プロローグ ~Santa side~
■注意
・この作品には暴力シーンやグロテスクな表現および、性的な描写などが非常に多く含まれております。苦手な方はくれぐれもご注意下さい。
・個人差により適度な休憩、では事足らない可能性が大いに考えられます。心身の不調を感じた時は直ちにストーリー体験を中止して下さい。
・ハーレムやスローライフ等“普通”の展開や、斬新な設定に瞬間風速的な魅所もありません。苦痛を覚えた場合も即刻休止するよう願います。
・とにかく何かあればすぐプレイを断つこと。“知ってしまう前にやめる”。それが現実世界のあなたの身の安全を守ることにもつながります。
・持ち帰った力の悪用は絶対におやめ下さい。事の大小に拘わらずそれはいずれ、時が流れ忘れた頃にあなたの運命を断ずることとなります。
・そう、これは力と引き換えの物語なのです。それを決して忘れずにプレイして下さい。あくまで現実は現実、虚構は虚構でしかありません。
■選択して下さい
▶New Adventure ~引き続き、ここからストーリー体感を始めて下さい。さあ、予告通り“交代”の時間です。“彼”の役を演じて下さい――。
▶Continue Memory1 【シーズン1中断地点】
https://ncode.syosetu.com/n3751fy/36/
▶Continue Memory2 【シーズン2開始地点】
https://ncode.syosetu.com/n3751fy/64/
▶Continue Memory3 【シーズン2中断地点】
https://ncode.syosetu.com/n3751fy/81/
▶Continue Memory4 【シーズン3開始地点】
https://ncode.syosetu.com/n3751fy/94/
▶Continue Memory5 【シーズン3中断地点】
https://ncode.syosetu.com/n3751fy/122/
《カアッ!!》《キイッ!!》《クオッ!!》
全長2mほどの、猛禽類型の魔物が3体一列に襲い来る。
《カカッ!?》《キッッ!!》《クゥッ――》
しかし、突然そこの空間だけ“時間が止まったように”一斉に静止。白目をむいた苦悶の顔を浮かべる。
「フフッ、風なき【真域】では荒ぶる闘志も虚空の彼方に。我が剣を汚すまでもない」
《《《――――――》》》
やがて、そいつらは音もなく破裂し“再び動き出した”気流に舞い吹かれ、一緒くたに粉微塵と消える。
「さすがアンジュだね!」
「パフィ、ステラ。次はお前たちの出番だぞ」
「うんっ、任せといて!」
「……!! (`・ω・)ノ」
空中には同型がまだ多数おり、第二波と言わんばかりにまた飛来してくる。今度のは20体超の大群だ。
「……!! (` ̄ー ̄)☆」
50、30、10m。その猛進にも怯まずステラと呼ばれた彼女が地に手を突く。すると、
《ギャッ!!》《クワッ!!》《ギョッ!!》
なんと、そこから槍みたく鋭い“鋼が生え”刹那の間に鳥どもを串刺しとする。寸分の狂いなく同時に見渡す限り鈍色の墓標を、冷たき鉄海を広げてみせたのだ。
「いい加減数を減らすか。それっ、くらえ!」
《グギアアッ!!》《カカカカカカッッ!!》
お次はパフィというこの子が大剣を一振り。弾ける電撃が斬撃の嵐に乗って群れに直撃と同時に拡散、ほとばしる黄金の包囲網となり連中を見事丸焼きとする。
「1匹そっちへ行ったぞ、気をつけろよ!!」
だが惜しくも全滅とはいかなかったようだ。
《カアアアーーッッ!!》
「ひいいいいいいっ!!」
そして滑空する爪の輝きが俺の顔面の皮膚を抉る寸前、
「何をしていますのルーシー、遅すぎますわ」
コンマどれほどか、絶妙なタイミングで手を引かれ“回避させられ”さらに、その拍子に豊かな感触が腕に当たる。うう、こんな時でも男のサガには逆らえない。
「集中なさい。さもなくば魔物のお夕食です。魔力を分けますので、訓練通りにやってごらんなさいな」
「ごっ、ごめんエブリン。今回もよろしくね」
握られる指の柔らかさ、すぐ隣の赤髪からの甘い匂い。早まる脈拍はそんな劣情のせいだけじゃない。
再び迫り来る圧倒的超速と耳をつんざく叫びに、今みたく一瞬の判断ミスで即死亡の緊迫感。さらに、
「さあ、今ですわよ!!」
「うおおおおおおっ!!」
“ヒュオオオオオオ!!”
