2 後藤さんの可愛い恋人
とりあえず、深呼吸をしておこう。このままじゃ衝撃で呼吸すら忘れそうだ。
「後藤さん、相手ってもしかして高坂?」
早くも衝撃から立ち直った徹君が後藤さんに尋ねる。高坂?俺は知らない名前だ。まぁ、ここの病棟も広いからな。毎日隅々まで歩き回っていないと、各病室のネームプレートにある名前なんて覚えられない。
特別に親しくもなければ、顔と名前が一致することもない。顔だけは知っている、というパターンもあるけど俺の見たことある人かな。後藤さんのタイプって確か、イケメン or キュートだった気がする。該当する人、うちの病棟にいたっけ。
「え、徹君はこーちゃんのことを知っているのかい?」
「こーちゃんってあんた……。まぁ、高坂とは知り合いだぜ、10代後半から20代前半の治療プログラムでずっと一緒。確かに可愛いっちゃ可愛いよな、そこらの女子と比べたら高坂の方が女子っぽいし、実際、女子力高い」
うーん、むむむ。後藤さんの可愛いバニーちゃんとやらが10代後半でないことを祈る。必死に祈る。そうしていたら、徹君が俺の救いになるような言葉を言い放ってくれた。ありがとう、徹君。
「高坂、童顔でふわふわだけど俺より年上なんだよな。普段は20代の治療プログラムに丸一日参加してるから、たまに見掛けても話す時間ないし、よく知ってるわけじゃないけど」
良かった、後藤さんの身は潔白だ……。




