1 続・中谷さんがやってきた
俺と後藤さんと徹君は、とりあえず各々のベッドへと戻った。相変わらずカーテンは三人とも全開。ベッドにはいるが、少しの距離を挟んで三人で顔を突き合わせていた。
「退屈って尊いものだったんだねぇ……」
「ついでに言うと、儚いものだったんスねぇ……」
「俺はこういうの、嫌いじゃないけどな。中谷さん、美人だったし」
さっきまでしっかりビビっていた徹君がそんなことを言って、俺の頭の中に中谷さんの顔が浮かんだ。確かに美人だった。俺的には「美人」というより「可愛い」がしっくり来るが、そこは個人の認識の違いというやつだろう。
時刻はいつの間にか、夕方に差し掛かっていた。そろそろ夕方の薬の時間である。
「……あれ?破壊音、止まってる」
三人いて誰も気付かなかったことに俺は気付いた。中谷さんの部屋から破壊音が聞こえてこなくなっていた。いつから止まっていたのだろう。そもそも、中谷さんに言わせるとアレは荷物の片付けの音、らしいが。
三人で顔を見合わせ、静かだと逆に不気味だ、と口を揃えて言った。そんな時、223の扉がノックされた。ま、まさか中谷さんか?部屋から物音がしないし、荷物の片付けが終わって「退屈」になったとかいう理由で来たんじゃ……!?
認める。俺は……中谷さんにビビっている!!
「はーい、お薬の時間ですよー」
そんな声と共に、223の扉が開く。……そうだ、夕方の薬の時間だ。もう家族同然の付き合いの長い看護師さんが病室の中に入ってきて、ぐるりと見回した。おかしなところがあるだろうか。あぁ、もしかして。
「三人ともカーテン全開なんて珍しいですねー」
中谷さんの一件でこうなっているんです、とはさすがに言えなかった。




