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隠しキャラ転生物語  作者: 瀬田 彰
一章

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断罪と言うなのイベント その2


「動機ならあります!」


 クラリス様の言葉に国王陛下は満足そうに頷いた。

 クラリス様をそれだけ信用しているという表れだろうけど何か納得できない。


「彼女はアルフィード様との婚約を狙っているのです!そしてその障害となる私を苦しめて、自分が優位に立とうと考えたのです!!」

「……、?」 

「首を傾げてないで何とか言いなさい!図星なのでしょう?」


 そう言われても、何と答えたらいいのかわからない。

 確かに執事長はクラリス様を推してたけど、別にクラリス様を邪魔とか思わなかったし……。

 私は困ってアルフィード様をチラリと横目で見た。


「……っ、……っ!」

 

 ダメだ。アルフィード様は笑いを堪えている……って、そこ笑うとこ?

 クラリス様は自信満々だし、国王様は感心している。

 そんなところに実はもう婚約しちゃってますなんて発言をしたら確実にダメなパターンになる気がする……。

 私は黙ってこのまま様子を見ることに決めた。少なくともアルフィード様は味方だもの。何とかなるはずよ。

 そう結論を出したのと同時に誰かが前へ出た。

 クラウド様だ。


「ちょっと待てクラリス」 

「クラウド様、どうかなさいました?」


 キョトンとするクラリス様。

 うん、可愛い姿だ。

 でも、今の私は彼女が好きになれない。

 何故なら私の中で彼女の好感度が下がっていっているからだ。


「仮だがお前は世間的には俺の婚約者候補。それなのに彼女がお前を邪魔者だと解釈するには無理があるとは思わないのか?」

「そ、それは……」

「クラウド。クラリスをお前の妃にと考えたのは私だ。そこにクラリスの意思はない。彼女にはお前とではなく、アルフィード殿との関係の方が良好に見えたのかもしれん」

「そうです!国王陛下の言う通りですわ!」


 国王陛下の言葉に喜ぶクラリス様を見て、クラウド様は眉を潜めた。

 

「クラリスの意思はない?確か俺との婚約の話はクラリスの志願によって父上が決めたと聞きましたが?」

「そうだったかな?」


 とぼける国王陛下にクラウド様は小さく舌打ちをした。


「ならば俺達の婚約の話は白紙に致します」

「そんな!ひどい!!」


 クラリス様は傷ついたかのようにヨロヨロとよろめく。

 正直、わざとらしい……。


「クラウド!クラリスを悲しませるとはどういうつもりだ!誰か!この馬鹿者を連れ出せ!!」

「父上!?」


 国王陛下がそう命じると複数の兵士達が入ってきてクラウド様を捕らえようと向かってくる。

 私はクラウド様の前へと出た。


「シルヴィア嬢!?お前何をするつもりだ!」

「何って、貴方をあの兵士達から守るんです」

「はぁ!?てか、お前ちゃんと話せるのかよ!」


 咄嗟に話してしまった。

 でも突っ込みを入れられるクラウド様も中々凄い……。って、そんな事を気にしている場合じゃない。


(わたくし)は貴方が追い出されるような事はしていないと思います。あれはクラリス様が悪いです!」

「シルヴィア嬢の言う通りだな」

「アルフィード!?」

「クラウド、これは一つ貸しだ」


 アルフィード様はニッと笑って兵士達を止めた。

 他国の王子と言うこともあり、兵士達は迂闊に手が出せなくなった。

 私が身を呈して守る必要はなかったかもしれない……。

 アルフィード様は兵を下がらせるとクルリと向きを変え、国王陛下を見た。


「国王陛下。この国では実の息子よりお気に入りの娘の方が優先なのですか?」

「そ、それは……」

「アルフィード殿。クラリスは特別なのです」

「特別?」


 言葉が詰まった国王陛下を助けるかのようにお妃様がアルフィード様に扇子を扇ぎながら答えた。

 クラウド様に似て目付きが鋭い。

 うん、クラウド様はお妃様似だ。


「クラリスは私達の亡くなった娘の生まれ変わり。時を経て私達の元へクラリスの魂が戻ってきたのです」


 お妃様の言葉にアルフィード様はピクリと反応する。

 何か心当たりでもあるのかな?


