 「自分の判断に責任を」

鷲崎わしざきさんと星谷ひかりたにさんが帰ってからすぐに、僕と沙奈子は絵里奈と玲那に会いに行った。人形がたくさん飾られてる喫茶店だった。


僕たちはそこでも、自分が親の立場になったからこそ気を付けなきゃいけないことについてたくさん話し合った。


「僕は、『子供の為に人生を捧げるとかバカらしい』みたいな考え方はしたくないと思ってる。


だって、沙奈子を受け入れることを決めたのは、他でもない僕自身だ。沙奈子がいることで僕自身の時間が減ったり、沙奈子に合わせなきゃいけなくなるのも分かった上で受け入れたんだ。


その自分の判断に責任を持ちたい。


それに、心のどこかでそんな風に思ってると、『自分の人生をお前のために使ってやってるんだ。だから感謝しろ』みたいに思ってしまう気もする。


だけど僕は、それは順序がおかしいと思うんだ。そもそも自分のところに子供が来ることを認めたのは、親の方だよね?。子供の方から、『面倒見てください。育ててください』ってお願いしてきたんじゃないよね?。子供を養育するのは親の義務だ。子供の方に『親に育てられる義務』があるわけじゃない。


それを、子供に対して『育ててやってるんだから感謝しろ』なんて、おかしくないかな?。


子供が頼んだ訳でもないのに勝手に生んでおいて、それで『感謝しろ』なんて、僕は理解できない。


僕は沙奈子を受け入れる決断をした。でもそれは僕が勝手に決断しただけだ。沙奈子に『私を育ててください』と頼まれたからじゃない。最終的には僕がこの子と一緒にいたいと思ったから受け入れたんだ。


僕が決めたことだ。なのにそれを沙奈子に対して『感謝しろ』なんて、どう考えてもおかしいよ」


そんな僕に絵里奈が応える。


「私もそう思います。私が沙奈子ちゃんの『お母さん』になりたいと思ったのは、私自身の気持ちからです。誰かにそうさせられたわけじゃない。その自分の選択について沙奈子ちゃんから感謝されたいとは思ってません。私は自分が『沙奈子ちゃんのお母さんになりたい』と思ったんです」


沙奈子を見詰めながらそう言う絵里奈を、沙奈子も真っ直ぐに見詰め返してた。それは、自分のことをすべて受け入れてもらえてる、肯定してもらえてる、自分がこの世界に生まれてきたことを許してもらえてるっていう実感に満たされて安心している目だと思った。


そこに、玲那も加わる。


「私の実の親なんて、ホントにヒドかったからね。自分の子供を違法な商売用の売り物にしておいて、『生かしておいてやってるんだから感謝しろ』って言うんだよ?。『生かしておいてやってるんだから働いてその恩を返せ』ってさ。


ふざけてるよね……」



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