第94話:転生してから初めての迷子
入って来たのは四十代くらいの小太りした男だった。
「初めまして。私はババンと申します」
「こちらこそ、初めまして」
俺は敢えて名前を言わないようにした。
何故なら、名前を名乗ってしまうと仮面を付けている意味が無くなるからだ。
ババンさんは俺とは反対側のソファーに座り口を開く。
「それでは、商品の受け渡しをしますので、まずこちらの商品をご確認下さい」
そう言い手に持っていた袋から合計十個の木箱を出し一つ一つ丁寧に蓋を開けていく。
多分、あの袋はマジックアイテムだと思う。それも、俺の腕輪と同じような。
ババンさんが蓋を開けたことによって中身が見えるようになり木箱の中に入っていた物を見ることが出来た。
木箱の中に入っていたのはやはり、俺が落札した靴とソックスだった。
十個の木箱の蓋を開け終わると一つ一つ丁寧に俺の見えやすい位置に移動させる。
俺は一つ一つ見てから口を開く。
「これで間違いありません」
「では、一つ大金貨三枚ですので、合計で白銀貨三枚です」
「分かりました」
俺は懐から白銀貨三枚を出すようにして腕輪から白銀貨三枚を出し長机に置く。
「では、確認させていただきます」
ババンさんは白銀貨三枚を手に取りじっくり見た後に口を開く。
「どうやら本物のようですね。では、これでこちらの品は貴方様の物になりました。それでは、私はこれにて。この部屋には今日までは居てもらっても構いませんので」
と言い最後に軽くお辞儀をしてから部屋を出て行った。
俺はババンさんが部屋を出て行き少ししてから木箱に蓋を付けてから腕輪にしまう。
木箱を腕輪にしまい終わりすぐに、ソファーから立ち上がり部屋を出る。
部屋を出ると俺をこの部屋まで案内した黒い服の人が居たのでビックリしてしまう。
「もうお帰りになられますか?」
「はい」
「では、出口までご案内致します」
「よろしくお願いします」
俺はそう言い黒い服の人について行く。
出入口までの道は覚えていたが、ここは従った方がいいと思ったからだ。
黒い服の人について行くこと約一分くらいで出入口まで着くことが出来た。
「明日のご来店もお待ちしております」
俺は黒い服の人にそう言われながらオークション会場を後にした。
ジルバさんには歩いて帰るって行ったけど帰り道が今更ながら分からないことに気が付いた。
あっ! どうやって宿屋まで帰るんだ? その事をまったく考えてなかったな。さて、どうしますか。
幸いにもまだ時間はあるしいずれは帰れると思うけど、どうするかな。
周りを見た所、全く知らない店や建物があるけど、装備を整えた冒険者が何人か居るからここは冒険者ギルドから離れ過ぎているということはないと思う。
まさか、この歳にもなって迷子になるとは夢にも思わなかったけど。
まぁ、今の状況が迷子なのかは分からないが。
まぁ、まずは適当な店にでも入って何が売られているのかとか見ながらゆっくり宿屋を探すとしますか。
そういう事で気になった店があったのでその店に入ろうとしたのだが、流石に仮面を付けたまま入るのはちょっとなと思い仮面を取ってから店に入る。
中に入ると俺以外にお客は居ないようで、この店に現在居るのは俺と店番をしている少女だけだ。
て言うか店番が少女一人とか大丈夫なのか?
