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第二十章 導かれた洞窟と結界の崩壊

映画ノベライズ『もしも、僕の彼女が妖怪ハンターだったら。。。(おかわり)』第二十章「導かれた洞窟と結界の崩壊」をお届けします。

今回は、水晶に導かれた大和が暗い夜の山道を進み、不気味な洞窟へと足を踏み入れる冒険エピソードです。RPGの勇者のように謎の剣を引き抜いたかと思いきや、背後から巨大な岩が転がってくるという、王道パニック映画さながらのドタバタ逃走劇が繰り広げられます。

「こんなんばっかり!」と嘆く大和の不運っぷりと、彼の行動が引き起こしてしまった重大なハプニング。物語の根幹を揺るがす急展開をお楽しみください。

薄暗い夜の山道。大和は、手毬を抱えて前を歩く水晶の背中を追っていた。

「えー、ちょっ、ちょっと」

大和が声をかけるが、水晶は無言のまま先へと進んでいく。二人の頭上を、白い布のような妖怪『一反木綿』が、暗い森の中へと吸い込まれるように飛んでいった。

石段を上りながら、大和は息を切らせて尋ねた。

「ちょっと。水晶、どこ行くの?」

水晶は何も答えず、黙々と歩き続ける。

「危ない……」

大和は足元に気をつけながら、その後を追う。

やがて、二人は鬱蒼とした木々に囲まれた小さな赤い鳥居の前に辿り着いた。鳥居には紙垂(しで)のついたしめ縄が張られている。

水晶が立ち止まった。

「ん?」

大和が疑問の声を漏らすと、水晶は鳥居の奥の暗がりを真っ直ぐに指差した。

「えっ、ここ?」

大和が驚いて聞き返すと、水晶は小さく頷いた。

「うん」

「ええー……」

大和は渋々といった様子で呻き声を上げ、しめ縄の下をくぐり、恐る恐る暗い洞窟の中へと足を踏み入れた。

「うわぁ! ああ、あっ、あっ……」

大和は足元を滑らせそうになりながら、這うようにして狭く険しい洞窟の中を進んでいく。青白く光るゴツゴツとした岩肌に手を突き、慎重に奥へと進む大和。

「はぁ、はぁ……」

その時、洞窟の奥に、地面に深々と突き刺さった一本の古びた立派な剣があるのを見つけた。

「ん? なんだこれ」

大和は剣に近づき、柄を両手で握ると、あっさりとそれを引き抜いた。そして、手にした剣をしげしげと見つめて呟く。

「剣じゃん」

大和は引き抜いた剣を手に持ったまま踵を返し、来た道を戻り始めた。

「よいしょ、っと……」

洞窟の中を歩いて戻っていた、その時だった。不意に、背後からゴゴゴゴという地鳴りのような音が響いてきた。

「はっ!」

大和がハッとして奥を振り向くと、巨大な岩が土煙を上げながら猛烈な勢いでこちらへ転がってくるのが見えた。

「うわああああーっ!」

大和は悲鳴を上げ、慌てて入り口に向かって全力で逃げ出した。大岩が背後に迫る中、大和は泣きそうな声で叫ぶ。

「こんなんばっかり!」

大和は洞窟の入り口の赤い鳥居に向かって、転がり出るようにダイブした。

「うわあっ!」

大和が飛び出した勢いで、鳥居に張られていたしめ縄が引きちぎられる。その瞬間、オレンジ色に光る呪文のような文字が空中に浮かび上がり、パリンと弾け飛んだ。洞窟を封じていた結界が崩れ去ったのだ。それと同時に、洞窟の中からものすごい勢いで一陣の突風と土煙が吹き抜けていった。

風が収まり、大和は地面に手をついてゆっくりと身を起こした。不思議そうに洞窟を振り返る。

「今の……何?」

大和が立ち上がろうと足を踏み出した瞬間、足元でカランと金属音が鳴った。

「あ」

足元を見ると、そこには先ほど洞窟から持ち帰ってきた剣が落ちていた。大和が踏みつけた衝撃で、剣は真っ二つに折れてしまっている。大和は、その折れた剣の二つの破片を拾い上げた。

「折れちゃった……」

大和が折れた剣を見て呆然としていると、不意に背後で光が瞬いた。

「はっ」

大和が振り返ると、そこには手毬を持った水晶が立っていた。

水晶は穏やかな表情で大和を見つめ、静かに口を開いた。

「大和、ありがとう」

「え?」

大和が聞き返した次の瞬間、水晶の体は眩い光の粒子に包まれ、ふっと虚空へと消え去ってしまった。

「ちょっ、水晶? 水晶!」

大和は、誰もいなくなった暗い山道に向かって、消えた少年の名を呼ぶのだった。

第二十章「導かれた洞窟と結界の崩壊」、いかがでしたでしょうか。

巨大な岩から命からがら逃げ延びた見せ場の直後、勢い余って結界のしめ縄を引きちぎっただけでなく、せっかく手に入れた重要アイテムらしき剣を自分で踏んづけて真っ二つに折ってしまう大和。どこまでも締まらない彼らしさ全開のオチに、思わずクスッとさせられます。

しかし、事態は決して笑い事ではありません。しめ縄が切れたことで弾け飛んだ呪文の文字、洞窟の奥から吹き抜けた突風、そして水晶の「ありがとう」という言葉と安らかな消滅。大和のドタバタ行動によって、封印されていた「何か」が確実に解き放たれてしまいました。

結界の崩壊は、葛城や雛たちの運命にどう関わってくるのか。そして、真っ二つになった剣の使い道はあるのか……。物語はいよいよ怒涛の最終決戦へ突入します。次章の展開もどうぞお楽しみに!

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