桃太郎はあっと言う間に成長し、たくましい男の子になりました。
とりあえず、立ち歩きも出来ないとなにも出来ん。
現在の状態は、起こしてもらえれば座ることはできるが自立はままならない。
それに朝起きたら、あいつらの性行為を目撃する状況から逃れる術が欲しい。目を閉じても音だけでグロイ。
だから、立ち上がれるように手足の筋肉を鍛えたい。体幹も鍛えておいたほうが良いだろう。
だが、まずは寝返りの訓練だ。
仰向けでは大した事はできない。腕立てもプランクも全部うつ伏せだ。
腹筋は仰向けでできるが、腹筋はやり過ぎると腰に負担がかかるからやるなと最近の研究が言っている。腹筋は身体が出来てきてからやろう。今は仰向け状態でやるのは腿上げだけにしとく。
寝返りはたったの2日でできるようになった。
途中うつ伏せから戻れなくて窒息死しそうになったが、人間死が垣間見えると全力が出るもので、おかげで腕立てで身体を少し持ち上げるところまでできるようになった。
筋肉痛が速い。若いと早いもので3時間で来る。
ジジィが例の干し肉を食わしてくることもあってだろうか、日に日に肉体的成長があるのが解って楽しい。
5日目にはプランク。7日目には腕立て。10日目には腹筋。次々とできることが増えていく。
二週間後に捕まり立ちができるようになり、物に捕まったままスクワットを開始。その次の日には歩行可能になった。
筋トレだけでは赤筋ばかりが増えかねない。
歩行ができるようになったので、外でダッシュやジャンプを多用した訓練をし始めることにした。
若いうちの筋肉は成長を阻害するともいうが、そこらへんは自分の勇者としての素養を信じよう。
ジジィとババァは赤ん坊が一人歩きして外界に興味を示し始めた事にさして心配もしなかった。奴らは俺が外に出かけようとすると「ごはんまでには帰ってきなさいよ」と、笑顔で送り出すのだった。
俺、乳幼児やぞ?
さて、5年の月日が経った。
ほとんど、毎日訓練の日々だった。この流れはテンプレ通りなはず。だから俺は5歳児近辺の子供としては類を見ない強さになっているはずだ。外界にはモンスターが跋扈していたので実践にも困らなかった。
訓練を続けるにあたり、徐々に行動範囲が広がった。。戦うモンスターの質も上がって行った。だが、その事を除けば、だいたい同じような事の繰り返しだった。
午前中の基礎訓練、午後の実践訓練。夜の特殊訓練だ。
特殊訓練とは比較的弱めのモンスターとこちらに不利な状況で戦う感じの戦闘訓練だ。
暗闇で蝙蝠とか。
川の中で水属性のモンスターと戦うとか。
時々、強さを見誤って生命の危機にあったりもするけれど、それなりに楽しかったりする。これぞ異世界転生!って感じがする。
それに子供って努力すればするほど身になっていくんだ。
戦う相手が違うだけで代り映えのしない日々だったが、少し分ったこともある。
ジジィとババァの家の荒れた庭には大きめの石が転がってたりするのだが、それが人の手を加えなきゃそうはならんだろ?って感じの向きで立っていることがある。
これは、今日はOKですよっていうババァのサインだ。
庭の石がこうなってたら、俺は特殊訓練に励むようにしている。
夕方くらいに戻ってしまうと、たまに、まだ頑張ってる二人に遭遇するからだ。
一応、こちらが言葉を発するようになってから二人は俺の前でちちくりあうのは辞めているので、こっちも相当気を使っている。
ていうか、あいつら夕方まで終わってないって何回戦やってるのだろうか?
ともかく、ジジィが枯れるまでは家には戻れない。
夜が深くなるとモンスターは強くなる。
ジジィの絶倫さのおかげで俺はどんどん強くなった。
そしてある日の事だった。
ジジィが言った。
「お前もすっかり大きくなった。そろそろ魔王討伐の旅に出る時だろう。」
早い!




