エピローグ
またしても知りたくもない事実を知ってしまったあの日より数日後。
俺は村長と商人のおじさんと共に『駅』にやって来た。
列車が停車するあの駅である。
そう、私は今から旅に出ます、商人のおじさんと二人で王都へと。
王都直行特別急行、王国打通弾丸便、アデュー・サニー号っていうらしいよ、なんだこのネーミング。
なんでも西の端にあるこの町から東にある王都まで走るゆえ、太陽の動きと逆に進むからどうたらとか、どうでもいい話ですねそうですね。
いや、しかし、フランス語と英語って、なんかどこぞの行楽地法適用第一号にして三セク最大規模の財政破綻かました南国の海沿いに何故か建造されたドーム型遊泳施設ばりのネーミングなんだが。
貴様は甚だしい勘違いをしている、アレは海は英語で、大地はギリシャ語だ!ババァーン。
ガイヤが俺にもっと輝けといっているって何いってんだ俺は。
まあ、兎に角だ、朝一番で出発して王都までをノンストップで一日で走破する、週に一度の特別便とのこと。
さて、発車時間も近づいてきた。
村長とはここでお別れになるわけだ。
散々頭が痛くなるお話を聞かされ続けてきたのでホッとするような、何だか寂しいような。
そんな風に俺が少ししんみりしているのに対して、村長はいつも通りの朗らかな笑顔。
いつも通りのその笑顔で、俺に王都についたらちゃんと手紙を出すようにと念押ししてきた。
一時のノリと勢いで俺の王都行きを熱烈に推した村人達も、多分暫くしたらすぐに寂しがるからっておい。
何さり気なくノリと勢いとか言っちゃってんのこの人、何故今になってそれを言った。
わかってたなら止めようよ村長、何のための肩書きだよ村長。
そんな俺の内心にいつもの如く構わずに、特にご両親は寂しがるだろうから絶対に手紙を忘れないように、ってわかったから。
村には届かないから町の私書箱で月一しか受け取れないから、毎日読めるように別々に30通ぐらい認めて纏めて送れって、馬鹿か。
日記?日記書いてそれごと送れと?業務日報月一送付ですかふざくんな。
何が、月一だってわかっててもどうせ毎日手紙はまだかって聞いて来るんだから、って人の両親ディスらないでもらえますかね。
え、村人全員がそんなもんだって?ああそうですかって、全員で読むのかよヤメロよそう言うの!
早々に弟か妹でも仕込むように吹き込んでおくから、それまでの辛抱っておい馬鹿やめろ。
寂しくなったら自力で会いに行っちゃうかも知れないから絶対に書けって、いや、あの。
両親、特に母の俺への愛はあの断崖すら飛翔するって脅迫ですかアンタ。
ああもう、わかりましたよ書けばいいんでしょうがクソッタレ。
はいはい、何か理由つけて兄弟欲しいなあとかも書きますよ。
っておじさん顔怖っ、マジ顔で迫んないでください。
わかってます、王都だよ村人全員集合ドカンもあるよとかしませんから、大丈夫ですから。
王都着いたら早速見たものでネタを捻り出して速達でって、町で届くまで待機するからって・・・あーあーあー、わかりました、わかりましたよ。
だー、もう発車時間近いしもう行きますね。
そういったやり取りをして村長に別れを告げて列車に乗り込む。
感動もクソもない旅立ちだった。
しかし、凄く今更なんですが、七歳の子供を都会に一人で送り出すって正直どうなのよ。




