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小型ドローン空母の運用による弾道弾迎撃システム

黎明期の宇宙戦闘の重要な戦略目標の一つになるであろう、ICBMの宇宙における迎撃の中で最も優れた手段は小型ドローン空母の運用だろうと考えたので概要を記します。




目次

・弾道弾の迎撃の難しさ

・宇宙での弾道弾迎撃

・ドローン空母とドローンの概要

・なぜドローン空母なのか?

・ドローン空母とドローンの運用

・弾道弾は防げたね、でも巡航ミサイルとかはどうなの?




弾道弾迎撃の難しさ

ICBMは準軌道を高速で飛行するため、その単純な速度が迎撃を難しくさせます。またその軌道の予測の難しさも困難の一つであり、近年では変則軌道の弾道弾も登場する中で今までも難しかったICBMの迎撃はほぼ不可能になりつつあります。

ですが、それを地上からではなく宇宙から迎撃するとすればどうでしょう?

かつてアメリカのSDI計画の目標であった弾道弾の迎撃は、現代の技術をもってすれば不可能ではないのかもしれません。


ここでは地上での迎撃システムは考えず、宇宙のみでの迎撃に絞ります。




宇宙での弾道弾迎撃

先ほど述べたSDI計画で考えられていた用いる兵器は


・レーザー

・運動エネルギー兵器

・粒子兵器


が考えられていました。

レーザーは回析効果により射程が短く、粒子兵器に至っては現代の技術では開発できないのでここでは運動エネルギー兵器のみを考えます。

ここで考える運動エネルギー兵器は


・火薬銃

・ミサイル

・レールガン

・ガス銃


です。

レールガンは弾速も速く優秀な兵器ですが、消費電力が非常に大きく原子炉を搭載できるような大型の宇宙機でないと搭載できません。

火薬銃は弾速こそ遅いですが、弾薬を誘導弾にする事が可能(エクスカリバー誘導砲弾のように)なので、そこそこ遠くまで届くことが期待できます。

ミサイルは武装の中ではかなり重い部類ですが、対空ミサイルが現代の空戦の主体であるように命中率も高く非常に遠くまで届くので必ず必要になると考えられます。

ガス銃は弾速はものによっては7km/sを超える事もある比較的小型ですが高速な兵器で、遠くまで届く事が期待できます。

よってドローン自体に使う武装はレールガン以外に絞ることができます。


ここではレールガンをドローンの武装から外しましたが、基本的には大型のドローンにはレールガンを載せたほうが強いです。ですがここでは弾道弾迎撃というドローンの数が要求される都合上ドローンを小型にせざるを得ずレールガンに供給できる電力が少なくなるので外しています。




ドローン空母とドローンの概要

ここではスペースXのスターリンク計画に合わせて地球軌道を覆うのに必要な衛星の数を12000機とします。

それだけの数が必要になるとドローンも空母も小型にせざるを得ません。

実際にChildren of a dead earthという宇宙戦闘シミュレータで設計してみました。

COADEは機体のフレームや配管の要素こそないものの、ほとんどの宇宙戦闘に必要な要素を満たしているシミュレータなのでそれなりに近いものが現実でも作れると考えられます。


ドローン

長さ11.5m

船体の直径1.83m

フッ素とメタンの化学推進システム

ΔV 2.29km/s

推力1.77g

乾燥推力3.55g

推進時間1m36s

質量21.9t

値段687kc(ゲーム内の金の値段から考えて2億円程度?)


ドローンに搭載するミサイル

長さ87.5cm

直径23.1cm

フッ素とメタンの化学推進システム

ΔV 3.49km/s

推力884mg

乾燥推力2.32g

推進時間4m23s

質量8.78kg

値段41.7c(3万円程度?)


ドローン空母

長さ130m

船体の直径19.4m

メタンの核熱推進システム

ΔV 4.55km/s

推力243mg

乾燥推力498mg

推進時間22m9s

質量4.07kt

値段56.8mc(166億円程度?)

搭載ドローン数25機


ただし、値段に関しては地球からの輸送や建造などの費用は考えておらず使用する物質の値段のみから考えられていることをご留意ください。

ドローンに関しては2億円と、10式戦車の12億円などと比べれば安く思えますがこれが12000機ともなれば2兆4000億円、ドローン空母は6兆6400億円(空母の数を減らして空母に搭載できるドローンより多くのドローンを配備すればコストが削減できる可能性あり)、合わせて9兆400億円。

さらにその打ち上げ費用、計画によるインフレなどを考えるともっと費用が必要になります。

ですがICBMで都市を破壊された時の被害金額や人命と比べれば安くはないもののそこまで高くはないでしょう。

またここでは放射性物質を有するドローンと空母が制御不能に陥り、地球に墜落する際にも少なくとも放射性物質が大気中にばらまかれないようにするために炭素の装甲を付けて大気圏突入に耐えられるようにしており、炭素装甲が費用のうちのいくらかを占めているのでそれがなければもっと安くなるかもしれません。




なぜドローン空母なのか?

ドローン空母の他にももっと安くなるであろう武装衛星などの案も考えました。しかし武装しただけの衛星では機動力が少なくなり、離れた場所を通過する弾道弾の迎撃に向かうことはできません。

なので推進能力のあるドローンを使うのが良いと考えました。

宇宙戦艦を弾道弾の迎撃に使うのは費用がかかるであろうことが考えられたのでここでは扱いません。




・ドローン空母とドローンの運用

ドローンはICBMが通過する地球低軌道に配備します。超楕円軌道では一つの場所から発射された弾道弾しか迎撃できないためです。

そのため一つの場所の上空のみを覆うことが不可能であり、多くのドローンをさまざまな軌道傾斜角に配備することになり、空母も配備する軌道をずらす必要があります。


弾道弾が発射されるとドローンのセンサーのネットワークや早期警戒衛星からの情報に基づいて迎撃にあたるドローンや空母が選ばれ、通知されます。

迎撃者はICBMが通過する可能性の高い空間に移動しミサイルとインターセプトするようにします。

インターセプト時はフライバイまでの時間が短いので、先にミサイルを発射しておいて誘導するとともに射程に入る前にICBMが通過するであろう場所に砲弾を撃ち込みます。

そうすればほとんどの確率で迎撃できるでしょう。回避機動を取られなければ確実に迎撃できます。

もし敵弾道弾が回避機動を取れば弾道弾の着弾地点はずれてしまいます。そしてずれた着弾点を修正できるくらいのΔVを持ったミサイルなら図体が大きすぎるので、たとえ回避機動を取ったとしても簡単に迎撃できます。




弾道弾は防げたね、でも巡航ミサイルとかはどうなの?

巡航ミサイルの宇宙からの迎撃は巡航ミサイルが厚い大気に守られている以上不可能です。

なのでこの項目の趣旨からは外れますが、単純に迎撃ミサイルを撃つ、都市の電力網にレールガンの砲台を配備しておく、レールガンと原子炉を備えた軍艦を展開しておく、などミサイルやレールガン、ガス銃など弾速の速い兵器を使えば巡航ミサイルや極超音速ミサイルなどでも迎撃できるとは思います。





10兆円以上という大金が必要な宇宙弾道弾迎撃システムですが、少なくとも弾道弾を防ぐという意味でこの方法は人々を核の恐怖から解放できる可能性のあるものだと思われます。

まぁ核が無効化されれば無効化されるで、世界中で核抑止力で抑えられていた戦争が勃発するという副作用もあるのですが...

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