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How to propose to…  作者: aaa_rabit
Wedding march
34/41

Meet again

短いので二話投稿しています。

 レグルスが情報を持ってきたのは夫妻にとってあまりにも早く、急かされるまま乗せられた馬車の中で二人は手を握り合っていた。


「まずは抱きしめてお帰りのキスだね、カクス」

「きっと大きくなっているんだろうな。ネーイ似の可愛い女の子に違いない」

「ええー、カクス似の子かもしれないよ。楽しみだな」

「お祖父様も楽しみにしておられたからな。帰ったら皆にお披露目だ」

「大急ぎでドレスも作らないとね。二の兄様に今から頼んでおかないと」


 本物と確証したわけではないのに今から未来図を描く二人を横目に、レグルスはエルネインを溺愛する男の存在を教えられなかった。もし知ったら二人はどうするのだろう。血の雨が降るのだろうか。想像してレグルスはぶるりと身体を震わせた。言えない。自分の口からは絶対に言えない。


 レグルスの意思を他所に、馬車は間もなく大公邸へ辿り着く。三人を出迎えたのはマァサであり、珍しくも彼女は驚きを隠せずにいた。一方、マァサの存在に気付いた夫妻は警戒を一気に引き上げ、その様子にシグルスは慌てる。


「お待ちください、カクス殿!」

「この女は以前妻を攫おうとしたのだぞ、レグルス殿」


 まともに威圧感を浴びたマァサは蒼白になりながら口をぱくぱくとさせている。二人の視界から守るようにレグルスは己の身でマァサを庇う。


「彼女は貴方方のご令嬢と思われる方に仕える使用人なのです。ご令嬢と貴殿の奥方はよく似ておられるので勘違いしたのでしょう。どうか私に免じて、この場は収めていただけませんか?」

「……それが嘘ではないという証拠は?」

「お嬢様をご覧いただければお分かりになるかと」


 暫し睨み合った後、先に逸らしたのはカクスの方だった。殺気が収まったのを確認して、マァサの肩を軽く叩く。


「大丈夫ですか?」

「申し訳ありません、有り難う御座います」

「気になさらず。その様子では暫く動けないでしょう。私が二人を案内するので部屋を教えてください」


 マァサが小声で告げ、シグルスは頷いてから振り返った。シグルス達の話を聞いていたのだろう、二人はすれ違いざまにマァサを一瞥し、邸の中に入っていく。三人の姿が消えるのを待って、マァサはその場で腰を抜かした。


「こちらです」


 何百と訪ねている邸なので、迷うことなく特定の部屋へと辿り着く。そこで待っていたのはこの邸の主とその婚約者を除いた全員で、エリオス以外は現れたネイフィの姿に驚いていた。浮かべる表情こそ違うが瓜二つではないか。


「紹介します。私の妻レラインと両親のガリスにシエリナです」

「初めまして、俺はカクスでこちらが妻のネイフィだ」

「陛下より存じ上げております。この度は遙々お子様を探しに我が国までやって来たとか。ご心痛お察し申し上げますわ」

「ありがとう。でも、レグルスさんの力添えでこうして対面適いました」

「まだ決まったわけではありませんよ」


 ほぼ間違いないだろうが、確定はしていない。黒の国側からすれば、確定して欲しくないのが本音だ。それをおくびにも出さず談笑出来る彼等は、確かにネイフィ達から見れば”お腹が真っ黒”なのだろう。


「待たせたな」


 その言葉と共にやって来たのはクロシュとエルネインだ。クロシュに手を引かれてやって来たエルネインは見知らぬ二人に驚き、ネイフィとカクスも立ち上がる。


「私とカクスの可愛い子供だよ!間違いない」


 飛びつくようにしてネイフィはエルネインを抱きしめる。涙を拭うこともせず愛おしげに頬擦りし、そんな二人を広い腕が包んだ。


「会いたかった。やっと会えた……!!」


 二人に挟まれたエルネインは目を白黒させていたが、おずおずと二人の背に手を回す。その光景を見れば誰もが彼等を家族としか思わないだろう。


「あの、泣かないでください」

「これは嬉しくて出てきちゃうんだ。やっと会えたねエルネ。ママとパパだよ」

「ママ……?パパ……?」

「きゃ~可愛い!食べちゃいたい!」

「落ち着けネーイ。エルネが驚いている」


 襲いかかろうとするネイフィの暴走をカクスが力尽くで止める。その隙にエルネインの身体が後ろに引かれた。転ぶかと思われたが途中で腰を支えてくれる腕に気付き、エルネインは身体の力を素直に抜く。


 子供との再会でクロシュに全く気付いていなかった夫婦は、そこで初めて存在を認めた。


「どちら様?」

「初めまして、エルのご両親。私はクロシュ。エルに一生を捧げた男の名です」


 直後、夫妻が白目を向いて倒れたのは言うまでもないだろう。

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