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隠しキャラ転生物語  作者: 瀬田 彰
四章

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報告

閲覧ありがとうございます。

ちょっと更新に時間がかかってしまい、すみません。

少し長めですので、お時間がある時にどうぞ。


「以上が本日のクラリス様の行動と言動です」


 アルがクラウド様に今日の出来事を報告した。

 クラウド様は頭を抱えている。


「報告の内容はわかった。新たにクラリスが故意的に魅了魔法(チャーム)が使えることもわかったのは素晴らしい功績だ。だが……」

「何か問題でも?」

「お前ら、目立ちすぎなんだよ!一体何をしたら『危険な夫婦』だとか『バカ夫婦』だとか『ピーーー(お伝えできません)夫婦』なんていう噂が立つんだよ!!」


 うわ、最後のは王子さまが言うような台詞じゃないわ。

 思わず放送禁止の『ピー』が入った。


「クラウド様そんなに大声で言うと、恥ずかしいですよ?」


 アルの冷静なコメントにクラウド様は「誰のせいだ!誰の!」と怒鳴る。


「すみません、私がパニックになってしまったばっかりにこんな事態に……」

「え?あ?シル、君が?」


 クラウド様が焦りながら問う。

 私はコクンと頷いた。

 本当に申し訳ない。

 口は災いの元とはよく言ったものだ。

 自分だけなら未だしも、アルやクラウド様にまで迷惑をかけるなんてどうお詫びすればいいんだろう……。

 私はため息をついた。

  

「いや、君は悪くない。うん、そう言うことなら仕方がないな」


 クラウド様が喉を鳴らして席に座り直す。

 それを見たアルが「本当に女に弱いヤツだな」と少し苛立った声で呟いた。


「とにかく、今日はご苦労だった。話しはこちらで辻褄を合わせておいてやるから二人とも気にするな」

「ありがとうございます」 

「それにしても、クラリスが魅了魔法(チャーム)を使いこなしているとはな……」


 クラウド様の顔が改めて曇る。


「メイドから聞いただろ?行方不明の数を」

「はい。五百人ほどだと聞いております」

「お前はどう思った。その数字を聞いて」


 何故かクラウド様はアルに問いかける。

 アルは「ふむ……」と何やら考える素振りを見せた。

 

「正直に申しますと、異常ですね。あり得ません」

「ほう?」

「そもそも五百人もの人間がいなくなって誰も何も気がつかないというのは記憶操作されててもあり得ないということです」

「それはどういう意味でだ?闇の魔法を使えば可能性はあるだろう?」

「それでもあり得ませんね」


 アルがキッパリと答えた。

 クラウド様は興味津々で身を乗り出す。


「そんなに身を乗り出さなくても、簡単な話ですよ。いなくなったのは五百人じゃないんです」

「え?そうなの?」


 私も思わず突っ込んでしまう。

 

「当たり前だろ?流石に五百人なんて現実的じゃないよ」

「じゃあ、あのメイドが嘘を言ったの?」

「それも嘘じゃないと思うよ。彼女にとってはね」


 もう意味がわからない。

 

「記憶操作の操作。つまり、記憶を二重で騙してるってこと」

「思い出した記憶も嘘だってこと?」

「まあ、そういうことかな」

「ならメイドの恋人の話も作り話?」

「いや、それは本当だと思うよ」

「何それ……、そうなるとどれが本当で嘘かわからないじゃない」

「それが目的なんだろうな」


 クラウド様が会話に入り込んできた。


「架空の人物の失踪に、本物を混ぜる。すると本物はわからなくなる」

「木を隠すなら森の中……ですか?」

「面白い表現だな。まさしくその通りだ」


 クラウド様は頷きながら答えた。


「お前が半泣きにした兵士からメモを預かった時は驚いたよ。いきなり行方不明者は何人ですか?なんて書いてあるから」


 クラウド様が半笑いで言ってるけど、私には何のことやらさっぱりだ。

  

「ねえアル。半泣きの兵士って、あの昼間にのあの人?」


 アルにこそっと聞くと「そうだよ?」と返される。

 

「彼、配属されたばかりらしくてさ、道を間違えて迷子になってたんだって」

「そ、そうだったの?」


 いつの間にそんな会話をしてたんだろう……。

 

「いやあ、彼は中々純粋だよ?言うこと全部信じちゃうんだもん」


 ははは、と笑うアル。


「それだけでクラリスの兵士かどうかわからないだろう?どうやって見極めた?」


 クラウド様がアルを睨みながら聞く。

  

「簡単ですよ。紋章の色が違ったんです」

「紋章の色?」


 私の質問にアルは「この国の兵士達は皆ここに紋章をつけてるんだよ」と自分の左胸を指した。

 

