引き継がない奴と引き継ぎたい奴
結果から言えば俺は二週間の用心棒を請け負い、ジブラルタルは二週間の知識集めになった。
「おはようございますマクミランさん」
そして、俺が用心棒になった翌日の朝。名前忘れたけどポールの後任と見たことねぇ奴がやって来た。ポールの後任はなんつったっけな?戦艦の名前みたいだったよな。
「おーう、アイオワ」
「ミズーリです」
そっちかーでもまぁ近いからセーフ。
「そっか。
んで、そっちは?知らん顔やな」
ミズーリの隣に座る女を見る。エルフだ。黒い方の。所謂ダークエルフ。つーか最近エルフに会う率多い。
「初めまして、私はシャイと申します」
「そうか。
俺はマクミランだ」
自己紹介が終えたところでカウンターが騒がしくなって来た。見ると新人が騒いでいる。
「ちょっと待ってな」
腰に下げたM45を抜いて新人に向かって撃つ。弾は新人の脇腹に見事命中。
「おー当たった。
ガタガタ騒ぐんじゃねぇーよ。何騒いでんだテメェ?」
「何しやがる!」
新人の仲間が剣を抜こうとして脇にいた中堅冒険者が3人ぐらいでその新人を取り押さえた。
「止めろ!死にたいのか!!」
「マクミランだぞ!」
「お前等遅ぇ!中堅の癖に新人に騒ぐなって教えてやれ馬鹿が!」
カウンターの受付嬢はよく見れば新人の子だった。さっきまで指導係いたべ。
「で、何騒いでんの?」
「あ、え、えっと、昇級する依頼を受けるのに基準の依頼数をこなして無いのですが、その昇級依頼の魔物を狩って来たから昇級させろと言われまして……」
「あーそーゆーのは受付長に報告して、受付長が後はやってくれるよ。つーか、他の奴は?」
「受付長と先輩はギルド長と共に会議を、他の人達は休憩中でして……この時間なら人もほとんど来ないので私だけでも大丈夫だからって……」
新人ちゃんがオロオロし始める。あー……アホ冒険者を見る。
「お前等、ワザと新人ちゃん1人になった時狙ったべ」
脇腹抑えて死ぬと叫んでる冒険者の胸をスタンプ。
「ウルセェ!黙ってろ!
受付が新人になった瞬間お前等狙いだと思って行ったろって聞いてんだよ!」
「お、俺たち「YESかNOで答えろ」
取り押さえられた奴が喋ろうとしたので腹を蹴飛ばしてやる。
「は、はい。すみません、許して下さい」
「余分なこと喋んなボケ。
お前等このアホ共を受付長に突き出しとけ。んで、受付ちゃんはこーゆー手合いはブラックリストにぶち込んで良いから。
確かここにあるんだ」
えーっととカウンターを乗り越え、黒い表紙の本を取り出す。隣には要注意人物のレッドブック。
「ほら、これ。
この本の表紙に埋め込まれてる魔石に冒険者カードかざせば登録される」
アホ共の冒険者カードを翳して見るとページが更新されて登録される。
「な?」
因みに解除にはギルド長の許可が必要。
「因みに俺はレッドブックの一ページ目に載ってる」
開いて見せてやると新人ちゃんはアッと言う顔をして先輩呼んできますと走って行った。暫くすると先輩らしきよく見る受付嬢が血相掻いて戻って来る。
「マクミランさん!?」
「マクミランさんでーす。
お仕事させていただきましたー」
追加報酬あざまーすと頭を下げて暴れてたのはこいつ等でーすと告げ席に戻る。
席に座っている2人は目を丸くして居た。
「んで、ウィスコンシンとウブは何の用?
ポールは上級コース受けてるからいねぇよ。引き継ぎ終わったんじゃねーの?」
「ミズーリです。本日はポールさんではなく貴女に用があります」
「シャイだ。
後方担当の統括はお前がして居たと聞いた。なんの引き継ぎもしないし引き継ぎに来ないから困ってるんだ」
シャイは俺を睨んで来た。
何言ってんだコイツ?
「後方担当統括は俺じゃねぇ。
あのメスガキだ。魔術師居んだろ?アイツ」
「え?
メルマールさんは貴女が後方の統括をして居たと言ってましたよ」
メルマールはメスガキの事だ。
「あ?
統括はアイツだ。俺の担当はバフとデバフ要員の統括。でもアイツ等には俺が居なくても動ける様に仕込んでるから引き継ぎなんか要らねぇよ」
「ああ、あそこの組はルドルフが音頭をとって意見や要望を上げてくれる」
ルドルフが!
「ルドルフが纏めてんのか!
あの新人が!」
ルドルフは去年ぐらいに入って来た新人だ。まぁ能力は非常に高いから納得だ。
「アイツにしっかり周りと協力してやれよって言っといてくれ」
「ああ、それでメルマール曰く私はただ書類見て良し悪し決めてるだけだから実務はマクミランに聞いて、と」
ふざけんなあのクソガキ!
「実務もクソも実際はポールが仕切ってんだ。俺はポールに書類作って貰ってそれをあのクソガキに出してただけだ。
しかも依頼行く時は俺の仕事は後方要員とポーターの護衛にポールが宿を手配する時に一緒に行って交渉するぐらいだよ」
俺はマジで何もしてねぇからポールの方が詳しいんじゃないか?




