統制する奴と統制される奴等
それから第一陣がやって来るので騒いだらぶっ殺す!と脅し、暇そうに酒飲んでる奴等を騒ぎ起こしそうな奴がいたらギルドホールから叩き出せと命じておいた。
文句を言って来たらぶん殴る。用心棒はギルドホールの治安維持をするのが仕事なのだ。
「で、何で1時間くらいでレッドブックの厚さが増えてる訳?」
俺の向かいにはギルド長が満面の笑みで座っている。何わろてんねん。
「突っかってくる連中全員ボコしてレッドリストに放り込んだからだ」
「そもそもレッドリストに入れるのは貴女の仕事じゃ無いのだけど?」
「だから新人ちゃんにやらせてんだろ」
新人ちゃんにカード握らせて本に翳させる。手本は見せたのであとはカードを渡せばやってくれる。
「リスト入りする判断は貴女の仕事じゃないって言ってんのよ!」
ギルド長が机を叩いて立ち上がると俺に詰め寄って来る。
「だから、それも新人ちゃんに任せてんだろーが」
「新人に判断できる訳ないでしょ!」
「じゃー他の奴がやりゃー良いだろ。
誰もやんねーじゃん」
「それはアンタがバカスカ銃を撃つわ重傷者出すわで手が一杯なのよ!」
ギルド長が至近距離で騒ぎ始めるので喉を指で突いてやる。するとかへーと変な声を出して咽せかえりながら席に戻った。
「そんな顔近づけなくても聞こえてるって。
落ち着けよ」
ギルド長は涙目で睨みながら俺を見る。
「今日、方舟の連中が来たわよね?」
「ああ、話し合いの結果俺の意見に納得してくれた」
嬉しい事だ、と肩をすくめる。
「あの!」
そんな話をしていると新人ちゃんがやって来た。
「大事な話をしてるの。後にしなさい」
「話は終わった。
持って行って良いぞ」
「終わってないわよ!」
困った顔の新人ちゃんが俺とギルド長を交互に見る。
「用件は?」
「その、貴族様からの通信が……」
「……仕事が終わったらバーナムの店に来なさい」
「行けたら行くわ」
「絶対に来なさい!」
ギルド長は去っていった。バーナムの店とは高級娼婦館だ。飯が滅茶苦茶美味いので飯屋としても有名だ。
他人の奢りで食う飯は美味い。まぁ、普通に食べなくても良い訳だけど。それから第二陣、第三陣も全て大人しくさせてギルドホールを葬式会場レベルに静かにしてやった。
「二週間は居るからこの二週間俺を不機嫌にさせたら覚えておけよ!」
「金貸しの方がまだ慈悲があるぞ……」
「静かにしてろ!無慈悲のマクミランだぞ!」
「二週間大人しくしてれば良いんだ」
「何であの悪魔が……」
「悪魔の二週間だ……」
雑魚どもの嘆きが心地好く耳に届く。
「馬鹿みてぇに騒がなきゃ俺だって何もしねぇよ。
ちなみに、今日は大目に見てやったが明日からはもっと厳しく行くからな。しっかりお互いに助け合えよ」
「用心棒の癖に何故あんな尊大な態度なんだ……」
1人の冒険者が俺を睨んで告げた。
コイツは本当に馬鹿だな。
「何故?馬鹿かテメェ?
よくそんなので冒険者出来てんな。用心棒の依頼は新人救済の依頼じゃねぇからな。冒険者ギルドがどう言うところかを教える任務だ。
そしてその行動は全てギルドの定めた規約に沿って行う。例えば、他人を侮蔑しない。お前等良く自分より下の冒険者を馬鹿にしてるけど、明日俺の耳に届いたら規約違反でレッドリスト入りにしてやるからな。
全員規約をしっかり読み直せよ?俺がここに座ってる間はテメェ等は皆平等に俺より下だからな」
良いな?と言うと1人の冒険者が手を挙げた。新人なのだろう。
「何だ?」
「はい。
何故、マクミラン様は他人を侮蔑するような発言をしているのでしょうか。他人を侮蔑するなと言う項目に貴女自身が破ってませんか?」
「ほう。新人の癖に良い着眼点だ。
答えは簡単。ギルドホールにて治安を維持する冒険者はギルド職員に準じた権限がある。つまり、そこに座ってる受付嬢の下にはなるがお前等冒険者より上なのだ。だからこそ新人が古参の冒険者にもあれこれ口出ししても大体の言う事を渋々聞いてくれる訳だな」
為になったなぁ?と告げると成程と新人は頷いた。
「勿論、力も実力ねぇ新人が俺と同じことやったら終わった瞬間にフルボッコにされるけどな。
俺も前についた時は終わった後にアホどもに襲われたが全員の顎砕いて金玉潰した後に二度と歩けない様にしてやった」
ウハハと笑い、他に質問は?と尋ねるが誰も手を挙げなかった。
「よし。
なら、今日はもうギルドはお終いだ。帰れ!」
出入り口を指差すと全員がゾロゾロと帰っていった。うん。
素晴らしいね。




