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隣りの中谷さん  作者: はしたか みつる
忘れない記憶作り

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5 忘れない記憶作り

 俺は買いカゴを持って、売店の中をうろつく。えーと、後藤さんと徹君の喜びそうなお菓子ってどれだろう。病棟内の売店には無いものばかりで選ぶのに困る。うーん、どうしよう。



 「嵐君、思いっきり迷ってるねー」


 「だって、見たことないお菓子ばっかりだぞ」


 「あ!スパークリング煎餅だって!」


 「……それ、買ってってみるか」



 こうなったら珍味クラスのお菓子を中心に買っていこう。きっと盛り上がれる。そういえば、ジュースも買っていかなきゃいけないんだったな。で、俺はまた迷うことになるのだ。ジュースの種類も半端ない。


 とりあえず、新商品っぽいジュースを何本かカゴに入れた。その他に後藤さんに紅茶、徹君には更にジュース、俺は……カフェラテでも買っていくことにした。中谷さんは俺とは別にもう一つカゴを持っていて、ポイポイとお菓子を放り込んでいる。で、ジュースのコーナーに来ると、またポイポイとカゴに放り込む。



 「中谷さん、買い過ぎじゃないか……?」


 「嵐君の復活祝いなんだから、パーッといかなくちゃ!」


 「俺の復活祝い……?」


 「あれ、気付いてなかったの?」



 ……そっか、後藤さんも徹君も俺をパシリにしたわけじゃなくて、俺の好きな物でお祝いをしてくれようとしていたのか。よく見ると、中谷さんも俺が好きそうな物をカゴに放り込んでいた。


 俺、周りの人間に恵まれ過ぎている。記憶障害になったのは不幸だけど。でも、記憶障害にならなかったら後藤さんにも徹君にも、中谷さんにも出会えなかった。不幸が幸せに転じることも、きっとあるのだろう。

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