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8/16

薬草摘みは基本

良いタイトル名が思いつかなくて迷子状態です|д゜)




「よし、シロ隊員。今日は、冒険者ギルドで依頼を受けたいと思います」

「ワゥン!」

「よろしい。ならば、ついてきたまえ!」

「ワォーンっ!」


昨日に引き続き、同じムーブで宿屋を出る俺とシロ。宿屋のおばちゃんと宿泊者の視線が、生ぬるいものから可哀想な目に変わっているのは気にしてはいけない。

ええんや、俺らが楽しければええんや。俺はやめへんぞ!




「さて、やってきました。冒険者ギルド」


案の定というか、やっぱりシロの人気はすごいね。ここまで来る途中、子供も大人もめっちゃ撫でてくる。

でも仕方ないね、シロ可愛いもの。しかも、今日は店員さんチョイスのスカーフに、その後に雑貨屋さんで買った鞄を背中に括りつけている。控えめに言って、可愛さ倍増だ。人気も倍増だ。

俺も服装を変えて腰に小剣を携えて、髪を後ろにまとめることにした。そのおかげかな?シロのついでに俺にも声をかけてくれる人が増えた気がする。身だしなみって大切なんだね。実感したわ。


話は変わるけど、シロには荷物持ちの役割をしてもらうことにした。戦闘は全部、俺。

シロって、ぶっちゃけそんなに強くないんだよね。なにせバランウルフに負けそうだったくらいだし。それなら戦闘は俺が担当して、シロにはその体の大きさとパワーを活かして荷物持ちをしてもらうのが良いと思った。その為の鞄だね。

