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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七十五 美嘉編 「個々人のキャラクターと」

沙奈子も結人ゆうとくんも、いつも通りだった。ちゃんと落ち着いて授業を受けてくれてた。教室自体も、私語を話してる子もいなくて、ちゃんとしてる。


雰囲気も悪くない。いい意味ですごく『普通』だったと思う。


チャイムが鳴って一時間目の授業が終わると、沙奈子が僕たちのところに来てくれた。


「頑張ってたな。偉いよ、沙奈子」


僕がそう声を掛けながら頭を撫でると、


「うん……」


と柔らかい表情になった。


中学生くらいになると親に頭を撫でられたりするのを嫌がる子も増えてくるのかもしれないけど、沙奈子はぜんぜんそんな気配もなかった。僕にそうしてもらえるのが嬉しいんだって分かる。


一方、結人くんは窓の外を眺めたままでこっちに来ようともしない。


「もう、結人ったら……」


鷲崎わしざきさんはそうこぼすけど、でもそれも怒ってるとか呆れてるとかじゃないのは僕にも分かる。あまり馴れ合う感じに見られるのは彼は好きじゃないだけなのを、鷲崎さんもちゃんと理解してる。


彼が落ち着いて学校生活を送れてるのが確認できただけで十分だ。


「じゃ、僕たちは帰るから。頑張ってね」


沙奈子に向かって手を振ると、


「うん…」


と手を振ってくれた。


鷲崎さんはそれに加えて、結人くんに向かっても手を振る。すると彼がちらりと視線を向けて食えr多のが分かった。だからって愛想よくはしてくれないけど、彼なりにちゃんと気にしてるんだっていうのは伝わってきた。


「結人が落ち着いてるのが分かってよかったです」


学校からの帰り道、星谷ひかりたにさんと合流して歩いてると、鷲崎さんがそう口を開いた。


「そうだね。他の子とすごく仲が良いっていうわけじゃないにしても、険悪な感じはなかったから、良い意味でスルーしてもらえてるんだと思う。彼みたいなタイプは、どうしても勝手に敵意を向けられることも多いだろうし」


僕が返すと、星谷さんも、


「ですね。相手が攻撃的に振る舞っていなくても態度が気に入らないというだけで食って掛かる人もいらっしゃいますから。そういう意味では必ずしも彼の態度は本人にとっても有益とは言い難くても、これは個々人のキャラクターとも言えるでしょうし」


と言ってくれる。


その時、


「あはようございます」


そう声を掛けられて視線を向けると、山仁やまひとさんだった。


「今からですか?」


「はい。二時間目には何とかと思っていましたから。間に合ってよかったです」


言葉を交わして、すれ違う。今日の授業は午前中だけなんだけど、その間ならいつでも参観できるから。加えて山仁さんの場合は、いつもならもう寝てる時間だからね。



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