悪魔がウチにおりまして・1217
ウチにはうぱがいる。
こういう風になると変なことしかしないうぱが。
別に何をしているという訳でも無いが、うぱが主張するときは大抵小惨事が起きる。
以前、部屋がチョコの洪水に満たされた時があった。
他にも床がシロップまみれな時があった。
砂糖に生き埋めになった時もあった。
「うぱー」
それは悪魔がチャーハンでやったんだっけ。
ともかく、うぱが眉をキリっと立ててひとつを見据えるときはこの子の暴走が起こる日であった。
「うぱちゃん、今日はどうしたです?」
悪魔が心配して目線を合わせている。
「うぱ、うぱぱっ」
大きく手を振りながら何か訴えている。
「なるほど。チョコの祝祭を起こしたいのですね」
うん、トンチキだ。
「うぱちゃん曰くチョコがなっている木があるらしくそこに行きたいと」
チョコ?カカオじゃなくて?
「ほほう、それは気になる」
部屋の奥で積み木を積んでいたモグラが耳を立てて……。
「ところでアンタのお耳はいずこに?」
「細かなことです」
結構大きいと思うんだけど。
「うぱちゃん。チョコの木はどこに生えてますか?気候は?栽培方法は」
メモを片手にずんずんうぱに詰め寄っていくモグラ。
後ずさりしながらもうぱは壁際に追いつめられる。
「きゅ、きゅー」
そんな鳴き声出したことないでしょう。
「モグ、そこまで」
首根っこを掴んで持ち上げるとモグラは四肢をだらりと垂らして首を向けてくる。
「冗談なのに」
うぱが泣いてるから冗談で済まないでしょ。
「このようにニンゲンがぽんちゃんを捕獲してます。うぱちゃん心置きなくチョコの木を教えるです」
なんだろう、私もチョコの木が気になるみたいになってるけれど。
「うっぱっぱ……」
うぱは懐から古びた紙を取り出す。
そこには島とコンパス、そして星印。
「ふむ、これがチョコの木の地図ですか」
海を越えろと?でもチョコならそうかぁ。
「この海を越えた先の島、ここにチョコの木が!」
悪魔は目を輝かせる。コイツも甘いもの好きだったね。
「ニンゲン!船を借りましょう!船舶免許なら持ってます!」
時たまトンデモな特技を発揮する。
「これってもしかしてボクの畑から持ってきた?」
吊るされたモグがため息交じりにこぼす。
「ま、まさかぽんちゃん……?」
「ミミちゃん、これ昔遊びでミミちゃんが書いたやつ」
よく見ると右下のコンパス、悪魔の顔が見えるなぁ。
「……うぱぁぁ!!」
真実を知ったうぱは、泣き叫ぶのであった。
ウチにはうぱがいる。
機嫌を直すのにチョコ24ダース必要だったうぱが。




