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混乱する船内②

 ヴィルグは部屋を出ると、サキ達の元へと急いだ。ニーナから聞いた話で予測したのはこの爆破にエメルが関わっている可能性だ。


「サキ!」


 ヴィルグが声をかけると、彼はすぐに反応して振り返った。


「リーダー」


 そこには彼以外にもミクリがいた。彼女は爆破された船内を見ている。


「私の可愛い息子がーー!!」


 だが、見渡しながら、泣き叫んでいた。彼女は船の事を自身の可愛い息子だと思っているのだ。


 ヴィルグも同様に見渡した。大きな音で爆破したがそこまで被害は大きくないようだ。


「リーダー……」


 ミクリがヴィルグの存在に気づき声をかけた。しかし、その声色には普段の元気はない。


「この一室はボロボロだけど、船自体に被害は少ないから……一応は無事だよ」


 彼女のその言葉にヴィルグは少し安堵した。


「そうか……。それで、不審な輩はいたか?」


 その言葉にサキは首を横に振った。


「リーダー。この爆破の後と砕け落ちている石を見ると、魔道具の一種だと思う。だから、離れた位置から爆破できる筈」


 ミクリの言葉にさらにヴィルグの予想が深まる。


「……二人はエメルを見たか?」


 その問いに二人は顔を見合わせてから、首を横に振った。


「エメル? そう言えば、さっきから見当たらないですね」


 ヴィルグもこの場所に来るまで間、彼の姿を見ていない。


「…………」


「リーダー?」


「……今すぐにエメルを探せ」


 サキにすぐさまエメルを探すように指示を出した。エメルを疑う事に気が引けるがどうしても、その疑いを晴らす事ができない。そのため、本人に直接確認する以外は方法がない。


 そして、サキは他の船員と共にエメルを探し始めた。


「リーダー」


 ヴィルグに声をかけたのは人型に戻ったアカツキだった。


「怪我人は?」


「怪我人は多少いますが、皆、軽症で済んでます」


 その言葉にヴィルグは安堵した。


「そうか。アカツキはエメルを見たか?」


「エメル? いえ、見てませんけど……探しとるんですか?」


「ああ……少し、気になる事があってな」


 その言葉にアカツキは先程、怪我人を治療するときに聞いた話を思い出した。


「…………それなら、僕もエメルのことで少し気になる事を船員から聞きましたわ」


「何だ?」


「エメルが何かを大事そうに握り占めていたという話ですわ。そのときに、その船員は声をかけたらしいんですけど、すぐにその場から去っていったらしくって……急に声をかけた事を謝ろう思うても、姿を見付ける事ができなかったって、言ってましたわ……。まあ、今は関係ない話かもしれませんが……」


「……わかった。アカツキもエメルを見かけたら、教えてくれ」


「わかりました。僕はまた、患者の所に戻ります」


 そして、アカツキも部屋から出て行った。


「リーダー。私も船を治すための道具をとってきます……」


 そう言ったミクリも部屋から出て行った。ヴィルグはもう一度、爆破が起きた部屋を見渡した。


「何故……船を爆破したんだ? 被害は小さい……何を狙ったんだ?」


 爆破の理由の検討がつかないヴィルグは頭を悩ませた。船を沈ませるつもりもない上に特に盗まれた物もない。何を目的としたのか……その理由がわからない事にモヤモヤとした。


「チッ……わかんねぇ」


 そして、ヴィルグは落ち着くために深呼吸を行い、もう一度、爆破が起きた部屋の中を隅々まで見渡していった。

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