表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/70

18 天の川銀河の街(幽霊の街)

 天の川銀河の街(幽霊の街)

 

 人はみんなきっと未成熟なんだよ。


「動かなで」

 かげろうの耳元で、マゼンタ・Q・ジラはそう囁いた。

 かげろうは身動きひとつできない。

 ジラは特殊な訓練を受けたものだけが習得できる、武術マーシャルアーツの心得があり、そのジラによって背中から体の動きを抑えられているかげろうは、本当に指一本も、動かすことができなかった。

 ジラは完璧なタイミングで、音もなく、竹田かげろうを三日月よぞらがほんの少し目を下に向けている間に、闇の中にさらうことに成功した。

 それはジラの技術を持ってすれば、とても簡単なことだった。

 ただ、ジラにも少し誤算があった。(これは実際に初めて幽霊ホロウに触ってわかったことだけど)

 かげろうの体は予想以上に冷たかった。

 なので、かげろうの体に触れているジラの体は、じっとしているだけで、赤く腫れ上がり、その氷のような(まるで雪だるまを抱きしめているみたいだった)冷たさによる凍傷を起こし始めていたのだった。

 ……これが幽霊ホロウ

 ジラはかげろうを観察しながら、そんなことを頭の中で思った。


 二人は今、幽霊の街の薄暗い商店街にあるお店とお店の間にある深い闇の中に身を潜めている。その少し先の大通りでは「おーい。かげろうーくーん。どこいったのー!」と控えめな大声を出して、よぞらがかげろうを探している。

 そんなよぞらも、それから少しして、幽霊の学校のほうに向かって移動を始めた。どうやらよぞらはかげろうがなんらかの理由により、よぞらをこの場所に置き去りにして、慌てて自分の部屋に戻ったのだと、この『かげろうが神隠しにあった』ような不思議な現象を理解したようだった。

 よぞらがいなくなると、そこで初めて、ジラはかげろうの口から、その手を離した。

 それからくるりと向きを変えて捕まえた幽霊かげろうの顔を見る。

 するとかげろうは(大きな二つの黒い目が)涙目になって、ぷるぷるとその小さな体を震わせてジラを見つめた。

 それからかげろうは「……お願いします。殺さないでください」と震える声で、ジラに言った。

 そんな(まるで、どこも普通の地上にいる小さな子供たちと変わらない)かげろうを見て、ジラは、……なんて残酷な実験をしているの。ひまわり。あなたは……。と思って、その美しい顔をかすかにしかめた。

 かげろうはその大きな黒目から涙をこぼしそうになった。

 それから、大きく口を開けて、今にも、大声を出して泣き出そうとする表情になった。

 そのかげろうの口をジラは慌ててまた塞いだ。

「だめ。泣くのはだめだよ。ちゃんと我慢しなさい。あなたは男の子でしょ?」とジラはにっこりと笑って、かげろうに言った。

 すると、かげろうはこくこくと顔を動かしながら、ジラにそう「はい」の合図を夢中で送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