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隠しキャラ転生物語  作者: 瀬田 彰
二章
47/122

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閲覧ありがとうございます。

今回は早くに更新できてよかったです。


「ちょっ、ちょっと待って!リリィがヴィーちゃんの部屋に行ったって?!」


アンリ様が混乱した素振りを見せながら私達を交互に見る。

どうしよう。やっぱりこれってかなりまずいってことよね?

でももうマリエッタが言ってしまったし、今更誤魔化すのもっとおかしいし、ここはもう堂々としているしかないわよね。


「とりあえずアンリ落ち着け」


アルフィード様がアンリ様をなだめてくれる。

しかしアンリ様は落ち着くどころか余計に声をあげた。

 

「これが落ち着いていられるっていう状況?!こっちは必死で探してたリリィが見つからなかったってのに、ヴィーちゃんの部屋に現れるとか意味わかんない!」


意味がわからないのは私達の方よ。状況が全くわからない。


「そうだよ。そう言えばそもそも何でヴィーちゃんがアルの部屋にいるの?!」


今更それ聞く?と突っ込みそうになるけれど、そう言えばアンリ様には話してなかったことを思い出す。私がいたことをすごく自然に受け止めていたから、伝えるタイミングを思いっきり逃してしまっていた。

さて、今からどう話すべきかしら?

考えているとアルフィード様が「俺から話そう」と身を乗り出してくれた。


「シルヴィア嬢は俺が万が一の為に俺が作った転送魔法陣に入ってここに来た」

「転送魔法陣?」

「成る程、あの時マリエッタと部屋から戻るのが遅かったのはそのせいですか」


サーガさんが眼鏡を光らせ、アンリ様に簡単に説明した。

所々嫌味っぽく聞こえたのは私だけではないらしい。アルフィード様がムスッとしながらサーガさんを見ている。

そんなアルフィード様にサーガさんは「いつもお一人で勝手な事をなさるんですからこの程度は我慢しなさい」と呟く。

どうやらアルフィード様は単独でいつも動いているようだ。

でもその気持ちは共感できる。

人を信用しないとかじゃなくて、一人で動く方が楽なのだ。

それに一人なら情報も漏れることはないし、それに仮に失敗しても人を巻き込むことはない。

何だかアルフィード様が急にとても身近な存在に感じた。

もしかしたら私がアルフィード様に惹かれる理由は自分と似てるところが多いからなのかもしれない。


「つまり、ヴィーちゃん達はリリィから逃げて来たってこと?」


アンリ様はどこか納得いかないのか不機嫌そうな顔つきで聞いてきた。


「別にリリィから逃げてきたわけではありませんわ」

「シルヴィア様、詳しくお話しいただいてもよろしいですか?」


サーガさんがの問いかけに私は頷き、リリィが部屋に来た時の状況を話した。

その間、三人は何も言わず黙って私の話を聞いていた。

話し終わってから口を一番に開いたのはサーガさんだった。


「流石と言いたいところですが、行き先もわからないのによく飛び込む気になりましたね」

「マリエッタも一緒でしたし……」

「だとしても、もう少し警戒すべきです」


サーガさんに言われ、私は肩を落とした。

まさか説教されるとは思っていなかったのだ。

これにはマリエッタも口を挟んではこなかった。

つまり、マリエッタもサーガさんが正しいと思っているということだ。


「ですが、あの魔法陣はとても美しかったんです……」

「はい?」


私の呟きにサーガさんは首を傾げた。

ここで初めてマリエッタが「ああ……」と頭を抱えた。


「あんなにも美しく繊細な魔法陣を描けるのは心が澄んでいるからですわ。ですのであの時はあの場に留まるよりも最善と判断したのです」

「シルヴィア嬢……」


描いた本人を前にこんなこと言うのは恥ずかしくて顔を直接見れないけれど、それでも事実だ。

しかし、アンリ様とサーガさんは複雑そうな顔をしていた。


「ヴィーちゃん、騙されちゃダメだよ?普通に考えて男の部屋に繋げてる時点でアウトだからね?」

「アンリの意見に同意です。アルフィード様を信用して頂いてるのは有難いことですけど、やはり年頃のご令嬢とご自分の部屋を繋げるのは感心しません」

「ならお前達は他にいい場所があると言うのか?」


アルフィード様の不機嫌な声に二人は口を閉じた。

確かに今この状態で他の場所にいたらアルフィード様と合流するなんて不可能だったと思う。

サーガさんとアンリの意見は最もだけど、私だって相手がアルフィード様でなければこんなことはしない。

それに、何事も結果オーライと言うじゃない。

今回はこれでよかったんだ。

うん、そう思わなければまた()が開いてしまう。


「今考えるべきは俺の魔法陣の事じゃない。執事長の不可解な死。そしてリリィの行動だ」

「確かに、そうですね」


サーガさんの顔が改まった。

切り替えが早いのはこの人の強みなのだろう。


「シルヴィア様。改めてお聞きします。部屋を訪れたのは間違いなくリリィでしたか?」

「どうでしょう?彼女は自らを『リリィ』と名乗っただけですし、顔を見ていれば多少は判別できなくもないんでしょうけど、影武者だったとしたら(わたくし)に見抜くのは不可能です」

「何故ですか?」

「彼女とは親しい間柄ではありませんもの」


アンリ様を見ながら私はサーガさんの質問に答えていく。


「リリィの顔も見てないなら、リリィについていたっていう複数の人物ってのもどんな奴等で何人いたかわからないってことか……」


アンリ様が残念そうに言う。

 

「お役に立てず申し訳ありません」

「あー、ヴィーちゃんが謝る必要ないよ。そもそも悪いのはアルだし」


そう言いながらアンリ様はアルフィード様をチラリと見る。


「おい、俺のせいにするな」

「だって、リリィのおかしな行動ってアルがリリィに声をかけたのが原因じゃない?」

「俺からじゃない。勝手に向こうが突っかかってきた。お前も知っているだろ」

「当然。だってリリィにアルが歩いてるって伝えたの俺だし」


にっこりするアンリ様にアルフィード様は舌打ちをする。

一体何の話なのだろう。


「あの……、(わたくし)もよろしいですか?」

「どうぞシルヴィア様」


私の質問にサーガさんが優しく了承してくれる。


「あの、そもそも何故アンリ様はメイドの格好をしてこの城にいるのですか?」

「……」


男性三人は固まった。

あ、ヤバイ。もしかしてこれは聞いちゃいけないことだった?

私は気まずい空気の中、誤魔化すように苦笑いをするしかなかった。

読んで頂いてありがとうございます。

次も良ければまたよろしくお願いします。

定期的に更新できるように頑張ります。

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