戦闘を全部俺が引き受けることに、シロはものすごい申し訳なさそうな目をして鳴いてたけど。俺的には、シロが怪我をするよりかははるかにマシだ。

そんなわけで、こんなスタンスで冒険者活動をやってみようと思う。不都合が出たら、その時に切り替えていけば良いさ。


そんなこんなで、俺は冒険者ギルドの扉を開け中に入る。


ざわっ


俺がギルドの中に入った瞬間、騒がしかったのが一転し静かになった。


「?」


俺は構わず受付まで歩くが、俺を値踏みするような目で見てくるやつと、恨みがましい目で見てくるやつがいる。


「ブレイカーだ」

「おい、目を合わせるな」

「あんなやつが強いのか?」

「おい!やめとけ!」


あ~、あれか。一昨日の乱闘が尾を引いてるやつですか?あれは、俺悪くないですやん。むしろ、示談で済ませてあげましたやん。

後、俺をブレイカーと呼ぶな!なにブレイカー(壊し屋)って、恥ずかしいわ。

・・・良い大人がズルズルと女々しいこったな。無視しとこ。


「すいません、依頼を受けたいんですけど」

「ひゃ、ひゃいっ!ど、どういった依頼をご希望ですか?」


受付嬢さん、お前もか。冒険者たちの反応は別にどうでも良いとしても、受付嬢さんから怖がられるのはちょっと心に刺さったな。

俺は、怖がらせないようになるべく優しく対応するようにした。


「初めて依頼を受けるんだけど、何を受けたらいいかな?」

「あ、そ、そうですね。初めてということはEランクということでよろしいですか?」

「それじゃ、Eランクで簡単そうなのでお願いするかな」

「そ、それでしたら、この薬草摘みはいかがですか?報酬は十束で銅貨五枚と安いですが・・・」


おお、冒険者の登竜門の薬草取り!これは、一度で良いから体験しときたいな。ラノベでは、薬草を取り巻くって荒稼ぎしたりするんだよな。


「おお、いかにも冒険者って感じの依頼だね。それを受けようかな」

「ふふ、かしこまりました。依頼書を発行しますので、少々お待ちくださいませ」


おお、少しフランクに接したのが良かったのか、受付嬢さんが少し心を開いてくれた気がする。せめて受付嬢さんだけでも、普通に接してほしいしこの調子で頑張ろう。


「お待たせしました。概要はこの紙に書いてありますので、後で確認してください」

「ありがとう、それでは行ってきます」

「ふふ、行ってらっしゃいませ」


微笑みながら見送ってくれる受付嬢さん・・・いいな、この感じ。青春してるって感じがする。いや、青春したことないからわからんけど。


「よし、それじゃシロ隊員。任務に行くぞっ」

「ウォン!」


あっ、思わず宿屋の中のノリをやってしまった。受付嬢さんがクスクス笑ってる・・・恥ずかしい。俺は、そそくさと薬草取りにギルドを後にした。




~~~sideマイカ~~~


私、冒険者ギルドバラン支部の受付嬢をしています。マイカと申します。花の十七歳、彼氏は・・・いたことありません。

受付嬢をしてると、冒険者のみなさんから口説かれることは多いんですが・・・みんな粗雑というか乱暴な人が多くて、怖くてそんな気にはなれません。

後、男臭い人は苦手です。


はぁ~、どこかに優しい紳士的な人いないかなぁ。


「おい、あいつブレイカーじゃねぇか?」

「静かにしろ、目を合わせるんじゃねぇ」


冒険者さんの声で、現実に戻る。いけないいけない私ったら、また空想に耽ってしまったわ。お仕事しなきゃ。

でも冒険者のみなさんが、仕切りに外を気にしてる。どうやらブレイカーと呼ばれる冒険者がこっちに来るらしい。


「ブレイカーってなんだよ、だっせぇ呼び名だなワハハハ」

「ばかやろう!お前、昨日いなかったのかよ!」


昨日何かあったのかしら?・・・昨日はお休みだったからわからない。


「お、おう。お前、何か必死だな・・・」

「当たり前だ!昨日ジンとブレイバーを含めた二十人以上の冒険者たちをたった一人で、しかもワンパンで沈めていったやつだぞ!」

「ま、まじかよ・・・ジンはBランクだし、ブレイバーもランクこそ低いがそれなりの実力だぞ?それをワンパンって・・・」

「本当の話だ。ジンもブレイバーもやつには傷一つつけることはできなかった。死にたくなかったら、これから来るやつに絡むんじゃねぇぞ」

「お、おう。わかったよ・・・」


なにそれ、怖い。

私は、冒険者たちの会話を聞きながら震える。Bランクのジンさんと、若手のエースでもあるブレイバーが手も足も出ないって・・・しかも、二十人以上の冒険者たちを倒すだなんてきっと鬼のような風貌の人に違いないわ。


あうぅ~、誰か受付業務変わってくれないかしら・・・


「お、おい。きたぞ!」

「みんな、黙れ見るんじゃねぇ」


き、来ちゃったあああ。


いつもは喧噪としてるのに、ウソみたいな静寂が訪れる。いつもは聴こえない扉の音が、今日は良く聴こえるわ・・・




・・・




あれ?思ったより普通・・・?少なくとも鬼のような風貌でも乱暴そうな感じでもないわ。やってきたのは、身長の高いすらっとした黒髪黒目の青年だった。清潔な身嗜みに優しそうな顔つきは、とても冒険者には見えないわ。むしろ、かっこいい。


でも、みんな目を合わせないわね・・・と、言うことは間違いなくこの人はブレイカーと呼ばれる人。

見た目は優しそうだけど、すごい残虐な生活なのかしら。

そうに違いないわ!だって、そうじゃないとガサツな冒険者がこんなにも大人しくならないもの!

あ、こっちに来る。お願いします!私じゃないとこの受付にお願いします!あぁぁ・・・こっちに来てるうううう。


「すいません、依頼を受けたいんですけど」

「ひゃ、ひゃいっ!ど、どういった依頼をご希望ですか?」


緊張で声が裏返っちゃった。気分を害しちゃってないかなぁ・・・私は、緊張と怖くて涙を抑えながら喋るので精いっぱいだ。


「初めて依頼を受けるんだけど、何を受けたらいいかな?」

「あ、そ、そうですね。初めてということはEランクということでよろしいですか?」

「そうですね。Eランクで簡単そうなのでお願いします」


あれ・・・?意外と優しい・・・?泣きそうな私をすごい気遣ってくれてるのが分かる。それに口調もとても穏やかだし、他の冒険者みたいな下心のある目で私を見てない。


「そ、それでしたら、この薬草摘みはいかがですか?報酬は十束で銅貨五枚と安いですが・・・」

「おお、いかにも冒険者って感じの依頼ですね、それを受けようかな」

「ふふ、かしこまりました。依頼書を発行しますので、少々お待ちくださいませ」


場を和ませるために、冗談まで言ってくれる・・・優しい。思わず、私にも笑みが零れる。


「お待たせしました。概要はこの紙に書いてありますので、後で確認してください」

「ありがとう、それでは行ってきます」

「ふふ、行ってらっしゃいませ」

「よし、シロ隊員。いくぞ!」

「ウォン!」


笑顔で去っていく、ブレイカーさんを私も笑顔で見送る。緊張しすぎて、今まで白いワンコの存在に今更ながら気付いた・・・触りたかったなぁ。

噂のブレイカーさんは、最初は怖かったけど。物腰も柔らかいし、とても優しい人だった。男臭くないし紳士だし・・・あれっ?私の理想の王子様そのまんまだ。



・・・どうしよう。ドキドキしてきちゃった。




