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30 SOS信号

 SOS信号


 ……それは、誰からの信号?


 マゼンタ・Q・ジラが不思議なSOS信号を受信したのは、幽霊ホロウの街にやってきた二日目のことだった。

 時間は確かに一日が経過している。(みちびきが時間をコンマ一秒の単位で計測していた)ただし、永遠の夜の中にある幽霊ホロウの街では、本当に一日が経過したのか、信用することは難しかった。

 時間は、地上よりも数倍速く進んでいるようにも思えたし、逆に数倍ゆっくりと、あるいはまったく止まっているようにすらも、思えた。(……ここは死者の国。死者の時間は、永遠に止まっているということだ)

 ジラはSOS信号は発信している場所に向かって移動を開始した。

 今日はかげろうともう一度会う約束をしているのだけど、かげろうには学校に通う時間があるので、かげろうがジラのいる(天の川銀河の街にある)天の川銀河ステーションにやってくるのは、まだあと八時間くらいはあとになるだろう。

 その間にジラはSOS信号の正体を突き止めようと思っていた。

 ……その信号は、幽霊の街のもっと、もっと深い場所から発せられていた。

 しゅー、という音を立てながら、幽霊の街を覆っている外壁の壁に引っ掛けた特殊なロープをたどって、高速で真っ暗な深い闇の中に落ちていくジラは、「まったく。SOS信号なんて、私が出したいくらいなのにさ」とそんなことをみちびきに言った。

『愚痴っても仕方ないですよ。ジラ。私たちにできることを、全力で行いましょう』みちびきが言う。

「OK。わかっている。ただちょっと文句を言ってみただけだよ」

 ジラは闇の中に降りていく。(あるいは、落ちていく)

 やがて、がしっという音がして、ジラの特殊なロープが止まった。長さが限界に達したのだ。

「さて、なにが出るかな? なにが出るかな?」

 ふふっと笑いながらジラは特殊な軍用の光学双眼鏡をその目にかけて周囲の闇の中を観察する。

 するとそこには、まさに『幽霊の街の名前にふさわしい光景』が広がっていた。

 それはまさに(一言でいうのなら)『本物の地獄』のような光景だった。

「……なに、これ?」

 マゼンタ・Q・ジラは、目を見張った。

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