悪魔がウチにおりまして・1208
ウチには悪魔がいる。
イカと戦っている悪魔が。
「ボクのこの拳、そんなやわじゃないですー!」
「げそー!」
そうは鳴かないでしょう。
どうどうとウチの部屋で陸上行動している軟体生物は、全てを受け止めるために悪魔の前に立ちはだかる。
「くぅ、この力……まさか!」
「げっそっそ」
パンチを弾かれた悪魔は腰を落として口を拭う。
「仕方ないです、こうなったら」
「ファイヤー」
このまま少年漫画的展開が続くの耐えられなかったので、焼けたフライパンで悪魔を殴る。
「ふべっ!?ニンゲン!?間違えてます、味方ですー!」
コントやってるんだからアンタの友だちでしょう。
「げそー!げーそー!」
「アンタもうるさい」
軽く圧掛けたら背筋伸ばした。どうやらこちらの言葉はわかるらしい。
「わざわざ家の中で暴れるならそれなりの覚悟あったんでしょうね?」
主に狐からの家賃ダイレクト食らう可能性を考えてるのかってことだけど。
「大丈夫ですー、ゲソちゃんはやわからですから」
「げそー」
これ以上、話せないキャラを増やすんじゃない!
「ほら、ロフトの上から元祖話せないズが抗議してる」
クモとうぱが「きゃらがかぶる」と書いたノートを見せてくる。
「大丈夫です!どう見ても被りません!」
そのフォローもなんか違うんだよなぁ。
「ところでこのイカはどこから来たのよ」
というかなんで堂々と歩いてるわけ?
「ゲソちゃんたちは陸上でも生きていけるように進化したのです」
「げそげそ」
進化は良いけどもはや別種じゃない?
「普段は水の中にいて、こっそり陸に上がり、野菜を持って帰るのを生業にしてるです」
その進化をなんで野菜ドロにしか活かせないのよ。
「げそー!」
あー、これなんとなくわかる。ボクは違うって言ってる。
「ゲソちゃんはやってなくても他のイカたちやってるですよ?」
「げそー……」
ほら、そんなにいじめないの。
「とりあえず濡らした床掃除」
「あいー」「げそー」
2匹はモップを取り出して床を掃除し始める。
「イカ、アンタは動かない」
拭くそばから床濡らしてるし。
「えーゲソちゃんだけズルいですー」
「げそー!」
やる気を出すな、余計に濡れる。
「ただいま戻り……」
その後、悪魔の声を聞いたものは居なかった。
ウチには悪魔がいる。
「ニンゲン、半紙買ってきて欲しいです」
狐にお仕置き習字1000枚させられている悪魔が。




