表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三上投手の肘  作者: 野田伝介
PR
4/4

最終回「大人しくしている」


午前0時の静かな時を経て、三上投手が経験したきつかったことを夢で見ていたと気づいた。

ーああ、もう大変な時期は過ぎたんだな。。。

きつかったことは、夢で起きるので充分だ。


それとなしに、外を歩いてみる。朝焼けの涼しげな六月。散歩している人もちらほら。

挨拶をする。

ーおはようございます。

ーおはようございます。

そういったやり取りが、とてもこころを静まらせる。

清々しい気持ちになることが、今の三上投手には必要なことだ。


家に帰り、電気治療をする。

朝の日課は、特になし。とにかく体を治せ。チームからは、そう言われている。


次の週もまた同じ夢を見る。

体を壊した日の夢だ。

それは、連続して見るのではなさそうだ。

今日は、街まで出て買い物に行こうと思った。本でも買って読んでみたいと思った。

電車に乗る。普段していないことをするのは、緊張してしまう。

手に汗を掻いている。プロということは、バレてしまったか。仕方ない。自然にしていれば、問題は起きないだろう。駅について大勢の客の中、歩いて階段を降りる。混雑していて、目のやり場がどこなのか、知らないでいる。前を向いていよう。そう思った。

改札を出て、すぐの店に入る。本屋はそこにあった。

何か笑ったりできる本が良いと思って、落語家の書いた本があったので、それを買った。

最初は笑ったりできたけれど、何か虚しくなってきて、笑えない。

ーこんなものか・・・。

大人しくしている。



とにかく自分にしっくり来る言葉。

張り切っていた緊張の糸が解けた時の言葉は、「金属疲労」というものだと、本を読む日々から学んだ。

鉄錆でポキっと折れてしまったのだった。

基本的には、「うつ病」と診断も下った。


肘は精神的な疲労から、肉体的な疲労まで、全ての顕現だった。

これからは、指導者となれるだろうか?

職に恵まれれば、後進の指導に当たることになるだろう。


もう二度とマウンドに立つことはない。

それを思うと、安堵の気持ちと、夢への挫折の気持ちの入り混じった混乱した気持ちになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