~~~




「いやー、やっぱ冒険って言ったら薬草摘みだよなー」

「ワォンッ!」


俺たちは、再びバランの森へと来ていた。ここに来るのは二度目だが、あの時は俺もこの世界に来たばっかりだったしシロは襲われてたし、色々と楽しめなかった。

だが、今回は違う。ちゃんと帰る場所もあるし、生活基盤もある程度整っている。うん、森を楽しみつつ薬草を摘んでまわろう。

シロも、嬉しそうに森の中を駆け回ってるな。そうだよな、街中じゃ走れないもんな。そうなると、定期的にシロを街の外に連れていってあげないとな。

うん、散歩は飼い主の義務だ。これからはそうしよう。


「よし、シロ隊員。俺は今から薬草を摘む。シロ隊員は、周りの捜索だ!何か面白い物を見つけたら持ってくるように」

「ワォーンっ!」

「さって、俺も仕事しますかね」


元気に返事をしながら森の中へ飛び出していくシロを見送りつつ、俺も気合いを入れる。

今は示談金がいっぱいあるけど、このままだといずれ底をつくだろう。生きるためには稼ぎつつ、色々なことを学ばなければいけない。

その一環として、この世界の金銭感覚と仕事に慣れる必要がある。一番難易度の低い依頼から順にこなしていって、徐々にこの世界のことを学びつつ稼いでいこうっていう案だ。略してプランAだ。

ちなみに、プランBもあるが内緒だ。


銀貨二千枚もあるから節約すれば大丈夫だろうって?バカおっしゃい、シロさんめちゃくちゃ食べるんだぞ?俺には、シロを魔物からワンコに変えてしまった責任がある。ひもじい思いはなるべくさせたくない。

そして俺もせっかく異世界にきたのに節約とかしたくないし、ひもじい思いもしたくない。

と、いうことでまずは薬草摘みから慣れていこう。


「確かゲームでは、木の根元に複数まとまって生えてたよな・・・あ、これこれ」


うん、受付嬢さんがくれた紙に書いてある薬草の特徴ともばっちりだな。


「懐かしいなー、ゲーム時代によく摘んでポーション作ってたなぁー」


黙々と薬草を摘む。何か初心者時代に戻ったみたいでこれはこれで楽しいな。そもそも俺って、単純作業好きなんだよなぁ。五時間延々と薬草摘んで、一時間延々とポーション作ったりとか割と嫌いじゃなかった。

そういえば、この世界ではポーションってどうやって作るんだ?錬金術師とかでもいるのか?

ギルドに戻ったら聞いてみるか。


「あ痛たた、現実にやると結構腰に来るのね。・・・お?あれってリンゴか?」


長いこと薬草を摘んでたら腰が悲鳴を上げてきた。俺は腰を伸ばしてる際に、木の上に例の果実がなってるのを気付いた。あのまんまるのフォルム、艶のある鮮やかな赤い色・・・どうみてもリンゴだけど、猛毒なんだよなぁ。美味しいのに。


良くみたら木の幹にもシイタケっぽいプリップリのキノコが生えてるな。

めっちゃ美味そうやんと思った瞬間、頭の中に鳴り響くアラーム警報。・・・際ですか、これも毒っすか。

美味しそうなのに・・・むしろ、毒持ってるほうが美味しい説あるな。


「とりあえず食べるか?毒効かないし・・・」


リンゴっぽいやつは、確かに美味かった。このプリップリなシイタケっぽいのもきっと美味いと思う。

でも効かないとはいえ、毒を食べるのって抵抗が・・・でも美味かったしなぁ。


「ひ、非常食として・・・」


俺は、考えるのを辞めてリンゴとシイタケっぽいものも薬草と一緒に革袋へ詰め込んだ。

食欲に勝る物はないよ。


「他にも何かないかな~、俺ってば充実した生活送ってるねぇ」


日本では味わったことないけど、体を動かすのと外に出るのって意外と気持ち良いんだね。

前の生活スタイルに不満は一切ないけど、案外この生活スタイルも悪くない。人生二度得した気分だよ。そこらへんは、本当に神様に感謝。


「ん?あれは・・・ビワっぽい。おや、もう捜索はいいのかシロ?」

「ワフ」

「おお、ウサギを狩ってきたのか!偉いぞ~シロ」

「ワフワフっ」


散策を終えたシロが戻ってきた。狩ってきたウサギを俺に見せて、とても誇らしげな表情だ。褒めて褒めてと言わんばかりに尻尾を振るから、充分に撫でくりまわしてやる。

ていうか、そのウサギ角が生えるね。二メートルの狼といい、ファンタジーだねぇ。


「そうだ、そのウサギは宿屋のおばちゃんに調理してもらうか」

「ワフッワフッッ」


おお、シロの尻尾の速度がやばいことに。ちなみにシロは宿屋のおばちゃんにすごく懐いているし、おばちゃんもシロをすごく甘やかしている。シロに余った肉とか魚あげてるおばちゃんの姿を良く目撃してる。


「さって、そうと決まったらちゃちゃっとギルドに報告して、帰るかね」

「ウォンっ!」


俺とシロは、ウサギと採取した薬草や果実もろもろをシロの鞄に詰め込むと意気揚々と街へ戻ることにした。ちなみに、採取したシイタケ・ビワっぽいやつは、やっぱり猛毒で買い取り拒否だったよ。

なんなのこの森?毒だらけやんけ。まぁ、食べ物には罪がないし俺が美味しく頂くとしよう。

薬草で荒稼ぎ?無理無理。


ウサギは宿屋のおばちゃんに渡して、宿のみんなで仲良く食べました。



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