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隠しキャラ転生物語  作者: 瀬田 彰
一章

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断罪と言うなのイベント その1


「悪役令嬢?何だそれは」


 クラウド様は首を傾げ、クラリス様を見た。

 意味が分からないらしい。

 クラリス様はクラウド様の反応が気に入らなかったようでムッとする。


「言葉そのままの意味です!悪事をしている令嬢のことです!」

「はあ……」


 クラウド様はやっぱりピンときていない様子だった。


「最近の私の食欲不振だって彼女のせいなんです!彼女が私に嫌がらせをしてくるんです!」


 はあ!?

 クラリス様のセリフに私は声が出そうになった。

 アルフィード様と婚約した私は確かに主人公(ヒロイン)から見たら悪役令嬢(ライバル)だろう。

 でもまだクラリス様には婚約の話はしていないし、そもそも彼女と会うのは今が初めてだ。

 嫌がらせ云々どころかまだ何もしていない。

 勿論これからだってするつもりはないけど……。

 濡れ衣も甚だしい。


「嫌がらせ?何の話だ?」


 クラウド様は変わらず首を傾げた。

 演技とかではなく本当に知らないのだろう。

 逆に困っている感じだ。


「匿名で城から出ていけ等と書かれた手紙が届いたり、部屋で食事をする際に異物が入ったりしているそうだ」

「何だって!?」


 アルフィード様が答えクラウド様は驚く。

 クラリス様を見ると何故か頬を赤らめ嬉しそうだった。

 アルフィード様が知っていたのが嬉しかったのだろう。


「勘違いするな。聞きたくもないのに一方的にベラベラと聞かされただけだ」

「……」


 迷惑そうに答えるアルフィード様。クラリス様の顔はしょんぼりとなった。

 そこから私はある答えを出した。

 クラリス様がアルフィード様を狙っているのは間違いない。

 しかし、どう見ても好感度が上がっているようには見えない。

 もし、クラリス様とアルフィード様の好感度が上がっていたら『犯人は君だったのか!』と言うようなセリフが私に向けてアルフィード様から出るはずだ。


「……」


 私が主人公(ヒロイン)ならいざ知らず、正規主人公(ヒロイン)でも苦戦することがあるのね……。

 クラリス様を見て私はそう思った。


「クラウド!さっきからそこで何を騒いでいる!」

「父上!」


 国王陛下が玉座から声を私達に声をかけてきた。

 会場は一瞬で静まり返り視線が私達へと注がれる。

 国王陛下の前に出るように言われゾロゾロと中央へと向かう。


「まずいな……」


 アルフィード様が唇を噛んだ。

 何がまずいのだろうかと思っていると、クラウド様からとんでもない言葉を聞かされる。


「クラリスは父上のお気に入りだ」


 はあ!?

 何、この乙女ゲームってそんなキャラクターまで対象なの?!

 てか、既婚者を対象にしちゃダメでしょ!!

 アルフィード様狙いなのにクラリス様はせっせこ国王陛下の好感度を上げてたってこと?

 全く意味がわからない……。

 私は頭を抱える。


「シルヴィア嬢、変なこと考えてない?」

「!?」

「誤解すんなよ。父上のお気に入りって言ってもそう言う意味じゃない。クラリスは似てるんだよ。幼い日に死んだ俺の妹に」

「……」


 ああ、成る程。

 ただ美しいとか不思議な力があるだけでは普通に考えても王宮に住むなんて変だなと思っていたのだ。

 でもそれはクラリス様が主人公(ヒロイン)だからと勝手に納得していた。

 けれど実際のところはクラリス様がクラウド様の死んだ妹君に似ているから王宮に住んでいたのね。

 結構奥が深い……。


「しかも名前も妹と同じクラリスだからな。父上も母上も可愛がっている。特に父上はクラリスに甘い」

「だから、クラウドの婚約者としてクラリス嬢を迎え、四人でここにずっと住みたいと言うのが陛下の本音だ」

「実際は俺じゃなくてお前に夢中だけどな」

「……」


 国王陛下の前に来て私達は頭を下げる。

 そして顔を上げると何故かクラリス様が国王陛下の横へと移動していた。


「それで?あんなところでお前達は何を揉めていたのだ?」

「父上、別に揉めていたと言う程ではありません」

「クラウド様!彼女を庇うおつもりですか!?国王陛下、あの女が私を苦しめているんです!!」

「ほう……。それならばそれなりの罰を与えねばならんな……」


 そう聞いて国王陛下はクラウド様と同じ赤い瞳で私を睨んだ。

 確かに二人が言うように国王陛下はクラリス様に甘いようだ。

 というか中身も聞かないで罰を与えるってどんだけ甘いのよ……。

 

「お待ち下さい陛下。クラリス嬢は何か誤解をしているのです」

「誤解?」

「はい。彼女は昨日ジャイル国の滞在城に来たばかり、どう考えてもクラリス嬢に何かをするのは不可能です!」


 アルフィード様が説明してくれるけど国王陛下は顔色を変えることはない。むしろ眉を潜め、険しい顔になる。


「ジャイル国から誰か派遣していたのかも知れんぞ?己の手を汚さぬのタイプかもしれん。」

「まさか!彼女は我が国の宰相の娘です!そんな愚かな行為をするはずがありません!」

「そもそもクラリスに嫌がらせをする動機がない」


 クラウド様が援護をしてくれる。

 いいのかな?と思いながらもこの状況を助けてくれるならありがたい。

 このままじゃ無実の罪で裁かれてしまう。

 ん?裁く……?

 そういえば何でこんな展開に引きずり込まれているのだろうと首を傾げた。

 まさか……。これって乙女ゲームで有名な断罪イベントとか言うやつ!?

 それって早くない!?主人公(ヒロイン)と関わってすぐってどんなだ……。

 私が脳内で突っ込みを入れていると、クラリス様が真ん中に立ち、私を睨んだ。


「動機ならあります!」

「?!」


 クラリス様が自信満々に答えるけれど、私には身に覚えはない。

 一体どんな言葉が出てくるのだろうかと、私は固唾を飲んだ……。

読んで頂きありがとうございます!

長いので話を分けることにしました

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