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悪魔がウチにおりまして・1213

ウチには悪魔がいる。

お腹にヤカンを乗せている悪魔が。


何をしているのだろう。

「ヘソで茶を沸かしたいのです」

何をしているのだろう、本当に。

「ミミ殿はこの前落語を聞いていたのです」

呆れ顔の狐がすすすっと近寄ってきた。

「するってぇとなにかい、そんな簡単に影響を受けてヘソで茶を沸かせるか試してるってのかい」

「…………うんっ」

ツッコミなさいよ、滑ったみたいじゃない。

「ニンゲン、まさにヘソ茶ですー」

正しい慣用をするんじゃない。

仰向けの悪魔の鼻にお水をあげましょう。

「ニンゲン殿、殺意高い」

鼻うがいだから健康にいいわよ。

「死にます!死にます!」

さすがに起き上がった悪魔はレッサー威嚇をしてきた。

「考えたら今回悪魔に非は無かったかもしれない」

「だったら謝れー!」

「ごめんねー、今度からちゃんと悪い時だけ折檻するから」

狐が目を細める。

「……折檻前提なのですね」

アンタもよくやってるじゃない。

「でも、ヘソでお茶は沸かないのです。昔のヒトは嘘つきです」

そもそもあり得ない話としてヘソで茶を沸かすという慣用句があるわけだからね。

「ミミ殿、それならば2階から目薬を試ちましょう」

もはやことわざになってるじゃない。

「えー、わざわざ降りるのですかー」

確かにここ3階だけど。

狐はポンと手を叩く。

「クモ殿、天井から目薬を。ミミ殿の目にダイレクト」

攻撃風に言われましても。

狐の呼びかけにクモはゆるゆると降りてきて、目薬を受け取る。

「さぁ、遠慮なく。中身はブドウ糖ですので問題ありません」

「ごんちゃん!ホントですか!ならなぜ羽交い絞めに!?」

アンタが暴れるからでしょうよ。

「ほら、クモ殿!日頃の恨みを込めて!」

「恨みって言いましたー!」

クモから放たれた液体の弾丸は、見事悪魔の目を打ちぬいた。

その時点で結構痛そうだけれど、問題はない。

「あるです!問題しかないです!」

モノローグに対してのツッコミはこの際受け付けておらず、連続点眼は悪魔が謝るまで続くのだった。


ウチには悪魔がいる。

「もう、目薬差せないです……ベタベタです……」

ブドウ糖を大量にこぼされた悪魔が。

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