6 ヘアピンdeアームカット
俺は中谷さんと軽く手を繋ぎながら、223へと戻ろうとしていた。中谷さんの足取りは重く、かなりのんびりだが。さて、俺と後藤さんと徹君で何をしてくれようか。生憎、エイプリルフールもハロウィンもまだまだ先だし。
ていうか、巻き込まれてくれるかなー。後藤さんと徹君。
「……ありがとう、」
「へ?」
「頭、撫でてくれて」
俯いたまま、中谷さんが言った。まぁ、嵐君は触ってもいいよって言ってくれてたし。遠慮なくあやす為に頭なでなでを使わせてもらっている。俺の握る中谷さんの手は、小さくて冷たい。
「中谷さん、なんか食べたい物とかない?」
「え……?」
俺がそう聞くと、中谷さんは顔を上げた。目には溜まった涙。まだ泣いていたのか。どうしよう、ハンカチ無いしな。若干キザかもしれないけど、俺は指で中谷さんの涙を拭う。中谷さんの顔が、真っ赤になる。
「ほら、食べたい物は?」
「え、あ、……チョコレート。チョコレート食べたい」
チョコレートね。たぶん、あるはずだ。223食料庫に。管理は後藤さんがしているから、後藤さんにお願いしてみよう。勿論、223食料庫は223のメンバー共同のものだけど。ていうか、223食料庫っていうのは、まぁ、平たく言うと売店に買い物に行った時にお菓子やジュースを多めに買ってきて、有事の時に食べられる・飲める用に保管している場所のことだ。
隣人に分けてもいいのか、そこはグレーゾーンだろうけど。




