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悪魔がウチにおりまして・38

ウチには悪魔がいる。

こちらの世界に馴染みすぎな悪魔が。


「ニンゲン、コレ、なんて読むのですか?」

悪魔はそう言いながら手に持っていた本を指さして尋ねてくる。

「えーと、おもんぱかる、だね」

「ぱかる、なんだか可愛いですねー」

そんな感想を言うと再び本に目を向けている。

今さらながら、文字読めたんだ?

「ミミ殿は何を読まれているのでしょう。それがちはちんぷんかんぶんでちて」

狐は構ってもらえない寂しさからか、こっちでクモと糸玉作りにふけっている。

部屋の隅を見たらいつの間にか糸玉がころころ増えていた。

燃えるゴミでいいのかしら。

「ニンゲンー。これは何て読むのですかー?」

「辞書引く癖付けなさい。みなづき、だね」

「ありがとうなのですー。なんで日本語はこんなに難しいのですかねー」

悪魔は頭を掻きながら目を戻す。

日本語はほかの言葉に比べて難しいということはよく聞くが、世界観を跨いでいるこの子にとってはその難易度は更に上がるのだろう。

「でも、普通に喋れてるけどね」

「勉強しましたからー」

「まぁ、私たちは魔術でリンガルしてる面が大きいのですけど」

出たな、羊。

「暇さえあれば来てない?仕事してるの?」

「実は謹慎を食らいまして。あのネコただじゃ置きません」

本当に報告して、聞き入れたのか。あの歯医者も見境ない。

「ここまでなら来ても良いと許可を取っているので羽根を伸ばしに」

ここを休憩所と思っているのか、あの歯医者は。

「ヤギさん、謹慎ですか…。ボクには何もないですよね?」

「残念ながら。私だけ3日間の減給と謹慎です」

よよよ、となく真似をする羊。

悪魔は先ほどまで青ざめていたが、自分に害が及ばないことを知ると再び読書に戻る。

羊は本の虫と化した悪魔を見て頷いている。

「昔から頑張り屋さんでしたねぇ」

「ミミ殿はむかちから本が好きでちたね」

私はじっと本を読む悪魔を見た。

小脇に辞書を用意してペラペラめくっている。

ふむ。

私も積読を減らしますか。


秋の夜長。

私以外不思議な生き物たちは文字に浸るのだった。


ウチでは読書会をしている。

「どんぶらこ、どんぶらこと大きなモモが流れて参ります」

羊、上手い…。

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