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理由

「エメルさん……大丈夫かな?」


 船の爆破と同時に姿を消した彼が心配である。私のその呟きにルイスが反応した。無言で私の頭を撫でたのだ。


「何?」


「別に……」


 あの時のエメルさんは何を考えていたんだろう? 妹さん? それとも……この件に関係している事?


 先程、ヴィルグはエメルの話を聞いた時、一瞬だが顔が強張った気がしたのだ。そして、すぐに彼は部屋を出ていった。それを考えると、彼が関わっている可能性が高い。


「シルルさん」


 私が声をかけると、すぐに視線を向けてくれる。私達はベッドの上に三人で腰掛けている。私を真ん中にしてだ。


「……どうしたの?」


「……あのね、その……」


 どうしよう……。言ってもいいのかな? もしかしたら、怒られるかもしれない。そう思っていると、ルイス同様に彼女に頭を撫でられた。


「ニーナ……どうしたの?」


「えっと……その……」


 私が言い淀んでいると、彼女は突然後ろに倒れた。そのままベッドへ横になったのだ。


「っ⁈」


 その事に驚いたが、ルイスも同様に後ろに倒れた。


「ルイスまで⁈」


 二人して横になった。すると、座っている私の腕が彼らによって、両方から軽く引っ張っられた。


「わっ⁈」


 フワフワのベッドに倒れ込んだ私は頬を膨らませながら両隣を交互に見た。


「もう……シルルさん、ルイス」


 すると、二人から膨らませた頬を指で突かれたのだ。


「んもぉ!!」


 私は両手で軽く二人の手を払った。


「ニーナ」


 すると、シルルは私の瞼を手で軽く触れた。


「ニーナ……少し、寝ましょう」


「ええ⁈」


 彼女の私に触れる手から避けた。


「眠たくないよ」


「……貴方の言いたい事はわかるわ」


「えっ?」


 私は目を見開いて彼女を見ると、私を見つめるその瞳と目が合った。すると、彼女はその瞳を緩めた。


「エメルを……探しに行きたいんでしょう?」


「あっ……」


 正解だ。私は彼を探しに行きたかったのだ。様子がおかしい彼をどうしても放っておく事ができない。


「何で……わかったの?」


 その言葉に彼女は軽く笑った。


「顔に書いてあるわ……ニーナはわかりやすいから」


 それを聞いた私は自身の顔に手を伸ばして触れた。


「わかりやすい……かな?」


「ええ」


「……無表情の練習でもしようかな」


 そう呟くと、もう片方から手を伸ばされて、そのまま頭を撫でられた。


「ルイス?」


「ニーナはわかりやすいのがいいんだよ」


 彼の言葉にシルルも頷いた。


「さあ……ニーナ、ルイス。貴方はお昼寝の時間よ……」


「だから、まだ…………」


 眠たくないと伝えようとしたが、最後まで言う事はできなかった。何故なら、彼女の小さな声で呟いた「おやすみ」と言う声を聞いた瞬間に眠気に抗えなかった。そして、意識はそのまま夢の中へと入ってしまった。


 シルルが二人に魔法をかけたのだ。彼らをこの騒動に関わらせたくないからだ。彼女は眠る二人の子供にシーツをかけた。そして、そのまま彼らの頭を軽く撫でると、規則正しい寝息が聞こえてきた。その声を聞いた彼女は頬を緩めた。


「無事で……本当に……良かった……」


 シルルはホッと息をついた。あの爆破の瞬間に二人に何かあったらと不安でたまらなかったのだ。そして、二人の穏やかに眠る姿を見て、やっと心から安堵できたのだった。

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