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反逆のMYTH【シーズン3】~表舞台じゃ誰も敵わない最強の力を妬まれるだけなので、死を偽装した懸賞金を元手に新天地で闇金や夜の店の経営者としてアウトローの道を極めます~  作者: 公月奏
『3人目』との出会い~三太&凛々翠サイド・現実パート

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73. △「愚かなるあたしの最悪の選択」

 おひとり様歴21年のあたしにも、やっと明星くんという素敵で最高のパートナーができた。

 キスしてハグしてお互いに愛情を確かめ合って、両頬は火照り鼓動が高鳴りお腹もうずく。

 ああ何よこれ、部屋に引きこもり誰にも読まれない小説書いてるよりずっと幸せじゃない。

 彼氏を作るっていう皆と同じ“普通”のことに、こんなに“正しいことの白”を感じるなんて。


「もしも〜し? 上手くいきましたよ」

『よくやった! クソッタレ明星の目の前でしてもよかったが、足がつきやすくなるからな』


 でも今はさっきの余韻に呑気に浸ってる場合じゃなければ、そんな希望を粉々に打ち砕くのにも充分過ぎる状況だ。

 ワゴン車の後部座席に乗せられ両手首を後ろ手に縛られてるあたしへ男がふたり、覆面越しにギラリ笑ってみせる。

 そんな、まさかこれって。嫌、いやよイヤ! 因果応報、それとも禍福は糾える縄の如し?

 いいことのあとに起こる災いだからってこんなのひどすぎる! だっ、誰か助けて――!!


「三夜さあああンンンッッッ――!!」


 その時リアガラスの向こうから叫び声がした! あれはまさか、明星くん!?

 それも何か、スケボーみたいなモノに乗ってまっすぐ高速で飛んで来てる!?


「転がれ!! 真ン中にいるなッ!!」


 何が起きてるのかわからない! けど言われた通り揺れる車内でゲームの回避アクションのごとく身をよじらせる!


「うわあああ!!」「ひいいいッ!?」


 すると次の瞬間――。これは、Dr.スランプアラレちゃんだ。

 あの漫画みたいに車体が走行中にも拘わらず、縦真二ツに綺麗に斬り裂かれ、ものすごい勢いで外へ投げ出された!


「きゃあああああああああッッッ!!」


 でも怪我はしていない、どこも何ともない。だけど、その代わり目に入ってきたのはとても信じがたい光景だった。

 ――30mほど先の明星くんの頭上に、ヒュンヒュンと蒼白く煌めく【氷の剣】が、静かに回転しながら浮かんでる。


「ぎゃっ――!?」「うわぇ――!?」


 そしてそこからは一瞬だったけど宇宙の帝王の技のような速さで、剣から4本の光が発せられたのがしかと視えた。

 命中したのはあたしの近くに横たわる男たちと大破した車へ。


「うおごおっ!!」「かかかっっ!!」


 もう1本の行方はわからなかったけど、とにかくそれを受けたやつらが激しく苦しみ始める。

 街灯に照らされるそれらの顔を――見なければよかった。凍てつく氷がごとし戦慄が、この脊髄へとねじ込まれる。


「こはほごっ――」「アエエエッ――」


 耳からおびただしい量の血が吹き出、目元からは硝煙が上がって眼球も消失。

 鼻から下が固形入浴剤のように泡の粒子となって光り、空気と同化していく。

 こっ――この現象は。脳裏に異世界でのあの忌まわしい回想が鮮明に蘇る――


「三夜さん!!」


 視線を落とす。


「大丈夫か!!」


 耳を押さえる。


「よかった!! 本当に、無事で!!」


 助けてくれた明星くんが駆け寄ってくる。でもあたしは、だけどあたしは――


「近寄らないでえええぇぇぇッッ!!」


 ――ここが分岐点だった。ここまでならばあたしの意志でどうにでもできた。

 せっかくまだ取り返しがついたのに。彼のことが本当に好きになってたのに。

 明日からの人生が、きっと死ぬまで、さぞ最高のものになってたはずなのに。


「ごめんな――。怖い思いをさせたね」

「……」

「でもこいつらはもう何も言えない。監視カメラもたぶんブッ壊したから、心配いらないよ」

「……」

「だから警察には言わないでほしい。バイトも辞めるから――俺のことも含めて全部忘れて」

「……」

「もう行くから。君も離れた方がいい」

「……」

「さよう、なら。本当に本当に本当に――君が無事でよかった」


 彼がどんな顔してたかは見えなかった。わかったのは声は終始震えてて、足音も次第に小さくなってったことだけ。


『……おい玉前。今の音聞こえたか。あっちだ、行ってみよう』

『ウイィッ……。ちょっと、置いてかないでよォ大丸ゥン……』

『……皆にも電話しておけ。おそらくまだあの店にいるだろう』


 一般人らしき声が遠く響いたのを受けて立ち上がり、ずぶ濡れの視界の中、あたしは逃げるようにその場を去った。

「縦に真っ二つ、断面に霜……【氷の力】か。チッ、あのバカ」

「うん……ツキさんだわねェこんなの」

「Och(ハァ、そうだね)……あの人だろうネェこれは」

「……うむ。まず絶対に間違いないな」


「おっ、オイオイおめぇ等よ。流石に端っから決めつけんなよ」

「アレは当時から“300万人にひとりの才能”なのよ。ンなのがそうそういてたまるかっつの」

「――まあそうだな。状況証拠としちゃ充分だし仕方無ェか、アレの日頃の行いもあるしよ」

「あと、昨日の金町駅での騒ぎあったよね。些細なことだけど、あれとも関係があるかもよ」

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