まぁ、少女と言っても俺より一つ下くらいなんだけど。
店の中を一通り見て回った結果、この店はどうやら色々なポーションや傷口に塗ったりする物などが売られているのが分かったのだが、どうやらこの店はポーションをメインに扱っているようだが、店の隅の方に数は少ないが本が置かれているようだ。
数冊だが、本の題名を見て見たが、その全てがポーションの作り方についてなどのようなポーション関連の本だとわかった。
店の商品を一通り見た後、次の店に向かう為にこの店をでる。
ポーション屋だと思われる店から出て歩いて興味のわく店を探しながら歩いているが、なかなか興味のわく店がない。
それに、適当に歩いていたので何故か周りに店が少なくなりその代わりと言ってはなんだが、何故か住宅地的なところに来てしまっていた。
と言うかこんな所あったんだな。てっきり店けん家だと思っていた。
まぁ、店けん家にしている人もいると思うけど。
まぁいいか。それよりも宿屋に戻ることだけを考えるよう。
少し早足になりながら住宅地を適当に進んで行く。
だが、流石王都なだけあり迷路のようになっている。それによって訳が分からなくなっている。元々、自分の居場所が分かっていなかったのに更に分からなくなりそうだ。
もう自分の力で帰るのを諦めて誰かに聞くか。
俺はそう思い近くを歩いていた男に話しかける。
「すいません」
「おう、なんだ坊主! って、お前無茶苦茶イケメンじゃねぇーか! そう言えば無茶苦茶イケメンの冒険者が王都に来たとか聞いたな。お前が噂の冒険者か?」
「噂の事は分かりませんが。確かに最近、王都に来たばかりなのは確かですので、もしかしたら俺かも知れませんね」
「おぉ、そうか。それで、なんか俺に用でもあんのか?」
「えっとですね。冒険者ギルドってここからどうすれば行けますか?」
「坊主。お前まさか迷子か?」
俺はそう言われて思わず顔を少し赤くしてしまう。
「お恥ずかしながら」
「そうか。まぁ、最近きたばかりみたいだからな。仕方ないか。行先は冒険者ギルドでいいんだな?」
「はい」
「この方向に進んで行けば冒険者ギルドに着くと思うぞ」
男は指を指しながら言ってきた。
「分かりました。ありがとうございます」
「おう、でも、すまんな。」
「いえいえ、詳しく言われた方が分からないと思いますよ。何せ迷路見たいですからね」
「それもそうか。じゃあな」
「はい」
俺はそう言い男と別れ言われた方向に向かって進む。
男に言われた通りの方向に進むこと約十分程で住宅地的なところから出る事が出来た。
そして、現在は周りに色々な店がある通りを串肉を食べながら歩いている。
この串肉は屋台で売っており美味しそうな匂いが漂って来て我慢出来ずに買った物だ。
あっ、食べた感想だが、かなり美味しいです。これまで食べた串肉でかなり上位の美味さかもしれない。
それと勿論、自分が今何処にいるか分かっていない。
まぁ、言われた通りの方向に進んでいるので大丈夫だと思う。
それに、少しずつだけど冒険者が増えて来ているし。
串肉を食べながら歩く事、約三十分程で俺が知る道に出たので、冒険者ギルドに向かうのを辞めて宿屋に向かう。
そもそも。何故、宿屋の場所を聞かなかったのかと言うともしかしたら、俺が借りている宿屋の場所がわからないかもしれないと思い誰でもわかりそうな冒険者ギルドの場所を聞いたのだ。
ここから宿屋までは数十分程かかるが、あれだな。迷子になった人なら分かるかもしれないが、全く知らない場所から知っている場所に行けた時の喜び。
まぁ、とっとと帰りますか。
それから俺は数十分程掛けて宿屋に無事帰ってくることが出来た。
宿屋着くなり俺は自分部屋に向かう。
自分の部屋の扉を開けて中に入るとティアーナがロゼに勉強を教えていたので、邪魔しないようにゆっくり扉を閉めてベッドに向かう。
やっと部屋に帰ってこれた安堵感とオークションでの疲れなどが、一気に押し寄せてきた為に今になって眠気がしてきた為にベッドに向かったのだ。
ベッドに向かい布団に潜り込むようにして布団に入りすぐに、眠りにつく。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ブックマークと評価していただけるととても嬉しいです。
変更のお知らせです。
王都に着いてからオークションまでの日数は6日後だったのですが、7日後に変更致します。
ご了承下さい。
アドバイスなど、してくれると嬉しいので、アドバイスよろしくお願いします。他にも何かあれば遠慮無くどうぞ。
この作品に良さそうな作品名があれば教えて下さい。もしかすれば、その作品名にするかもしれませんご協力よろしくお願いします。
魔物の名前とかにあまり詳しくありません、なのでなんでもいいので教えて貰えれば嬉しいです。
これからもこの作品をよろしくお願いします。




