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隣りの中谷さん  作者: はしたか みつる
忘れない記憶作り

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4 忘れない記憶作り

 浜内さんに二重扉を開けてもらい、俺と中谷さんは病棟の外へと出た。脱走しちゃ駄目だからねー!と声を掛けられながら。脱走、ねぇ。中谷さんは分からないけど、俺には脱走する宛が無い。あっても覚えていない。


 病棟の外は病棟の中と空気が違った。外の匂いが混じっている。



 「私も病棟の外に出るの久し振りだなー」


 「あぁ、そっか。中谷さんはちゃんと覚えてるんだもんな、入院した時のこと」


 「うん、まぁ。でも、院内を見て回る余裕は無かったなぁ」



 俺、何かと当たり前のように中谷さんと手を繋いで歩いているけど、いいのかな。それも今更か。こういうの、院長公認だしな。たぶん。たぶん、公認してくれてる……んだよな?



 「嵐君、売店はこっち」



 そう言って中谷さんが俺の手を引く。これじゃお母さんと子供みたいだ。でも、それくらい手厚くしてくれた方が助かる。俺は病棟外の記憶は一切無いから、放っておいたら迷子になるだろう。全健忘からは回復したけど、過去のことは思い出せないままなのだ。


 いつか色々なことを思い出したら、中谷さんに話したいな。



 「はい、売店に到着!」


 「……でけぇ」



 見て回る余裕が無かったという割には、中谷さんはあっという間に俺を売店へ連れてきてくれた。病棟外の売店は、とにかく大きかった。噂で聞いた話だと、開放病棟のある一階の売店はもっと大きいとか。何でそんなにあちこちに売店ばっかりあるのか気になるけど、まずは売店の中を探索だ。

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