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いずれ魔王になりその先へ  作者: 橘 琥珀
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第70話:グリーンウルフ特異種

 

 ――――――――――――――――――――――――


「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」


 彼は今、二人組みのニンゲンから逃げている。それも全力で逃げている。


 そのせいで彼の部下達と少しずつ離れて行っている。それにも気が付かずに全力で逃げている。


 生まれてきて彼は一度も敗北を知らなかった。


 彼は生まれた時から同年代の同種よりも身体が大きく身体能力が高かった。


 生まれた時から同年代の同種よりも強かった事もあり彼はどんど強くなって行った。


 例え同じ種族でも所属する群れが違えば敵どうしであり縄張り争いがある。


 そして、いつの間にか群れのリーダーになっていた。


 群れのリーダーになれば、自分の縄張りを守らなくてはならない。


 毎日のように他の群れや縄張りに侵入して来たものと戦って行くうちに彼はさらに強くなった。


 そして、時が経つにつれて彼は同種よりも少しずつ大きくなって行った。


 彼は自分の身体の他にも同種と違う所があった。それは彼にとっては1番の武器と言えた。


 それは、知性だった。


 これまで見てきた同種や別の種族には彼よりも優れた知性を持っているものは居なかった。


 彼は戦えば戦うほど知識を身に付けて行った。その知識は戦術だった。この相手であればこうすればいいこう来るならこうすればいいと。だが、ある日ニンゲンを見つけた。


 最初はニンゲンを見つければ逃げていたが、ある日ニンゲンを見かけた時に部下が一匹殺られた。


 それを見ていた別の部下がニンゲンに向かって行ったのを切っ掛けに次々と部下がニンゲンに向かって行く。


 彼はそれを止めずに少しの間、見ていたニンゲンはしっかりとした連携をとり部下を相手しているのをそれを見て彼は確信した。


 ニンゲンと戦っていけば自分は更に強くなれると。


 そう思うと彼は吠えた。


 それは部下を1度呼び戻す為の遠吠えだ。


 彼は簡単な指示しか分からない部下に愕然としながらも指示を出す。


 彼がこれまでの戦いで学んで来た全てをニンゲン相手にどこまで行けるのか、それとも全く通じないのか試してみたくなったのだ。


 数を生かしニンゲンを徐々に弱らせ最後は優秀な部下と彼で仕留める。


 部下を数匹失ったが、ニンゲンを殺すことが出た。


 部下はいくらでも増やすことが出来る。何故ならいくらでも同種は存在しているのだから。


 彼はニンゲンと戦った後、自分の部下を増やすことにした。


 自分の部下を増やす事は簡単だった。何故なら他の群れを吸収すれば良かったのだから。


 そして、群れを三つに分けた。


 一つ目は縄張りの拡張けん防衛。


 二つ目は食料収集


 最後は彼が率いる群れだ。


 彼が率いる群れは一匹一匹が他の群れであればリーダーにもなれる程の者達ばかりの精鋭と言える群れだ。


 勿論、一つ目と二つ目の群れの中にも彼が率いる群れの者と同じくらいの強さを持っている者も居る。


 彼が率いる群れの一匹一匹には一定以上の知性と力があった。


 その為に彼が行いたい戦術などを最低限だが、実行出来た。


 彼が率いる群れはニンゲンを襲う為に作ったと言っていい群れだった。


 ニンゲンの殆どは強かった。だが、強かったが勝てないほどでは無かった。


 ニンゲンは強いが数は少ないが、一人一人が強くそして、いろいろな戦術を使う。


 だからニンゲンと戦えば戦うほど自分や部下が強くなっていった。


 弱い部下はすぐにニンゲンに殺される。それによって強い部下だけが生き残って行った。


 一匹一匹が普通の同種よりも身体が少しだが、大きくなって行った。


