4 後藤さんの可愛い恋人
それでも、後藤さんの傍には行きたいのか高坂君は223へと足を踏み入れた。はい、俺たちの聖地を踏み荒らした人、2人目。なんて、な。今はもうそんなことにはこだわっていない。俺も後藤さんも徹君も。……こだわってないよな?
とりあえず、自己紹介を返しておくか。
「えーっと……俺、雨宮 嵐。後藤さんとは長い付き合い」
「私は中谷 智恵里!よく223にいるんだー」
「俺……は自己紹介、要らないな」
高坂君はうさぎのぬいぐるみに顔を埋めながら、よろしくお願いします、と小声で言った。相当な人見知りだな、この子。ていうか、厳密には俺と高坂君、どっちが年上なんだろう。俺自身、厳密な自分の年齢は知らないけど。
まぁ、それはそれとして、この後はどうするつもりなんだ?後藤さん。
「さて、こーちゃんの紹介も終わったし、僕はこーちゃんの部屋に行ってくるよ」
「他の人の部屋で騒いじゃ駄目ッスからね、後藤さん」
「ははは、大丈夫。こーちゃん、個室だから」
個室。病状があまりよろしくないのか、何か事情があるのか。どちらにしても後藤さん、高坂君の病室が個室で二人きりになれるからって手を出したら駄目だぞ?俺はそれも言おうとしたが、二人は行ってしまった。
取り残される、223の男2人と隣りの病室の女子1人。
「……可愛い子だったなぁ」
「高坂か?」
「うん、守ってあげたくなるタイプ」
そう、それはまるで中谷さんのような……と言い掛けた時に、中谷さんに向こう脛を蹴られた。俺のHPゲージが大きく減ったと思う。ヤキモチ、ヤキモチなのか?ヤキモチはバイオレンスじゃない方法で表現してくれ、中谷さん。
そう言おうと思ったら、中谷さんはそっぽを向いてしまった。




