6 院長の患者たち
「しっつれいしっまーす!」
「!?」
なんと、223へやってきたのは検温の看護師さんではなく中谷さんだった。院長の顔が険しくなる。まぁ、俺の診察中に他の部屋の患者が来て邪魔をされたのが不快なんだろう。中谷さんと院長の目が合う。
「中谷さん、君はこの部屋の患者だったかね?」
「いえ、隣りですよー?」
「じゃあ、何故入ってくる」
そう、中谷さんは223の中に入ってきた。更には一番近くにあった来客用のパイプ椅子を広げ、そこにドーンと座る。中谷さん、君は一体何がしたいのさ。そんなに隔離にされたいのか……?
「速やかに出て行きなさい。さもないと、隔離するぞ」
「隔離上等、拘束上等。嵐君のピンチを見過ごすわけにいきませんからねー」
「……どういう間柄なんだね、君たち」
院長は中谷さんの言葉に呆れ気味だ。いや、本当かどうか知らないけど、俺の為に来てくれたのは嬉しい、という気持ちも少しはある。それにしてもなぁ。院長の診察って一体何なんだろうか。
今日から薬が10錠追加ねぇ……。
「中谷さん、部屋に戻りなさい」
「私の診察もここでやっちゃってくださーい」
「……はぁ」
おぉ、あの魔王というあだなの付く院長に溜め息をつかせるとは。中谷さん、やるじゃないか。言ってることは若干ぶっ飛んでるけど。そうだ、このまま中谷さんの診察になれば俺は院長のトークから解放される。
……中谷さんが可哀想だが。