「私達は決めたのです。クラリスを苦しめる者は何であれ全て許さないと。例えそれが実の息子であろうとも……」

「母上……」


 二人が亡くなったクラウドさまの妹君を余程大事だったのは伝わってくる。だからと言ってこれはやりすぎだ。ほら、クラウド様もショックを隠しきれなくて放心してるよ……。


「ならばお二人はクラリス嬢が国を滅ぼして欲しいと願えば、それを叶えるのですか?」

「何ですって?!」


 アルフィード様が聞いた問いかけに国王陛下もお妃様は驚いて動きを止める。

 

「ひどい!!私、そんな事を願ったりはしません!!アルフィード様、そこの女に何か言われたのですね!」

「そ、そうね。クラリスはそんな事願わないわ」

「そうじゃ!その女がクラリスをはめるために言ったのだ!この悪女め!!」

「!?」


 国王陛下が私へ向かってグラスを投げつけた。

 避けなければいけない。

 咄嗟にそう思ったけれど、私が避けたら放心してるクラウド様に当たってしまう。私は避けるのを諦めた。


「シルヴィア嬢!!」

「いっ……っ!」


 ベールをしていなければ今頃血だらけだったかもしれない

 昨日から頭に衝撃が走ってばかりだ。

 これで頭に何かあれば責任を取ってもらいたい。

 私はよろめきながらも頭に回復魔法(ヒール)をかける。

 アルフィード様が私を支えながら国王陛下を睨んだ。


「国王陛下。私の婚約者にこの仕打ち。スピティカル国はジャイル国を侮辱するおつもりか?」

「こ、婚約者だと!?」

「嘘!!アルフィード様が婚約だなんて、その女に騙されているんです!!」

「嘘ではないし、騙されてもいない!」


 アルフィード様が声を上げた。

 こんなに怒る方なのかと驚きつつも、何だか嬉しいと思ってしまう私は不謹慎かもしれない。


「私に挨拶をしに来た時は何も言ってはいなかったではないか!!」

「聞かれませんでしたし、今宵は国王陛下の為の舞踏会。私の私的な事など言わずともよいかと判断致しました」


 あ、これは嘘だ。

 私はそう思った。クラリス様が動機の話をした時にアルフィード様は笑いを堪えていた。

 もし、国王陛下に話をしていたらクラリス様は別の言い方をしていたはず……。

 きっとアルフィード様は今夜私が何かしらの疑いでこうなると予測していたのだろう。


 ……。


 後でちゃんとアルフィード様に話してもらおう。私はそう決意した。


「アルフィード様、その女と婚約してはダメです!!」


 クラリス様の言葉に国王陛下とお妃様はハッとする。

 そして二人は慌ててクラリス様のご機嫌をとるかの行動に出た。

 まるで操り人形かのように……。

 あれ?操り人形?

 何だろう。何か引っかかる

 どこかでそういう類いの話を聞いたことがあったっけ?

 私は頭を抱えた。


「そ、そうだな、クラリス。アルフィード殿と婚約するのはお前のはずだ。見ろ、あのドレス。お前とアルフィード殿は同じ白だが、彼女は青だ。その時点でアルフィード殿と合っていない」

「その通りよ。ベールをして顔を隠しているのも気味が悪いわ」

「クラリス。お前は何も心配することはないよ」

「そうよ。私達がついているわ」


 お妃様がそう言った時だった。

 私の頭にあるシーンが思い出される。

 

「『お前ほど魅力的な者はいない』」


 国王陛下と私の呟きが重なった。

 アルフィード様が驚いた顔をして私を見る。

 そうだ。このシーン私は見たことがある。

 親友のお見舞いに行った時に丁度そのシーンだったはずだ。

 でも、この台詞は国王様じゃなくて違う誰かだったような気がするけど……。

 滞在城に戻ったら前世の記憶をまとめよう。そうしよう。


「シルヴィア嬢?」

「アルフィード様。国王陛下達がおかしい理由がわかりましたわ」

「え?」


 国王陛下とお妃様はクラリス様を純粋に大切に思っているだけじゃない。

 亡き娘と重ねているだけじゃない。


「アルフィード様。国王陛下達には魅了魔法(チャーム)がかかっています」

「……!そうか、魅了魔法(チャーム)!」


 私はスッと背筋を伸ばし手を前に出した。

 国王陛下とお妃様が体をビクッと震わせる。


「今からこの下らないイベントを強制終了致します!!」


 そう言った私をクラリス様は苦虫を噛み潰したような顔で見ていた。

読んで頂き、ありがとうございます!

次もよければお付き合いください!

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