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隣りの中谷さん  作者: はしたか みつる
ヘアピンdeアームカット

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10 ヘアピンdeアームカット

 そんなわけで、223の男三人とお隣りの中谷さんでチョコレート・パーティーを開くことになった。メインは、スパークリング・チョコレート。食べてみると美味しいのなんの。今度、売店で見掛けたら買い溜め決定だ。


 中谷さんもすっかり元気になって、口の中でシュワシュワするチョコレートを美味しそうに食べている。退屈ではないけど、平和だ。しかし、それも夜までのこと。忘れてしまいたかったけど、今夜は院長の診察がある。


 それは、中谷さんも一緒だ。



 「どうしたの、嵐君?ぼーっとしてるけど、眠い?」


 「え、あ、いや……スパークリング・チョコレートにうっとりしてた」


 「あー、分かる分かる!浸りたくなるよね、このチョコレート!」



 ……やっぱり、中谷さんは笑っている方がいい。って、俺はまたキザなことをあっさりと。悪いもの食べたわけでもないのになーなんて、俺は自分で自分を誤魔化す。俺はとことん、中谷さんの涙に弱いらしい。


 それにしても、院長が医学書を大量に持ってくるとか石見さんが言ってたけど、まさか、病棟内に医学書限定の図書室でも作る気か?もし、その中にK型性精神疾患様症状の本があったら……俺は読んでみたい。勿論、自分の、えーと……なんだっけ、記憶機能失調症の本があったら、それも読みたいけど。


 K型は別として、記憶機能失調症なんて実在するのかな。俺はずっと院長のオリジナルだと思っていたけど、院長は病気ではないようなことを言っているけど、実は、K型くらい珍しい精神疾患だったりして。と、まぁ、俺はチョコレート・パーティー中もそんなことを考えていて、上の空な俺の口に中谷さんが無理やりスパークリング・チョコレートを放り込んで飛び上がるほど驚いたりした。

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