 彼はその中に居ても身体が大きく力もあり知性もある。


 彼はそんな群れを率いてニンゲンを襲う。


 ニンゲンを襲った後はニンゲンを食べる。1度狙ったニンゲンは確実に仕留めてきた。


 そして、いつの間にか彼はニンゲンの殆どを獲物だと思うようになって行った。


 彼はニンゲンと戦う度にある事に気が付いた。それはニンゲンには個体差が激しいのだと気が付いたのだ。


 彼はニンゲンの歩き方、警戒の仕方などからニンゲンの強さをある程度だが、見極めれるようになって行った。


 そして、彼が選んだのは自分よりも弱いニンゲンでは無くはたまた自分よりも格上ではなく自分と同じくらいの強さのニンゲンを襲うようになった。


 その事によって、彼はまた強くなって行った。そして、彼だけではなく彼の部下も強くなって行ったのだ。


 彼が率いる群れはニンゲンだけを襲う訳では無い。


 偶にではあるが、同種の群れを襲いはたまた縄張りを他の群れから守ったり自分の群れを増やしたりして行き見つければ群れ全体を強くして行った。


 ニンゲンや同種の他にも同種よりも格上の者を戦術を立てて殺したりもした。


 ニンゲンとの戦いで自分の他にも率いている群れは強くなり普通なら絶対に勝てないと思われていた者にも勝つことが出来たが、その代わりに部下を失った。


 彼は部下を失うにつれて貪欲に知識と力を求めた。


 彼がまだ群れのリーダーでは無い時は前に出て戦っていたが、リーダーになってからは後ろで指示を出すか隙をついて攻撃をした後、すぐに下がって居た。


 彼は知識の方を優先していたが、次第に力を優先し始めた。


 勿論、知識も大事だが、自分を更なる高みへ至るには知識だけで無く力も必要だと思い始めたからだ。


 彼は次第に後ろにばかり居るのでは無く前にも出るようになっていた。


 だが、彼は知性が高かった。


 ニンゲンを襲う時だけ彼は前に殆ど出なかった。


 彼は知っていたからだ、ニンゲンの中には自分よりも強い者が居ると。


 だが、彼は知っていた自分よりも強いからと言って数には勝てないと。


 そして、彼は一つの強い力よりいくつもの弱い力があればどんな相手にでも勝てると。


 そして、彼は部下を増やして行った。


 だが、あのニンゲンには数は通じなかった。


 あのニンゲンに殺られたのは替えが利かない部下なのだ。いや、正確に言えば替えはきくのだ。だが、その部下は他の群れを率いている部下やそれを補佐する部下なのだ。


 その群れには必要な存在でもある。だから今回殺られた部下の替えにするのは難しい。


 もし今回殺られたのが普通の部下であるのならいくらでも替えはきく。


 でも今回殺られた部下は一匹一匹が他の群れのリーダーかそれを補佐していても何もおかしくないほどの部下なのだ。


 彼が率いている群れは精鋭中の精鋭を集めている群れだった。


 そして、彼はこれまで負けたことは無かった。


 彼はあのニンゲン2人に負けるまでは数こそが最強であると思っていた。だが、あのニンゲン2人と戦い彼がこれまでやってきた殆どのことが、間違っていると思い知らされた。


 あのニンゲンにはいくら数で攻めても無駄だと思い知らされたのだ。


 絶対的な強者には数は無意味なのだと通用するのは数ではなく絶対的な強さを持つ個人なのだと。


 彼は考える。


 もし彼一人でこれまで生きていたら彼は更に強くなって行っただろう。


 だが、それはリスクを伴う。何故なら彼一人で生きていれば彼自身が数の前に敗北をしていただろう。


 ただ、今回の相手が悪過ぎたに過ぎない。


 そう彼は思い込むことにしたと同時に彼は一つの決断をした。


 それは、群れを離れることだった。


 そして、あのニンゲンを倒せる程に強くなると強く決意する。


 彼はその為にこれまで増やして来た部下を今回の戦いで生き残った内の中でも優秀な三匹に託した。


 三匹のうち一匹は食料収集をする群れを率いる。


