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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七十二 美嘉編 「何か違う気がする」

六月八日。土曜日。晴れ。




今日は、午前中、沙奈子の学校で休日参観がある。なので、絵里奈と玲那に会いに行くのはそれからってことになる。


「それじゃ、一時間目の途中くらいから行くからね」


「うん……」


朝、用意をしてる沙奈子にそう告げる。


正直、中学生くらいになると参観とかあまり嬉しくないっていう子もいると思う。僕もその一人だった。もっとも僕の場合は小学校の頃にはもう親は参観なんかほとんど来なかったし、僕も両親に対しては何も期待してなかったけど。その上で中学に上がった頃には来てほしくなかったな。


でも、沙奈子は嬉しそうだ。


大希ひろきくんも千早ちはやちゃんも、山仁やまひとさんや星谷ひかりたにさんに見に来てもらえるのは嬉しいみたいだ。


ただ、結人ゆうとくんは、


「別に来なくていいよ、おデブ」


とか言ってたりするらしいけど。ただそれも今では、単なる照れ隠しや、


『自分のために手間を取らせるのが申し訳ない』


っていう気持ちの裏返しだというのは実は分かってる。とは言ってもそれを彼に対して言うと意固地になるのも分かってるから、敢えて言わないけどね。


鷲崎わしざきさんと結人くんの関係は、馴れ合わないけど余所余所しくないっていう絶妙なバランスを保ってる感じだった。事情を知らない他人から見ると余所余所しくも見えるとしても、二人のこれまでをよく知ってる僕たちからすると、むしろ微笑ましいくらいかな。結人くんがすごくシャイだから、思春期らしい照れがそうさせるんだっていう風にも見えるし。


沙奈子を送り出した後で、


「来年の休日参観には、私も行きたいです」


って、ビデオ通話を通じて絵里奈が言ってた。だけど同時に、玲那は、


「私はやっぱり行かない方がいいよね。万が一誰かに気付かれたらいろいろあれだし」


と寂しそうに微笑いながら言う。


「玲那……」


執行猶予の期間が過ぎれば本来はもう普通にして構わないはずなのに、世間はそれを許さない。犯罪者はいつまで経っても犯罪者扱いされるっていうのが現実だ。


確かに反省もしていないような人なら批判されても当然だとしても、玲那のようにきちんと罪を認めて心から反省してきた人までそういう扱いを受けるのは納得できない。被害者やその家族の人たちが加害者をいつまでも許せないというのは分かるんだ。玲那自身、自分に対して酷いことをした人たちのことは許してないし、僕も許せない。


でも、被害に遭ったわけでもない人までそういうのって、何か違う気がする。



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