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第10話 惚れ薬。

「まあ僕はそんなもの使わなくてもモテるからいいんだけどね?

マダム、シャンパンとイチゴって合うよね?」


「うふふっ。そうでしょう。ねえカミーユ、なあに?その惚れ薬って?」

「よく効くらしいよ。一発で惚れちゃうらしい。金に余裕のある侍女は買ってたみたいだよ。物凄い値段だった。」

「そう、絹の反物買うくらいかしら?」

「いや、小さい家一軒買えるくらいじゃない?」


・・・は?


「侍女と言ってもさ、それなりの家の令嬢じゃない?コネクション欲しさに娘を送りこんだりするでしょ?あわよくば、王太子や国王に見染められて、側妃、とかね。さすがに王妃の所はちゃんとした子が多いけど、王太子妃のとこは子爵位とか男爵位とか?それなりの子しかいない。惚れ薬買って、高位貴族の息子とやっちゃえば、もう将来安泰だもんね。余裕があったら買うでしょ?」


いや…そうか?

座っているヘイロンをちらっと見ると、神妙な顔で聞いている。


「実際、良く効くらしいよ。この2年の間、高位貴族の令息が子爵令嬢を殺害したり、令息本人が自殺したり、っていう事件が何件か起きてんのよね。水面下もあるだろうし。あれ、やっちゃったんだと思うんだよね。」


ああ、それは聞いている。やけに自由な国だな、と思っていた。高位貴族の令息ともなると幼少期から親が決めた婚約者がいるだろうに。違う女に手を出して騒がれたら、婚約破棄になるだろうことは想像できるでしょう?よくやるな、って。

・・・実際、婚約破棄されても平気な家ならいい。表向きと懐事情は別だから、相手方から資金援助を受けていたりしたら目も当てられない。


「そんな大金出せない子を慰めてあげたんだ。」


だから…。


おとなしく聞き役に回っていたヘイロンが、顔を上げた。困惑?した顔。


「この子は…??この国の王女か?」

「・・・・・」

「第二王子よ。うふふっ。可愛いでしょう?今日のブルーのワンピースも良く似合っているわ。おいたしたのね?リボンがほどけかけているわよ、カミーユ。」


マダムが微笑みながらカミーユのウエストのリボンを直してくれた。

カミーユは目を細めて、されるがままになっている。



・・・家に帰ったら、お仕置き決定だな。



「いや、待て待て…。媚薬か?いや…。」

「媚薬なら、即効性はあっても、常習性はない。癖にはなるらしいですがね。」


スー?どこの知識よ?いつよ?誰とよ?

頭の上から、びっくり発言が降って来て驚く。


「いや、それではまるで…。」

「麻薬、ですかね?華国にはいろいろあるようなので。」

「いや…。それはないだろう?王太子だぞ、相手は?王城内だぞ?ないだろう?」


スーが一息ついてから、カミーユに聞いた。


「カミーユ、お前の兄さまは、怒りっぽくなっただろう?夜、さまよい歩いたりしてないか?わけわからないこと言いながら。昼間も眠そうだろう?」

「ああ。侍女が気味悪がってたなあ。それでね、近衛を増やしたら、近衛にも同じような症状が出だしてさあ、王城では呪いだとか言われていた。」

「・・・・・」

「もう、みんな嫁のいいなりで。警備になったもんじゃない。あれは、なんていうの?逆ハーレムみたいな?」


「逆…ハーレム??」


「少し落ち着きましょうか。ねえ、新しいシャンパンを。それから何かつまむもの。

ヘイロン様は甘いもののほうがよろしいわね?うふふっ。」


すっかり風景の一部になっていた用心棒が、そっと部屋を出る。


「そんなことがありましてねえ…大臣に頼まれて、カミーユ様をお預かりしたわけです。」


「でも、あの大臣は王太子妃側だろう?言いなりじゃないか。僕が邪魔だったんだ。なんだかんだ言っても、厄介払いなんだろう?」


「うふふっ。そうかもしれませんね。」








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