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隠しキャラ転生物語  作者: 瀬田 彰
一章
13/122

アルフィード様とクラウド様

今回はボケと突っ込みをお楽しみ頂ければと思います


 今、私の前に二人の王子様がいる。

 一人はアルフィード・キルス・フォルゼリア様。ジャイル国の第二王子様。

 そして、もう一人はクラウド・ダニエル様。スピティカル国の第一王子様。

 それにしても、二人とも凄く美形。二人が並んでいるとまるでアイドルを見ているような気分になる。

 流石乙女ゲームの攻略キャラ……。


「お前を虜にしている令嬢はこの子か……」


 そう言ってクラウド様は私の顎に手を伸ばし、持ち上げた

 赤い目と髪が私の視界を赤く染める。

 けれど先にアルフィード様の時みたいにときめくような気持ちにはならなかった。


 バシッ!


 アルフィード様がクラウド様の手を(はた)いた。


「随分なご挨拶だな」

「汚い手で触るからだ」

「俺はバイ菌かよ…」

「それよりもお前はこんなところで油を売ってていいのか?」


 アルフィード様はそう言いながら私の足にさっきクラウド様が投げつけてきたタオルを当てる。

 ヒヤッとするのが気持ちいい。


「今夜の舞踏会は俺が主役じゃないからな。俺は自由にフラフラしている」


 そう言ってクラウド様は腕を組んで壁にもたれ掛かり目線を中央へと運んだ。

 そこにはこの国の国王陛下とお妃様がいた。


「陛下、今宵はおめでとうございます」

「誠におめでたい」

「今後も是非、国のご発展を……」


 国王陛下の回りではお祝いの言葉が飛び交っている。

 そう。この舞踏会は国王陛下の誕生日パーティーなのだ。


「お前こそ挨拶は済んだのか?ジャイル国の代表さん」

「当然だ。ここに着いた時彼女と共に一番に挨拶をした」

「ふーん、彼女ねぇ……」


 そう言ってクラウド様は私をじっと見た。

 明らかに観察されているのは気分がいいとは言えない。

 けれど当然と言えば当然なのかもしれない。

 アルフィード様のような方の隣にドレスは綺麗だけれど、ベールを被った謎の女がいるのだから嫌でもそういう行動に出るだろう。


「あまり彼女を見るな」


 アルフィード様が私とクラウド様の間に入ってきた。

 その顔は不機嫌でクラウド様は少し驚いた顔をする。


「餓鬼かよ。減るもんじゃなし、構わないだろ?」

「いいや、減る。彼女は俺の婚約者だ。変な気を起こされたら困る」

「それは保証できないな。ベールで顔は見えないが、中々の美女だろ?」


 クラウド様は鼻で笑って返すけれど、「ん?」と固まり顔色が変わる。


「……ちょっと待て。今お前何て言った?」

「聞いていなかったのか?彼女は我が国の宰相の末娘。シルヴィア・キー・グレイス嬢。俺の婚約者だ」

「いや、名前じゃなくて……って、婚約者ぁ!?」


 そう言ってクラウド様は大声を上げ口をパクパクさせながら私とアルフィード様を交互に見た。

 想像通りのお約束リアクション、ありがとうございます。

 まあ、普通はそういう反応になりますよね……。

 私はそう思いながら靴を履いて、クラウド様にお辞儀をした。

 それを見たクラウド様からゴクリと唾を飲みこむ音が聞こえた気がした。


「シルヴィア嬢。彼がクラウド・ダニエル。このスピティカル国の第一王子。髪と目の色の通り暑苦しい奴だからあまり近づかない方がいい」

「おい」


 ひどい言われようである。

 けれどそれだけ二人は仲がいいという事なのだろう。

 アルフィード様の顔が少年のような顔になっているのが何よりの証拠だ。

 一方クラウド様は変な紹介をされて顔がひきつっている。


「鉄仮面のお前が婚約…」

「鉄仮面って誰がだ。俺はそこまで硬い表情などしていない」


 確かに、アルフィード様を鉄仮面と呼ぶのはどうかと思う

 こんなに表情豊な方なのに……。

 クラウド様は咳払いをしてアルフィード様の肩に腕を絡ませた。


「シルヴィアはアルフィードが職務をしている姿を見たことがないだろう?その時のこいつの顔は正に鉄仮面と呼ぶのに相応しい顔をしてるんだよ」

「そんなことはない!それから人の婚約者を呼び捨てにするな!慣れ慣れしい!」


 アルフィード様は抵抗するがクラウド様の方が体制的に有利なのだろう。振りほどけないでいる。

 

「いいか、アルフィード。一度冷静になろう」

「俺は十分冷静だ」

「そうか?お前、クラリスがしつこいから自棄(ヤケ)を起こしたんじゃないのか?」

自棄(ヤケ)で婚約をするほど落ちぶれてはいない!」


 クラリス様?

 その名前に私は聞き覚えがあった。

 滞在城で執事長がしつこいくらいに言っていた女性の名前だ。


「いい加減離せ!」

「っと……」


 アルフィード様はクラウド様の腕を振りほどいた。

 そして少し乱れた服を直し、クラウド様を見る。


「何度も言うが、俺はクラリス嬢に興味はない」

「わかっているが回りが乗り気だ」


 そう言ってクラウド様はニヤリと笑った。

 アルフィード様はそれを見て大きなため息をつく。


「そういいつつ、俺とクラリス嬢をくっつけさせて自分は逃げるつもりだろう?」

「バレたか」

「お前は行動が単純なんだよ」


 どういう意味だろう。

 私は訳がわからず首を傾げる。


「シルヴィアは何も知らないのか?」

「だから呼び捨てで呼ぶな!」

「はいはい。それでシルヴィア嬢はクラリスの事を知っているのか?」


 そう聞かれて私は首を横に振った。

 クラウド様はそれを見て満足そうにうんうんと頷きクラリス様の事を話し始めてくれた。

毎回読んで頂き、ありがとうございます

今回は意識的にシルヴィアが一言も声を出さないようにしました

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