力を――“魔法”を放つのに多大な集中を要するからだ。
《カカッ、クコ――!!》
そしてその魔物はこの手からの凍てつく蒼き波動を受け、もの言わぬ氷像と化しドサリと地に落ちる。
「フフフ、上出来ですわ。さて、あとはお任せなさいな」
とどめはこのエブリンが銃口を陽光に輝かせる。拳銃型の得物が激しく火を吹いたかと思うと、その氷塊は氷解どころかこの世のどこからも焼滅してしまった。
「腕を上げましたわね! さすがわたくしの一番弟子!」
今ので耳がひどく痛む。だがチュッ♪ と頬に触れるその心地よさが不快感を一瞬で全部かき消して、
「は? ちょっと、は?? 何やってんのよ」
「……!? Σ(゜Д゜*)」
「おいエブリンよ、うちは色恋沙汰禁止だぞ」
「え? ――やだ、わたくしったらなんてことをっ!?」
この腹を突く速く重いボディブローでまた逆戻り。ともあれこれが全部ゲームだなんて信じられない。
そう、これは“ゲーム”。一般にMMOというジャンルのものだが、普通のとは決定的に違う点がある。
今この場にいるのは紛れもなく“己自身”。探索、会話、戦闘すべての行動を自ら体感するリアリティ。それがこの、異世界フルダイブ型RPG【MYTH】なのだ。
「どうもお疲れ様でした、さっきのすごかったですね!」
「ありがとう、ミカエル」
「――あとエブリンさんとも、とても仲がいいみたいで」
「いや、あれはその――」
「ハァ。結局私は今回も、ただ後ろで見ていただけかぁ」
「君だって今に何か力を得られるよ。すごいのをきっと」
そしてこれにはある“隠し要素”も存在する。それは――
* * *
「ハァ……ハァッ……ッ」
「……」
「うう……ぐうっ……っ」
そんなゲーム三昧の連休帰省を終え帰りの電車内にて。目の前に立つ、同年代らしき青年がさっきからしきりにうめいてる。脂汗もかいてすこぶる不調そうだ。
「……よければ座ります? 顔色悪いですよ」
「エッ……。いや、そっ、そんなことは……」
「いいから座って。ホラ」
そう言って立ち上がる。だがその時「ハイどいた!」とそれを中年女が横取りしてきた。そして「何その目、文句あんの」とガン垂れるのにメンチを切り返す。
「ないと思うか? ふざけてンじゃあねえぞ」
「なっ、何よ……平気なら私が座っても問題ないでしょ」
「ないと思うか? 二度も言わせるなクズが」
「ぐっ、ぐぬぬ……っ!」
調子こいてた面が一気に陰る。おおかた弱そうな黒髪眼鏡に反撃されテンパってんだろ。天パだけに。
「お黙り! ねえそっちのお兄さん、若いしイイよね!」
しかし、なおもこうほざく態度は依然反省の色もなく、
「はい……僕は別に……」
と小声で返す覇気のなさでさらに増長する。チッ、腹の立つことだ。どっちにもな。ハッ、やっぱり“自分から何かする”とロクなことにならないな……昔から。
「もう降りなきゃ。はあ、変なガキに絡まれて厄日だわ」
一応少しなら我慢してやる気ではいたが、引き金はこれだった。いいだろう、じゃあとくと思い知れ。
やればやり返され老若男女関係なく、そして“それは俺がやる”。決して時間差にはならないことをな。
“ピッ”
「ブギャオオンッッ!?」
指を鳴らす。すると床に冬の路面みたく“氷”が張り、哀れババアはその場でコントのようにすっ転ぶ。
「ギエ!! ――グゲギョガアアアッッ!!」
さらに、そのはずみで全身を他の乗客に次々と存分に目一杯踏みしだかれる。シートをかすめたから皆のシートになった――そう、すべては“因果応報”なんだ。
「キャアアアッ!! この人血吐いてる!!」
――少しやり過ぎかな。だが報いを受けなきゃ“そいつは理解しない”。これでいい。
とにかくこれが先述の、もうひとつの要素だ。異世界で得た“能力を現実に持ち帰れる”――というな。
■警告
ゲーム進行によっては健康、人格、外見の姿かたち、社会的地位、所有財産等、あなたを取り巻く環境がプレイ前の状態に戻らない場合も極めて多くあり得ます。
また、持ち帰ったスキルの誤った用法等により生じた不都合や損害の責任はその一切を負いかねます。くれぐれも充分なご認識と、自己責任のうえ進めて下さい。