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隠しキャラ転生物語  作者: 瀬田 彰
三章
64/122

見つけた

閲覧ありがとうございます。

ボチボチ更新していきます。


 ロジュアがいた。

 ロジュアを見つけた。

 私は彼に向かって走った。

 けれどロジュアは私を見ることはなく人混みに流れていく。


「ロジュア!待って」 


 私は叫びながら追いかけた。

 向かう人を避け、人を追い越し、夢中でロジュアを追いかけた。

 しかしここの町にこんなに人だかりかできていただろうかと言うほどに人が溢れている。

 急いでも急いでも人に流されそうになり彼との距離は中々縮まらない。

 

「ロジュア!聞きたい事があるの!お願い、待って!」


 私は声をあげる。

 しかしロジュアは聞こえないのか止まることはない。


「貴方、知ってるんでしょ。全部!!」

 

 私は走りながら必死に彼に向かって叫んだ。

 何故彼が知っていると思ったのかはわからない。わからないけどロジュアは知っている。そんな衝動にかられていた。

 

「何で貴方はミートさんと一緒にいなかったの!」


 私は叫んだ。

 届かないと分かっていても叫ばずにはいられなかった。

  

「何で皆の記憶から貴方は消えたの!」


 やはり私の声はロジュアには届かない。彼は止まらない。

 

「何でマールさんは死んだの!」


 その言葉にロジュアが少しだけ反応した気がした。

  

「何で協会は毒ガスが放り込まれたの!」


 明らかな驚きの感情がロジュアに走った。

 何故ならばロジュアは立ち止まったからだ。

 少しずつ彼との距離が近づく。

 私は走った。ロジュアだけを目指した。


「貴方なら知ってるんでしょ!ロジュア!!」 


 私は力いっぱい叫んだ。

 ロジュアは全部知っている。

 知っているはずなのだ。

 知らないわけがない。

 だってロジュアは……――。


『これ以上はダメ』


 私はハッとして足を止めた。

 前世の私の声が聞こえた気がしたのだ。

 辺りを見ると真っ暗でさっきまでいた町の人々がいない。

 ここは、どこ?


『これ以上彼に近づいちゃダメ』


 これは夢?

 夢なの?

 白昼夢でも見てるの?

 私がキョロキョロしていると『ダメだよ。邪魔したら』とロジュアの声が聞こえてきた。

 邪魔?どういうこと?

 疑問に思いつつもロジュアの声があまりにも冷たく聞こえて悪寒が走った。


『もっと俺を求めて』

   

 ロジュアはゆっくりと振り向いて手を広げる。

 距離が勝手に縮まる。

 私は今止まっているはずなのに……。

 

『ほら、おいで。僕のところへ』


 ロジュアの口角が上がった。

 これ以上近づいちゃダメだ。

 逃げなければいけない。

 もう前世の声は聞こえないけれど私は必死に抵抗した。

 でも止まらない。


「アル……」 


 私がそう呟いた時だった。

 ロジュアの態度が変わる。

 笑みは消え、怒りにもにた気迫が私にぶつけられた。

 

『君はまた(・・)俺じゃなくてあいつを見るんだね』


 また?

 またって何?あいつって誰のこと?

 私にはロジュアが言っている事が分からなかった。


『あいつのせいで俺は君を手に入れられなかった。あいつのせいで君は俺を見ようともしなかったんだ!』


 ロジュアが叫んだ。

 ロジュアはこんなにも声を出す人だったのかという驚きと話が見えないことの不安で私は固まってしまう。

   

『俺だけを見ない君なんて、いらない。また(・・)やり直しだ』


 ロジュアがにっこりと笑って私を見た。

 その顔は怖かった。

 でもそれと同時にどこか見覚えがあった気がした。

 どこ?

 どこ?

 私はロジュアをじっと見た。

 そして思い出す。

 あの日、工事現場の事故の時に一瞬視界に映った人物。

 上から私を笑うように見ていた。

 あれは不運な事故だったんじゃなかったの?

 でもそこに何でロジュアがいたの?

 私の頭の中は真っ白になった。

 

『バイバイ』


 ロジュアは笑った。

 そして彼は闇に消えた。

 私は「待って!」と言えなかった。

 そして………。

    

「ねーちゃん、あぶねえ!!」


 誰かが叫ぶ声かして私は顔を上げた。

 いつの間にか元の景色に戻っている。

 そして私の目の前にには馬車が凄い勢いで迫ってきていた。

 引かれる!!

 私は反射的に目を閉じた。

 時が止まった感覚になるとはこういう事かもしれない。

 周りの音も空気も何も聞こえない。

 感覚もない。

 あの時と同じだ。

 前世の時に死んでしまった時に感じたあの時と……――。

読んで頂きありがとうございます。


編集の件ではご迷惑をおかけしております。


ながーい目で見ていただければと思います。


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