 縄張りの拡張けん防衛をする群れを二つに分けて縄張りの拡張だけを行う群れと縄張りの防衛をする群れに分けた。


 その2つの群れに残りの二匹をそれぞれに率いらせた。


 そして、彼は一人で旅に出る。


 彼一人でこれから生き抜くために。


 ――――――――――――――――――――――――



「ご……じん様! 起きて下さい!」


 セレーネに声を掛けられ身体を揺さぶられ白夜は目が覚めた。


 目を開けると二つの双丘が目に入る。


 アレだな同じだな。でも少し二つの双丘の形がティアーナと違う気がするし太ももの感触が違う気がする。


 そんな事を思っていると俺が起きた事に気が付いたようだ。


「あっ! やっと起きましたかご主人様!」


 セレーネだったのか。ご主人様と俺を呼ぶのはセレーネだけだからな。


「おはよう」


「おはようございます。ご主人様!」


「なんかあったのか、セレーネ」


「王都に着いたのでご主人様を起こしました」


「もう王都に着いたのか! 思いのほか早かったな!」


「ご主人様? 何を言っているのですか? ご主人様が眠られてからもう相当時間が経っていますよ? 実際に外は暗くなっていますよ?」


「えっ!」


 俺って何時間寝てたんだ? もう外が暗くなってるってことは5時間以上は寝てるってことだよな? 何でこんなに俺って寝てるんだろ? 自分でも分からないんだけど。ま、気にしないことにするか。


 ふとティアーナとオリヴィアの声が聞こえてこない事に今更気が付き頭を傾けてティアーナとオリヴィアを探すが馬車内には居ないようだ。


「セレーネ。ティアーナとオリヴィアは?」


「ティアーナとオリヴィアなら今、外にいますよ」


「なんで外にいるんだ?」


「ティアーナとオリヴィアが御者に、いつ頃になったら王都に入れるか聞きに行っています」


「かなり待っているのか?」


「はい、今は門の前で待っているのですが、この状況が続いているのでティアーナとオリヴィアがいつ頃になったら王都に入れるか聞きに行っているところです」


「そうか」


 今も俺はセレーネに膝枕されています。


 俺がそう言い終わると馬車の扉が開く。


 扉が開きティアーナとオリヴィアが馬車に入ってくる。


「ティアーナ、オリヴィアどうでしたか?」


 セレーネがそう言う。


「もう順番が来るそうなので馬車から降りて待っていて欲しいそうです」


「そうですか」


 俺とティアーナの目が合った。


「あっ! おはようございます。白夜様!」


「おはようございます。主っ!」


 俺は身体を起こし言う。


「おはよう。ティアーナ、オリヴィア」


「白夜様はいつ頃、起きられたのですか?」


「ついさっきだよ」


「そうですか」


 何故かティアーナとオリヴィアがホットしている気がするが、気の所為だと思うので特に気にしないことにする。


「さっきティアーナが言っていた通り外で順番が来るのを待つとするか」


「分かりました。白夜様」


「はい。ご主人様」


「分かった。主」


 俺達は馬車から降りて外で待つことになったのだった。



最後まで読んでいただきありがとうございます。


サブタイトルのオークション〇まだ続きますが、正直に申しますとサブタイトルを考えるのが、苦手なのでサブタイトルをオークション〇としているだけですのでオークションに関係ない話が殆どなのであまり気にしないでください。


ブックマークと評価していただけるととても嬉しいです。


アドバイスなど、してくれると嬉しいので、アドバイスよろしくお願いします。他にも何かあれば遠慮無くどうぞ。


この作品に良さそうな作品名があれば教えて下さい。もしかすれば、その作品名にするかもしれませんご協力よろしくお願いします。

魔物の名前とかにあまり詳しくありません、なのでなんでもいいので教えてく貰えれば嬉しいです。

これからもこの作品をよろしくお願いします。

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