悪魔がウチにおりまして・1207
ウチには悪魔がいる。
石を一個一個積み重ねている悪魔が。
不揃いの石を丁寧に重ねていく。
「賽の河原?」
「ニンゲン、おしゃらっぷです」
その止め方なんなのよ。
突き崩して台無しにしてやろうと思ったけど、それは大人げありません。
私はこの悪魔と違ってクールなのです。
「ふいー、いったん休憩です……」
こんな不安定な状態で休憩とな!?
「で、罰で無いならなんで石積を?」
「ほら、パズルと同じですよ」
全然違うけどね?
「自分の集中力を試すため、限界に挑むため……ニンゲンも良き石積ライフを送りましょう!」
変な勧誘を受けておりますが。
「ミミ殿、変な理屈を付けるのはおやめなさい」
狐が細い目で悪魔を見つめている。
「ごんちゃん、勧めてくれたのに?」
狐はそっぽを向いて天井を眺めている。
「狐ちゃん?」
「ほら、ミミ殿が想像ちいときあるじゃないですか」
それを本人の前で言います?
「でもでも、ごんちゃんが教えてくれた石積、とっても面白いのです!」
本人が満足しているなら良いのかな?
「ミミ殿、地味な作業好きですので。ここまでハマるとは思いませんでちたが」
確かにちまちま作業してるのはよく見るかも。
「こういう、頭何も考えなくて良いのってすごく好きなのですー」
それはストレスが溜まってませんかね?
「ミミ君は普段からストレスを愛し、愛されべったりですから」
羊が謎のことを言いながら登場してきたんだけど。
「羊さん、さすがにストレスを愛してはないです……」
珍しく歯切れの悪いこと。
「そうですねぇ、確かにミミ殿はストレス好きじゃないというか、気付いていない場合が多いのではと」
アゴに手をやって頷く狐。それは鈍感ということでしょうか?
「ボクが鈍いみたいに言わないでほしいですー!」
あら、レッサー威嚇。
「そうでしょうか?この前背中に刺さったハチの針、気付かなかったじゃないですか」
肉体的には鈍感確定なのですが?
「それはぁ、ちょっと忙しくてぇ、刺された後放置してたら忘れてぇ」
むしろハチに刺されたこと忘れるくらい忙しいのはどうした?
「これに懲りたらミミ殿、日頃の休息をちゃんと取って下さい。倒れてからでは遅いですよ」
「ふぁい」
珍しく、本当に珍しく叱られではない狐の意見を受け入れている悪魔だった。
ウチには狐がいる。
「すっきりしたなら早く寝る!ミミ殿の部屋のエアコンは入れておきまちた!」
女房味の増している狐が。