「初めは階級で分けてるのかな?って思ったんだけどクラウド様は赤、アッシュ様は紫、クラリス様の近くにいる人は皆緑の紋章をつけているのに気が付いたんだ」

「だからクラウド様にメモを託したの?」

「ああ。念のため落として誰かに見られても問題ない様に書いてね。ほら彼、頼りなさそうだったから」


 そう言って微笑む。

 私が凄いと感心していると、クラウド様が疑いの眼差しでアルを見ていた。

 

「お前、まさか城に仕えたことがあるんじゃないだろうな?」

「あるわけないでしょう?偶然ですよ。ただ私は洞察力が人よりも優れているとはよく言われます」


 アルはそう言ってにっこり微笑んだ。そして真顔になって「それで何かわかりましたか?」とクラウド様に質問をする。

 クラウド様はアルの変わりように一瞬息を詰まらせた。

 しかし、何か諦めたかのようにため息をつく。

 この人は見かけによらず中々の苦労人なのかもしれない。

 

「アッシュに調べさせたところ、実際行方がわからなくなってるいるのは貴族で十人弱。庶民が五十人ほどだ」 

「思ったより、多いですね……」

「貴族はこれ以上はないだろうが、庶民はわからない。まだ増える可能性もあるし、把握しきれていない部分もある」

「でしょうね……」


 アルが私をチラリと見た。

 それに気が付いたクラウド様が「頼まれている件だが、依然として手がかりは無しだ」と私の様子を伺いながら答える。

 

「大丈夫です。朝の時点で分からなかったんですもの、そんなに早く見つかるとは思っていません」


 そう言ってにっこりと笑って見せるけど、内心は荒れていた。

 何で見つからないの?

 ジェフリーとジェニーは一般人よ?

 そもそもあの二人が身を隠す理由なんてないはずなのに……。


「二人は本当に行方が分からないんですか?」


 アルの言葉に私は顔を上げる。


「どういうことだ?俺が嘘を言っているとでも?」

「いえいえ、そう言うつもりではありせん。ただ、他国と比べて荒れていないスピティカルにしては不穏な動きだな……と思いまして……」


 そう答えたアルにクラウド様は頭をかきむしる。

  

「だああ!もう!お前は色々怖すぎるからもう聞くな!怖いわっ!どうせその話題から王宮で刺された被害者のいる場所を聞こうと言うのだろう?でも絶対に言わないからな!」

「流石時期王位継承者のクラウド様、読まれてしまいましてか」


 アルが感心して拍手をすると「うるさいっ!」とクラウド様が机を叩いた。 


「俺だってもう少し自由気ままにしたいが、そうも言ってられないんだ。あの日、クラリスが父上達をたぶらかしていたと知り、あまつさえアイツは父上と寝てたんだぞ!母上の承認を得て!」


 私とアルが硬直する。

 

「今、なんと……?」


 アルが信じられないという顔でクラウド様に問う。

 私は頭の処理が追い付かない。

 何?どういうこと?


「俺だって未だに信じられん。父上がたぶらかされている時、クラリスが父上と夜を共にしていたなどと……。しかも母上が了承の上でだ!!」


 は?

 夜を共に……?

 お妃様承認で?

 ええええっ!?


「何故その様なことを?」

「俺が知るか!しかも一晩処の騒ぎじゃない。何度も、何度もしたそうだ。調べた結果、アイツは……、クラリスは今、父上の子どもを身ごもっているんだよ!」


 ビシャー!!と、私とアルに衝撃が走った。

 昼ドラ顔負けの展開だ。

 乙女ゲームの主人公(ヒロイン)は実は親父好きだったってこと?


「そんな状態でアルフィード様に迫ったとかクラリス様は異常者ですか?」


 アルが深刻な顔をして言う。

 いや、アルそれは何か違う。

 あ、目がおかしい。

 アルも混乱してるんだ……。

 マジだこれ……。


「お陰で父上も母上も寝込んでしまった……。表向きは体調は良好だとは言っているが現実は見るに耐えない。しかも父上の子を身ごもっている以上、クラリスを部屋にも閉じ込めてもおけない」


 ああ、だからクラリス様は出てきてるのね。

 私は納得をした。

 一方アルはそれを聞いて混乱が解けたのか、険しい目でクラウド様を睨む。


「まさか、それでシルヴィア様を頼ろうとしたのですか?」 

「……、そうだ」

「先程の言葉、撤回させた頂きます。クラウド様は随分落ちぶるたものですね」

「仕方がないだろ!俺だって元とは言え、友の婚約者に手は出したくない。だがこんな物が来たら従うしかあるまい!」


 そう言ってクラウド様はあるものを机に出した。

 それを見た私達は息を飲む。

 クラウド様が出したもの。

 それは、『黒薔薇のカード』だった――。

読んで頂き、ありがとうございます。

時間がランダム更新ですみません。


クラウドが叫ぶ「ピーー」はお好きな言葉を入れてお楽しみください。

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