20話 Cランクダンジョン『マテリアル廃鉱』②
ダンジョンに入ってから半日ほど経ったか、二人は未だに転移の魔方陣を見つけることが出来ず、1階層目をさ迷っている。
(これは完全に迷ったな。跡を付けても魔物が通ったからなのか白線が消えているな)
二人は完全に迷ったようで、同じ道をぐるぐると回っているようだった。メルクが剣を引きずって跡を付けているが、どうやら跡が消えている道があるようだ。
もちろん魔物にも遭遇し、レッドワームや蜘蛛の魔物『マインスパイダー』を何体も倒して進んでいる。
二人共レベルが上がり、アリアは『第六感』というパッシブを取得した。今のところどういったパッシブが発動されるのかはわかっていないが、名前の通りだとしたら感覚的なものと予想している。
「アリア、先頭を歩いてくれないか」
「ほい!適当に進むよ~」
幾度も枝分かれをした道をアリアは何も考えずに進んでいるようだ。
メルクの予想が正しければ、アリアの『第六感』がアリアが行きたい場所へと導いてくれると。
「あれ~?転移の魔方陣に着いちゃったよ」
これだけ迷ったにも関わらず、先頭をアリアに交代してからものの数分で目的の魔方陣へたどり着いてしまった。
(やはりそうか。これは有能なパッシブだぞ)
「アリア、何かを感じて進んだのか?」
「こっちかな~と思って直感で進んだだけだよ」
「これは運任せで運」たどり着いたのではないぞ。間違いなく『第六感』のパッシブが発動されているぞ。俺の予想が正しければ、トラップの回避や武器に呪いが掛かっているか判断できると思う」
後はパッシブ効果があるか試してみることにし、二人は転移の魔方陣の上に乗り2階層目に転移したのである。
「宝箱見っけ!」
アリアを先頭に2階層目を進む道中、早々に宝箱のある小部屋を発見した。
アリアは木製の宝箱に近寄り中身を確認するが、中には錆び付いた短剣が入っていることにアリアは落胆した。
(これで確定だな)
解っていたことだが、アリアに任すと宝箱探しを優先してしまう。だが暫くはアリアに任せてパッシブの効果をさらに検証しようと思っている。
さらに半日くらい経ったところで、ようやく3階層目へ続く転移の魔方陣に辿り着いた。
「ここで野営しようか」
「ほい」
結局2階層目で宝箱を4つ発見したのであるが、中身はどれもガラクタだった。
二人は転移の魔方陣がある小部屋にてパンと干し肉を麻袋から取り出して夕食を取る。
魔物もある程度倒し、二人は干し肉をかじりながらステータス画面を確認する。
【名前】 メルク・アクレイド 8歳
【レベル】 32
【職業】 魔剣士
【ランク】 E
【体力】 197
【魔力】 268
【力】 216
【耐久】 199
【敏捷】 102
【知力】 282
【パーティー】 めるふぃす(2)
【経験値】 27008/30468EXP
【スキル】
・ウィンドスラッシュ
・フレイムバスター
・サンダースマッシュ
・エタニティフリーズ
・マジカルリリース
【パッシブ】
・魔力吸収
【名前】 アリア・フィアレーゼ 8歳
【レベル】 30
【職業】 クレリック
【ランク】 E
【体力】 107
【魔力】 518
【力】 84
【耐久】 84
【敏捷】 85(+10)
【知力】 301
【パーティー】 めるふぃす(2)
【経験値】 20979/21160EXP
【魔法】
・ヒール ・プロテクション(単体耐久向上)
・キュア ・アジャイル(単体敏捷向上)
・ハイヒール ・アビリティ(単体力向上)
・ハイキュア ・アンプロテクション(単体耐久低下)
・ヒールレイン ・キュアレイン
【パッシブ】
・第六感
「アリア、『第六感』の検証は終わったから、明日は転移の魔方陣に直行してくれ」
「え~。もっと宝探ししたかったのに」
メルクが求めるアイテムはボス討伐報酬の宝箱からしか出てこないと思っている。簡単に手に入る物ではないと思い、このダンジョンに何度も通おうと考えている。
アリアには周回時に宝箱探しをしようと宥めて機嫌を治めた。
(そういえばこのダンジョンにはミスリルが採れるらしいな。1つくらい入手してみるか)
ふとメルクはダンジョン入口の看板にミスリルが採れるようなことが書いてあった事を思い出す。
メルクはBランクダンジョンを挑戦する前に武器を新調すべきと考えている。
父親の形見を装備しているが、取り分け能力が高いということでもない剣だ。
そこでミスリル鉱を売って金策をしようと考えた。
交代での見張りを終え、ダンジョン内のため時間はわからないが朝を迎える。体内時計が朝になったとメルクを起こした。
二人は朝食を終え、今日の目的をアリアに伝える。
「アリア、今日はミスリル鉱石を探してくれないか」
「ほい。どんなのかわからないけどやってみるよ」
アリアもまた『第六感』発動の感覚かなんかを掴んだのか、やってみると話す。
アリアもメルクと一緒にそれなりの時間を費やしてきたため、メルクの考えていることは大体わかっているつもりだ。ミスリル探しも言葉では出さないが金策なのではとすぐに考えた。
基本的にはメルクの言う通りに動いとけば事が進むため、アリアは余程のことではない限り口は出さない。
「それじゃ、れっつらごー」
アリアの掛け声と共に転移の魔方陣に乗り、3階層目へと進むのであった。