身体操作
※注意※
すいません。
主人公が素っ裸になる関係上、少々お下品な表現がありますので苦手な方はお気をつけ下さい。
……書いててちょっと楽しかった。
アズールが連れてきたのは、私が産まれた時に居た砂色と煉瓦色が斑らになった鱗のドラゴンだ。
「おぅ。俺様はヴュステ。お前が下に降りた時に困らねぇように色々と教えることになった。俺様のことは、敬意を込めてヴュステ様と呼べ」
「はい! 私の名前はエジダイファです! エッジと呼んでください! よろしくお願いしますヴュステ様!」
「……素直過ぎて、逆に心配になるなぁおい」
言われた通りに呼んだのに、何が不満なんだ。
「アズールの奴から爪とか牙に魔力を込めて形を変化させるのは学んだんだよな」
「はい」
言われて爪にちょっぴり魔力を込めて伸ばしてみる。
「それの応用で、体全体を操作して人間に化けるんだ」
「なるほど」
「よし、まず、手本を見せるぞ。魔力溜まりから体全体に魔力を満たしていくんだ。そして、魔力は外側を濃く、内側になるほど薄く。んで、外から内に向けて、体全体を人間の肉体に近づくように押し込んで体を練り上げていくと――」
ヴュステの体がみるみるうちに縮み、砂色の髪をした古代ローマのトーガのような布を纏った美丈夫になった。
「――こうなるわけだ」
「はぁー」
見事なものである。
「うっし、見様見真似で良いからとりあえずお前さんもやってみろ。」
「はい!」
私は、ヴュステに教えられた手順を頭の中でなぞりながら魔力を操っていく――
が――
「お前さん、魔力を操るのは苦手か?」
「いえ……火を吐いたり、空を飛んだりは割とすんなり出来たのですけど……」
ヴュステが言うには、八割は合格らしいのだが、残りの二割が致命的に駄目らしい。
体はおおよそ出来ているようで、頭、胴体に四肢は問題無い。前世・人間の面目躍如か。
しかし、頭部の角、背中の翼、尾てい骨付近から生えている尻尾をどうしていいかわからないのだ!
それをヴュステに伝えると。
「あー……。まず、角は髪に擬態させろ。細く、細かくな。難しければ、束ねたり、編んだりした髪に見える様にしてみな」
「な、なるほど」
言われた通り、頭頂部の角を三つ編みに見えるように魔力を操作していく。
「んで翼だが、胴体や腕に貼り付けるように操作しろ。多少、体に厚みがでるが、鍛えてるってことにすれば誤魔化せるだろう」
「ほうほう」
『胴体や腕に貼り付けるように』という指示で思い浮かんだのが半袖のTシャツのイメージだった。ぴっちりと肌に張り付くタイトなTシャツをイメージしながら魔力を操っていく。
「最後に尻尾だが、これはいっそのこと布みたいな見た目にして体に巻きつけろ。俺様の真似をしな」
「よぉーし!」
気合いを入れて尻尾を布状に変形させていく。質感は木綿をイメージ。幅は私の肩幅より広くして、残りを長さに充てる。
……さて、このままヴュステのように布を体に巻きつけて、古代ローマのトーガ風に着こなすのも良いが、私は現在、素っ裸なのだ。
股の間にあるアレが宙ぶらりんなのだ!
このままで布を纏うのでは落ち着かないので、ふんどし風に布を巻いて固定してみよう。
まず、尾てい骨付近から生えてる尻尾を変形させた布を、腰で一周させる。その後、背中側の輪に上から布の先端を通す。そして、股ぐらを通し、輪に下から上へ布を通す。アレが横からはみ出ないように布で包み込み、布をキュッと締めて固定!
……あれ? ふんどしってこうやるんじゃなかったっけ? なんかイメージと違うなぁ。
まぁ、いいか。
で、余った布をトーガ風に纏って、完成!
「どうですヴュステ様! これは上手くいったでしょう!」
「いや……うん……見た目は整ったんだがよ……。股のソレはちゃんとしまえよ、みっともねぇ」
「いやいや、ちゃんとしまってるじゃないですか!」
「?」
「?」
……なんだか、意思疎通が上手くいっていない気配がする。
「ヴュステ様、股間、どうなってます?」
「ちゃんとしまってるって!」
トーガを取り払ったヴュステの股間には、何も無かった。
男性のアレも無く、ましてや女性のソレも無く。
のっぺりとした肌があるのみだった。
……なんか、人形とかマネキンみたいだ。
「いやいや! 人間の股間は私のが普通ですからね?! 無くしちゃったら人間じゃないですよ!?」
「はぁ!? 人間って丸出しなのか!?」
そこに驚くんだ……。
「じゃあヴュステ様、ドラゴンのアレってどうなってるんです?」
「あぁ?! んなもん、しまってるに決まってんだろ。出すのは使う時だよ」
「マジですか……?!」
あっ?! そういえば、ドラゴンの体の時にうつ伏せで眠ったけど、アレのポジションを気にした事はなかった!
マジかー。ドラゴンってしまえるのかー。
「マジかー……。人間って出しっ放しなのかー……。」
あ、ヴュステもショックを受けてるな。
まぁ、一部で衝撃的な事実が発覚した訳だけど、私は無事に人間に擬態する術を修得した。
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