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悪魔がウチにおりまして・36

ウチには悪魔がいる。

ヤギと名乗る、悪魔が。


「おかえりなさい、お茶を煎れてありますよ」

歯医者からウチに帰ると羊が湯のみを2つ用意していた。

その2つともかっさらって1つはクモに渡すと羊が悲しそうな顔をしたが、自分の気配り不足を呪いなさい。


「で、アレ何者?」

火傷しそうなほど熱いお茶を一息で飲み下すと、本題に入る。

わざわざウチで待っていたのだ、話すつもりだったのだろう。

「本当に聞いてしまうのですか。後戻りできなくなりますよ」

「なら良いから。アレ連れて帰って」

羊だけでなく、クモまで体勢を崩す。

え?変なこと言った?

「普通、覚悟を決めてより深淵へ進んでいくことがセオリーかと思うのですが」

「あんなん相手にしてたら命がいくつあっても足りないでしょうが」

お姉はあんな世界にいるのかと思うとそれはそれで薄ら寒いものがあった。

「大丈夫だよ。危害を加えるつもりならキミは生きていないから」

私たちの話に差し込まれる聞きなれない声。

しかし、声の主はどこにも見えない。

「ドアの外だよ。開けてくれると嬉しい」

…ドアを開けた、閉めた。

「なんでー。開けて―」

玄関のドアをかりかりと引っ掻いていることが見えなくてもわかる。

誰が開けますか。

さっき「地獄」と言われたサビネコがいたんだから。


ずっとかりかり引っ掻く音が続いている。

ストーカーですか。

「いいよー。そっちがその気なら毎日ここでトイレしてやる」

とんでもねぇこと言い出すな、こいつ。

「やめなさい!!」

「やっと開けてくれたね、ニンゲン。おや、こんなところで何をしているの?」

「いる事わかっているときには『こんなところで』という言葉は使わないんですよ。もっと勉強してください」

口調こそ丁寧なものの、何やらとげとげしい声色でネコに話しかける羊。

さっきの歯医者と良い、このネコ…。

「あんた、嫌われ者?」

「このニンゲン、助けて損したような気がする」


ウチにはネコがいる。

自分で言った以上、絶対ここに住まわせませんからね。

「狭いから住まないよ」

よし、保健所を検索しましょう。

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