桃太郎 学園編 下級クラス
下級クラス1年の部屋は旧校舎の一階にあった。
中級クラスと下級クラスが旧校舎を使用し、1年と2年が一階。3年と4年が二階を使う。
教室は、いわゆる学校の教室ではなく、畳敷きに座布団と背の低い机が並べられたいわゆる寺子屋のスタイルだった。
さて、下級クラスの教室に到着した俺だったが、いきなり人気者になってしまった。
試験の結果が最下位だからって虐められることも無かった。
「カワイイ~。」女子生徒たちがちやほやしてくれる。
「少年、頑張ったな。合格おめでとう!」男子生徒たちも弟扱いで気さくに声をかけてくれる。
子供万歳。
ちなみに、喜久兵衛も同じような感じで人気者だ。
こんな順調な学校デビューを経験したことないので何だかとても恥ずかしい。
そして、そんなまごまごしている姿がクラスメイト達の母性を掻き立ててしまったらしく、女子生徒たちによる俺の争奪戦が始まっていた。
「私の隣座ろ?」
「えーズルい!私と私と!」
ネネさんの横が良いです!!
とは、恥ずかしくて言えない情けない俺。
それに、みんな結構可愛いのよ。
喜久兵衛なんか、一人のお姉さん女子生徒に後ろからギュッとされていて、とろけそうになっている。なんも考えない喜久兵衛が「お姉さん、美人すね!」とか口走った結果だ。
教室の真ん中の席に女子生徒たちに囲まれるようにして、ちょこんと座る俺。ネネさんは二つ向こうだ。
「はーい。おはようございます。」
担任が教室に入ってきた。最初に門の所に立っていた先生だった。
「こんにちは、このクラスを担任することになった菅原道真です。みなさんヨロシク。」
「よろしくお願いします。」生徒たちが答えた。
「君たちは下級のクラスですけど、そんなのはテストの結果に過ぎません。頑張りしだいでは英雄になれる可能性も秘めていますから、頑張ってくださいね。」
「はい!」
いい先生のようだ。
「というわけで、目標があったほうがいいので、今年は校内バトル大会にエントリーしておきました。皆様頑張ってください。」
ん?
校内バトル大会?
「先生!最上級クラスともあたるんですか?」生徒の一人が尋ねた。
「当たり前です。1年から3年までの全クラスが公平に参加資格があります。」菅原先生はニッコリ笑って言った。
「え?3年の最上級クラスもでるんですか!?」生徒たちの間から悲鳴が上がった。
「下級クラスが最上級クラスに勝ったことはあるんですか?」
「さあ。私の知る限りだと、どの学年も下級クラスはエントリーした事はないですね。」菅原先生は言った。「3年生の中級クラスは毎年エントリーしてますけど、最上級クラスには勝ったことは無いんじゃないかなあ?」
マジか。絶望じゃん。
まあ、俺が一人でやっつけて良いんなら何とか出来るかもしれんが。
クラスのみんなが状況のハードさに静まり返る。
「あ、でも一昨年、2年の最上級クラスが3年生の最上級クラスを押さえて優勝したよ。」
その情報は下級クラスの生徒にとって何か意味があるのだろうか?
「まあまあ、みんなそんな心配しない。」菅原先生はにこやかに言った。「まだまだ3か月も後の事だから、それまでに頑張って鍛えよう!!」
「おーっ!!」空気を読まない、喜久兵衛一人だけがこぶしを上げた。




